船舶燃料としての液化バイオメタン利用に向けて内航LNG燃料船でのトライアルに成功

この記事は約4分で読めます。
株式会社商船三井(社長:橋本剛、本社:東京都港区、以下「商船三井」)、エア・ウォーター株式会社(会長・CEO:豊田喜久夫、本社:大阪市中央区、以下「エア・ウォーター」)、株式会社テクノ中部(社長:伊出俊一郎、本社:愛知県名古屋市、以下「テクノ中部」)、協同海運株式会社(社長:西村譲治、本社:三重県四日市市、以下「協同海運」)、株式会社商船三井内航(社長:小林洋、本社:東京都港区、以下「商船三井内航」)、株式会社シーエナジー(社長:安井稔、本社:愛知県名古屋市、以下「シーエナジー」)及び株式会社IHI原動機(社長:村角敬、本社:東京都千代田区、以下「IHI原動機」)の7社は、内航LNG燃料貨物船「いせ みらい」(以下「本船」)(註1)で家畜糞尿由来の液化バイオメタン(Liquefied Bio Methane、以下「LBM」)(註2)を舶用燃料としてトライアル使用する実証試験を伊勢湾内で実施し、成功しました。バイオマス由来のカーボンニュートラルなLBMを舶用燃料として使用することは、国内初※の取り組みとなります。

本実証試験は2023年2月に商船三井とエア・ウォーターとの間で締結した覚書(註3)に基づき、本船関係者の協力を得て行いました。

・荷主:株式会社JERA(以下「JERA」)

・運送事業者:テクノ中部

・運航者・船主:協同海運(共同船主:テクノ中部、商船三井内航)

・ローリー輸送事業者:シーエナジー

・バンカリング事業者:シーエナジー、協同海運

・エンジン製造者:IHI原動機

本実証試験では、エア・ウォーターが環境省に採択され推進する技術開発・実証事業(註4)において北海道十勝地方で家畜糞尿から製造するLBMを本船燃料として使用し、本船によるJERA貨物の海上輸送を通して、以下を確認しました。

   1.既存のLNGサプライチェーンでLBMを輸送可能なこと

   2.既存のLNGローリーでLBMを本船に対してTruck to Shipバンカリング(註5)可能なこと

   3.本船の既存設備でLBMを安定して利用可能なこと

LNG燃料は従来の燃料油に比べて二酸化炭素(CO2)の排出量を約25%削減する効果が見込めますが、カーボンニュートラルなエネルギーであるLBMを混合して使用することにより、更なるCO2削減効果が望めます。また、LBM・LNGともに主成分はメタンであり、輸送や消費に関わる既存のLNGサプライチェーンを活用できるため、船舶運航における脱炭素化に向けた有効な手段となり得ます。

今後、商船三井とエア・ウォーターはLBMの内航船での船舶燃料利用に向け、互いの知見を生かし、海上輸送の低・脱炭素化に貢献していきます。

※ 自社調べ 日本国内における液化バイオメタンの舶用燃料向け使用実績(2023年6月)

(註1) 本船は、商船三井内航、テクノ中部、協同海運が共同建造し、2020年12月に竣工した貨物輸送に従事する国内初のLNG燃料船です。船舶からのCO2排出量の大幅削減に向け、LNG燃料のガスエンジン及び供給システムにおける燃焼効率の最適化を図る技術実証を行う事業として、環境省及び国土交通省の「代替燃料活用による船舶からのCO2排出削減対策モデル事業」の支援により建造されました。

(註2) LBMは、酪農家が保有するバイオガスプラントから発生した未利用バイオガスを回収した後、その主成分であるメタンを分離・精製し、約-160℃で液化したものです。メタンは液化することにより容積を1/600に圧縮できるため、一度に大量のメタンを輸送することが可能になります。また、家畜糞尿が原料のため、カーボンニュートラルな国産エネルギーです。

(註3) 詳細は以下プレスリリースをご参照ください。
「船舶燃料としての液化バイオメタン利用に係る共同検討を開始 ~商船三井グループLNG燃料船での試験利用に向けて~」
https://www.mol.co.jp/pr/2023/23018.html
https://www.awi.co.jp/ja/business/news/news-34927979205615224570.html

(註4) CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業「未利用バイオガスを活用した液化バイオメタン地域サプライチェーンモデルの実証事業」
https://www.env.go.jp/press/2021/04/16/files/jp/116119.pdf

(註5) Truck to Shipバンカリングとは、船舶へのLNG燃料供給方法の1つで、係留中のLNG燃料船に対して、岸壁のタンクローリーからLNGを供給するもの。

タイトルとURLをコピーしました