「不備ループを解消する会」記者会見のご案内

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記者会見出席者は原告2名(うち1名匿名)ほか弁護士など8人。

記者会見:2023年6月22日(木) 14時30分~15時
記者会見場:司法記者クラブ

2021年3月から10月までコロナ禍により売り上げが減少した個人、中小法人に対して中小企業庁がデロイトトーマツコンサルティング合同会社に委託して実施した一時支援金、月次支援金制度で申請書類の不備を指摘された一部の申請者が不備内容を明示しない審査部門と有効な助言をしないサポート部門の間でたらい回しにされた挙句に不給付とされた所謂「不備ループ」問題が発生した。本件はこの問題を正広く世に問い、正すべく発足した「不備ループを解消する会」が国に対して被害者の救済を求めて提訴したものである。

2023年6月22日

不備ループを解消する会の提訴について

報道関係者 各位

給付金訴訟原告団

同弁護団

不備ループを解消する会

不備ループを解消する会|note
我々は不備ループ問題の周知と被害者の救済を求めます。 随時会員募集中です。↓

1 記者会見出席者

  給付金訴訟原告2名(有限会社ハマダヤ食器代表取締役梶千恵子、B社取締役A(顔出しNG))、同弁護団弁護士小部正治、同平井哲史、同本間耕三、同大久保佐和子、不備ループを解消する会会員武田武

2 提訴の背景―不備ループの実態・不備ループを解消する会―

  コロナ禍の影響で売上が減少した個人事業者、中小法人に対する支援策として2020年5月から持続化給付金、同年7月から家賃支援給付金、翌2021年3月から一時支援金、同年6月から月次支援金の各給付金制度が創設され、持続化給付金終盤以降、一時支援金と月次支援金についても、デロイト・トーマツ社に審査事務が委託された。

  一時支援金が開始されて以降、申請者が給付要件を満たす書類を提出しているのに、給付金事務局から「提出書類に不備がある」と指摘を受ける事例が頻発するようになった。給付金事務局は、「不備がある」と指摘するのみで、具体的にどの提出書類にどんな不備があるのか、どうすれば不備が解消するのかの教示がなく、申請者がコールセンターに電話しても電話が繋がらず、繋がっても審査部門との連携がなく的確な助言が得られない等の問題が起こった。「不備」の連絡を受けた申請者は、頼れる者もなく孤独の中で答えの見えないやりとりを強いられた。

  このような不毛な応酬は「不備ループ」と呼ばれ、ループから抜け出せなかった者は、最終的に給付要件を満たさないとされて不支給決定を受けた。不備ループから抜け出せないために、自ら申請を取り下げてしまった人や精神的に消耗して体調を崩してしまう人、生活苦に陥ってしまう人が続出した。

  私たちは、このような「不備ループ」を正すために、訴訟その他の諸活動を行う団体として「不備ループを解消する会」を設立した。本訴訟は、「不備ループ」の末に一時支援金や月次支援金が不支給となった不備ループを解消する会の会員が原告となって、国に対して提訴したものである。

3 本訴訟の概要

 ⑴ 当事者

   原告は、有限会社ハマダヤ食器(代表取締役:梶千恵子/陶磁器その他食器および雑貨の販売を行う会社)とB社(代表取締役:匿名/製本業・印刷加工業を行う会社)。被告は国。

 ⑵ 原告らの申請から不支給に至る経緯

   原告有限会社ハマダヤ食器は、2021年6月から10月にかけて、同年4月分から9月分までの月次支援金の申請を順次行ったが、4月分と5月分については支給決定を受けたものの、6月分以降の分については提出書類に不備があるとされ、不備通知に従い必要とされる書類を提出しても、「毎日複数回の取引を行っていることが確認できる書類を提出ください」という趣旨の不備通知が繰り返し送られ、売上レシートの控えや出納帳など思いつく限りの資料を提出しても、不備通知は止まず、コールセンターに相談しても適切なアドバイスを受けられず、遂に6月から9月分について不支給となった。

   原告B社は、2021年4月に一時支援金の申請を行ったが、同年5月以降何度も不備通知を受け、追加で資料を提出しようにも申請サイトのデータアップロード欄が足らず、やむなく以前に提出した資料を削除して追加資料を提出したら、資料不足を指摘され、またBtoB取引を行うB社の製品が緊急事態宣言の影響を受けた地域で取引されたことを示す証拠など、入手が困難な資料の提示を求められることもあり、結局10月に不支給決定を受けた。

 ⑶ 請求の法的根拠と請求額

   贈与契約に基づく履行請求及び国家賠償法に基づく損害賠償請求として、ハマダヤ食器約79万円、B社60万円をそれぞれ請求する。

4 本訴訟の意義―民間委託の弊害をただし、事業者の権利救済―

 ⑴ 給付金事務の民間委託により専門的知識のない者が審査を担当し、荒唐無稽な資料提出要求が横行した。またオンライン申請のみとされ、インターネットに不慣れな者が排除されるだけでなく、そのシステムの不十分さも露呈した。

 ⑵ 安易な民間委託と、「個別対応には応じない」という方針により申請者とコミュニケーションを取りながらその疑問に答えるといった申請者に寄り添う審査制度とはならなかった。その弊害として、給付金から漏れた者が続出した。各給付金は中小事業者にとってのセーフティネットであるが、そこから漏れることは企業の営業権侵害である。

   また、いわゆるIT弱者を切り捨てるような行政対応は、法の下の平等にも反している。

 ⑶ こうした民間委託の弊害をただし、給付金からもれた事業者の権利を救済することが本訴訟の意義である。

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