当社からバイオマス原料を供給するほか、シンガポールに所在する子会社とも連携して多様なバイオマス原料の調達とバイオマス製品の販売を行うことで、東南アジアにおけるスチレン系バイオマスプラスチックのサプライチェーン構築を目指します。
ISCC PLUS認証とは、バイオマスなどの持続可能な原材料を用いた製品のサプライチェーンを管理・担保する国際的な制度であり、マスバランス方式※3の採用が認められています。バイオマス製品の原料となるバイオマスナフサは、植物等の再生可能な原材料を由来とする原料から製造されることから、石油由来のナフサと比べてCO2排出量を削減することが可能です。
当社はバイオマスナフサ由来の原料をISMへ供給し、ISMがISCC PLUS認証に基づいたマスバランス方式にてバイオマスSMを製造します。隣接するP(M)は、ISMから供給されたバイオマスSMを原料としてバイオマスPSを製造します。これにより、日本~マレーシアにおけるスチレン系バイオマスプラスチックのサプライチェーンが完成します。
さらに、東南アジアにおける安定的なスチレン系バイオマス製品の供給に向け、当社子会社で石油・関連製品のトレーディングを行うIdemitsu International (Asia) Pte. Ltd.(所在地:シンガポール)およびIdemitsu Chemicals Southeast Asia Pte. Ltd.(同)のマーケティング力を活用し、多様なバイオマス原料の安定調達とバイオマス製品の製造・販売を行ってまいります。
当社は 2050 年カーボンニュートラル社会の実現に向け、2030 年ビジョン「責任ある変革者」、2050 年ビジョン「変革をカタチに」を掲げています。昨年11 月に発表した中期経営計画(対象年度:2023~2025 年度)では、下記の「3つの事業領域」の社会実装を通して「人々の暮らしを支える責任」と 「未来の地球環境を守る責任」を果たしていくことを表明しました。
本取り組みは、「多様な省資源・資源循環ソリューション」の社会実装に向けた重要な取り組みと位置付けています。関心が高まっているバイオマス製品を供給することで、環境負荷低減への貢献を目指すものです。発展著しい東南アジアにおいても、当社グループ各社が協力してバイオマスプラスチックのサプライチェーンを構築し、カーボンニュートラルと循環型社会の実現に向けて取り組んでまいります。
※1 スチレンモノマー:芳香族炭化水素の一種で、ベンゼンの水素原子の一つがビニル基に置換した構造を持つ。天然物質として自然界に存在し、一般的には原油やナフサなどから得られたエチレンとベンゼンを化学反応させて製造される。ポリスチレンやABS(アクリルニトリルブタジエンスチレン樹脂)の原料。
※2 ポリスチレン:スチレンモノマーから作られる熱可塑性ポリマーで、ポリエチレン(高密度と低密度の2種類)・ポリプロピレン・ポリ塩化ビニルと並び、5大汎用樹脂のひとつに挙げられている。ポリスチレンは大きく分けると、透明性が高く硬いという特徴の汎用ポリスチレン(GPPS)と、ゴム成分を加えて衝撃性を改良した乳白色の耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)の2種類がある。
※3マスバランス方式:原料から製品への加工・流通工程において、ある特性を持った原料(例:バイオマス由来原料)がそうでない原料(例:石油由来原料)と混合される場合に、その特性を持った原料の投入量に応じて、製品の一部に対してその特性の割り当てを行う手法。複数の生産工程を経て製品化に至る化学産業では、サプライチェーンのバイオマス化を推進させる手段としてマスバランス方式が有効とされている。
各社の概要
■Idemitsu SM (Malaysia) Sdn. Bhd.
所在地:マレーシア ジョホール州 パシルグダン事業所
代表者:荒尾 友紀
設立年:1993年
事業内容:スチレンモノマー、トルエンの製造・販売
■Petrochemicals (Malaysia) Sdn. Bhd.
所在地:マレーシア ジョホール州 パシルグダン事業所
代表者:竹内 賢
設立年:1972年
事業内容:ポリスチレンの製造・販売
■Idemitsu International (Asia) Pte. Ltd.
所在地:シンガポール
代表者:坂田 貴志
設立年:1977年
事業内容:石油・関連製品のトレーディング
■Idemitsu Chemicals Southeast Asia Pte. Ltd.
所在地:シンガポール
代表者:川畑 洋一
設立年:1993年
事業内容:石油化学製品の販売