【スタートアップ転職意識調査】仕事を選ぶ際に重視するポイントとして、回答者の約8割が「社会課題の解決やインパクト」を重視

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 一般社団法人スタートアップエコシステム協会、および一般社団法人インパクトスタートアップ協会は、2023年1月開催「Startup Career Fair 2023」に参加登録された方を対象に、「スタートアップ転職に関する意識調査」を合同で行いました。

 かつてスタートアップへの転職は、リスクの高い挑戦と捉えられていました。ですが、本調査からはリスキリングや自己成長のチャンスとポジティブに捉えていることや、昇給やキャリアアップと同様に、社会課題の解決や社会へのインパクトを重視している点など、いくつかのポイントが見えてきました。また、調査結果を元に、リクルートワークス研究所の主任研究員である古屋 星斗氏にコメントを寄稿いただきました。

調査結果サマリ

  1. 「仕事を選ぶ際に重視すること」において、「社会性」に関する項目が「働く環境」に関する項目を大きく上回った。
  2. 「就職・転職先を決める際に重視すること」において、「自分のやりたいことができる」が1位、次に「社会性」に関する項目が続いた。
  3. 「仕事に対して期待すること」においては「自己成長」が圧倒的に求められており、続いて「収入アップ」「キャリアアップ」「社会性」に関する項目が同水準になる等、自己成長・経済性と同様に、社会性を重視している。

調査概要
(1)実施期間:2023年1月27日(金)~2月15日(水)
(2)調査対象:2023年1月開催「Startup Career Fair 2023」ご参加者のうち、開催後アンケートに回答された方
(3)回答人数:132名
(4)回答属性(年代): 20代 31名、30代 39名、40代 38名、50代 18名、60代以上 6名
(5)調査手法:インターネット調査
※本調査を引用される場合は、「スタートアップエコシステム協会×インパクトスタートアップ協会調べ」とご記載くださいますようお願い申し上げます。

調査背景
 岸田内閣が2022年11月に「スタートアップ育成5ヵ年計画」※1を発表したように、「新しい資本主義」実現に向けた今後の日本の成長戦略の1つとして、スタートアップに注目が集まっています。また、東京都が「未来の東京」戦略※2のなかで、「Global Innovation with STARTUPS」構想を打ち出し、スタートアップとの共創を打ち出すなど、スタートアップを取り巻く環境や求職者の意識に変化が起きています。
 スタートアップエコシステム協会が2023年1月27日(金)、28日(土)に東京都と共同で実施した「Startup Career Fair 2023」には、120社超のスタートアップが集まり、2日間の来場者数がのべ1,000名を記録するなど、スタートアップキャリアへの関心が高まっています。
 本調査は、スタートアップへの転身を検討する人達の動機や、働くことへの価値観等人物像を明らかにするために、Startup Career Fair 2023に申し込み登録・参加された来場者の方々を対象にアンケートを実施したものです。
※1:「スタートアップ育成5ヵ年計画」(内閣官房)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/bunkakai/suikusei_dai3/siryou1.pdf
※2:「未来の東京」戦略 https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp/basic-plan/choki-plan/

有識者のコメント
 新しい「安定志向」の時代に入ったと言われます。古い安定志向では拠って立つものは安定した雇用を提供する大きな会社でした。しかし、いかに大きな会社でも自分の職業人生全てを預けることが難しくなった現在、新しい安定志向で拠って立つことができるのは、自己のスキルや経験です。

 そう考えれば、今回の参加者の方々への調査結果への理解も進みます。仕事に対して「自己の成長機会」を求める声が圧倒的に多かったのは、決して“意識高い系”の方が多かったというわけではないのでしょう。自らにスキルや経験を身に着けて、激動の経済社会を楽しく豊かに乗り越えていく。そんなキャリアを思い描く、新しい安定志向を背景にした新しい潮流が生まれてきたのです。
 

古屋星斗(ふるや・しょうと)
リクルートワークス研究所 主任研究員

2011年一橋大学大学院 社会学研究科総合社会科学専攻修了。同年、経済産業省に入省。産業人材政策、投資ファンド創設、福島の復興・避難者の生活支援、政府成長戦略策定に携わる。
2017年より現職。労働市場について分析するとともに、若年人材研究を専門とし、次世代社会のキャリア形成を研究する。一般社団法人スクール・トゥ・ワーク代表理事。

調査結果詳細
1:「仕事を選ぶ際に重視すること」において「社会性」に関する項目が、「働く環境」に関する項目を大きく上回った。
 仕事を選ぶ際に重視している項目において、「社会へ貢献できる、社会課題の解決につながる」や「社会へインパクトを与えることができる」等社会性に関する回答した人は全体の約8割を占めました。また、こうした社会性に関する項目は、「福利厚生が充実している」(10%)「安定して長く働ける」(8%)といった「働く環境」に関する項目を大きく上回っています。これらのことから、スタートアップへの転身を考える転職者が最も重視している項目は、「社会性」であると想定できます。

2:「就職・転職先を決める際に重視すること」において、「自分のやりたいことができる」が1位、次に「社会性」に関する項目が続いた。
 就職・転職先を決める際に重視することに関しては半数以上の人が「自分のやりたいことができる」(56%)と回答しました。一方で、「社会の課題解決につながる事業である」や「社会へインパクトを与えることができる事業である」等社会性に関する項目は全体の36%を占めており、就職・転職先を決める際にも社会性が重要視される傾向にあると想定できます。

3:「仕事に対して期待すること」においては「自己成長」が圧倒的に求められており、続いて「収入アップ」「キャリアアップ」「社会性」に関する項目が同水準になる等、自己成長・経済性と同様に、社会性を重視している。
 仕事に対して期待することは、「自己成長の実現や自己成長の機会を得ること」(60%)が1位になり、次に「収入を増やすこと」(24%)や「キャリアアップや昇進すること」(24%)が続きました。また、「社会の課題を解決すること」や「社会へ新しい価値を届けること」等の社会性に関する回答をした人は全体の41%を占めており、自己成長や収入アップと同様に、社会性も強く求めている人が多い結果となりました。

 

 

一般社団法人インパクトスタートアップ協会について
インパクトスタートアップは、「社会課題の解決」と「持続可能な成長」の両立を目指す企業体を指します。「インパクトスタートアップエコシステムを構築し、持続可能な社会を実現すること」をパーパスに掲げ、2022年10月に設立・2022年12月に一般社団法人化し活動を行っており、現在、計48社のスタートアップが加盟しています。「社会課題の解決」を成長のエンジンと捉え、持続可能な社会の実現を目指す インパクトスタートアップの成長と拡大のため、インパクトエコノミーの発信、学びあいの場の構築、投資環境の整備、政府・行政との協創などを目指します。なお、野村ホールディングス株式会社、株式会社みずほフィナンシャルグループ、株式会社三井住友フィナンシャルグループ、三井住友信託銀行株式会社等日本を代表する企業に賛同会員として協力・支援いただいています。

 ・名称:一般社団法人インパクトスタートアップ協会
・所在地: 東京都千代田区一番町8 住友不動産一番町ビル 7階
・公式note:https://note.com/impact_startup

■ 一般社団法人スタートアップエコシステム協会について
スタートアップを支援する組織やスタートアップエコシステムの重要なプレイヤーが中心となり、日本のスタートアップ支援に関わる情報集約を行い、国内外に情報発信をする体制を整えるとともに支援者同士の連携を促進し、スタートアップが適時に適切な支援を受ける環境を整えることを目的としています。加えて、民間主導かつ中立的な立場で、行政機関へスタートアップエコシステムに関する情報提供や政策提言を行い、起業家を育成する教育機関の支援を行うことでスタートアップの創出や成長が行われる環境を中長期的に構築していきます。また、海外のスタートアップやスタートアップ関連機関にとっての日本の窓口の役割を担うことで、スタートアップエコシステムの情報を発信し、日本への進出を支援し、日本のスタートアップエコシステムのグローバル化を目指します。
 

・名称:一般社団法人スタートアップエコシステム協会
・所在地: 東京都渋谷区道玄坂1-16-3 渋谷センタープレイス3F
・URL:https://startupecosystem.org/
 

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