流山発・コーヒーの森プロジェクトを全国へ

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当社は、4月1日を夢を発信する日にしようとするApril Dreamに賛同しています。このプレスリリースはRoCoBeL(ビーンズ・コネクティッド株式会社)の夢です。2022年の秋に、千葉県流山市の北部エリアを中心に「珈琲を通じたやさしいまちづくり」をテーマに立ち上がった「流山コーヒーの森プロジェクト」は、ミャンマーのコーヒー農家の女性たちが丹精に作り上げたスペシャリティコーヒー豆をフェアトレードで購入し、市内の障がい者自立支援施設で焙煎・加工し、それを地域の飲食店やお店、施設で地域に販売。市民みんなで「つながるコーヒー(Connected Coffee)」を飲んでいくという「Diversity & Inclusion」な取り組みです。これを流山市で成功させ、その実績をもとに、この取り組みを全国に拡げていきたい。
 

 

●きっかけは、障がい者自立支援施設の「工賃アップ計画」でした
 いろいろや・ハーモニーは千葉県流山市平和台の駅の近所にある障がい者自立支援施設です。2002年6月に障がいのお子さんを持つ父兄や地域の人たちが中心になって、「子どもの活躍の場を作り、将来の自立を支援する」という目的で設立されました。いろいろや・ハーモニーという名前の通り、野菜の販売、手芸品、お弁当の製造販売、新聞のチラシ折り込みなど、いろいろなことに挑戦。障害を持った子どもたちができる仕事の職域を拡げてきました。
 そして、2022年1月から新しく挑戦しているのが、コーヒーの焙煎とドリップバッグなどの加工品の製造・販売です。ミャンマーをはじめ、世界各地の産地からコーヒー生豆を取り寄せ、コーヒー農家の人たちの想いを引き継いで、心を込めて丁寧に焙煎し、加工しています。「作業のスピードでは健常者にはかないませんが、丁寧なモノづくりでは負けない自信があります。そして、私たちが作るコーヒーが世界で一番美味しいと信じています」と施設長の櫛木佳世さんは胸を張ります。現在、いろいろや・ハーモニーには精神・知的・高次脳機能障がいの方が13名、通所して作業されています。
 いろいろや・ハーモニーがコーヒーの焙煎・販売への新しい挑戦を決断した背景には、大きく分けて、2つのことがあります。
1. 障がいを持つ利用者に支払う工賃を2021 年度平均月額3,179 円から1 万円以上にUP させたい。
 国が管轄する障がい者就労継続支援事業所(A型とB型があります)やいろいろや・ハーモニーなど地方自治体が管轄する障がい者自立(生活)支援施設に対して、所定の要件を満たし申請を行えば、補助金が出ます。しかし、そのお金が施設の設備や職員の人件費など運営費に充てることはできますが、補助金を施設で働く利用者の皆さんの工賃や給与を支払うことはできません。利用者の工賃や給与は全て就労によって得られた収益の中から支払わなけないと定められています。
 それゆえ、利益率の高い仕事は自ずとコンペとなり、A型事業所など生産性が高い事業所に回ることが多くなります。いろいろや・ハーモニーなどに通う利用者のみなさんは障がいの程度が重度であったり、長時間働くことが困難な人が多く、なかなかそういう競争には勝てません。結果的に利益率の低い仕事をすることになり、しかも短時間しか働けないので月額の工賃はどうしても低い金額になってしまいます。
 一方でコーヒーの焙煎事業においては全国に成功事例が多くあり、中には月額5万円以上の工賃を達成している事業所があります。そこで独自に工賃アップ計画を打ち出し、その一環として弊社が提供するコーヒー焙煎ビジネスプラットフォーム「RoCoBeL」の実証実験に参加していただくことになりました。
2. 就労を通じた社会参加と地域との交流を目指す
 障がい者自立(生活)支援施設の多くが請け負っている仕事は公衆トイレの清掃であったり、スマホなど精密機械の分解作業、新聞やポスティングのチラシ折りなど内職仕事の下請けが大半で社会との接点がほとんどありません。もっと言えば、「ありがとう」と感謝される機会が極めて少なく、仕事のやりがいが得難い職場です。これでは就労を継続するモチベーションはどうしても低くなってしまいます。
 一方で、コーヒー焙煎の仕事は、お客様から「おいしかった」「丁寧に作り込んで、きれいに梱包していただきありがとうございます」といった反応が直接、購入いただいたお客様から返ってきたり、販売していただいたお店を通じて伝えられます。また、利用者の皆さんも積極的に販売の現場に立ち、接客も担当するようになっています。これがどれほどのモチベーションにつながるかはご理解いただけると思います。これが2つ目の背景になります。就労を通じて社会参加し、地域社会と交流できることがこの取り組みを継続させ、さらにそれを原動力として地域社会を巻き込んだ「コーヒーの森プロジェクト」へと発展していきました。

いろいろや・ハーモニーでの作業風景いろいろや・ハーモニーでの作業風景

●職場環境を整え、職域の拡大に挑戦する
 コーヒー焙煎事業を開始するにあたり、いろいろや・ハーモニーでは2022年5月に施設の内装工事を実施。安心・安全な職場環境を整えました。また、焙煎機から出る煙や匂いの対策として、焙煎機を設置する部屋の壁には珪藻土を塗って対策を施しました。
 また、コーヒーの焙煎からドリップバッグへの加工の一連の工程を分割し、利用者のそれぞれの適性や能力に見合った作業ができるよう工夫してきました。利用者の全員が焙煎機を操作したり、コーヒーを粉に挽いたり、重量を計測したり、袋詰めができるわけではありません。そういうことはできないけど、シール貼りならできるという利用者の人もいます。RoCoBeLのドリップバッグには多くのシールが使用されているのはそういう理由からです。一般にコストのことを考えれば、シールではなく、印刷ができるパッケージ梱包の機械を導入した方が生産性も上がりコストはかなり安くなります。しかし、それでは一部の利用者の仕事を奪ってしまいます。
 もちりん、だからと言ってあぐらを書いて言い訳はありません。素早くきれいにシールが貼れるよう、厚紙などで貼る位置がすぐわかるガイドを開発したり、素早く封入できるよう袋に口の部分を広げる道具を手作りで開発したり、職員の皆さんの努力と創意工夫で生産性も飛躍的に向上しています。また、食品を扱うので衛生管理をはじめ、さまざまな注意も必要です。コーヒーは品種や産地、さらには焙煎度合いによって大きく味が異なりますが、一度焙煎してしまうとそれを見分けることはとても困難になります。それゆえ、工程管理にはとても気を使います。
 こうした工程分割、手順の作成、作業工程の視える化など、RoCoBeLは職員や利用者の皆さんと一緒になって標準作業を作り込み、生産性の向上に挑戦してきました。

焙煎機を操作する焙煎機を操作する

焙煎豆を計量する焙煎豆を計量する

粉を12gに計量し、内袋に入れる粉を12gに計量し、内袋に入れる

シーラーをかけて閉じた内袋を外袋に入れるシーラーをかけて閉じた内袋を外袋に入れる

外袋にシーラーをかけて完成外袋にシーラーをかけて完成

みんなが焙煎ができるよう「焙煎の歌」を作り、合唱しています。みんなが焙煎ができるよう「焙煎の歌」を作り、合唱しています。

たくさんの種類の焙煎豆を間違えないように絵柄を使って管理しています。たくさんの種類の焙煎豆を間違えないように絵柄を使って管理しています。

●市議会議員の声かけで始まった「コーヒーの森プロジェクト」
 こうしたいろいろや・ハーモニーの新しい取り組み・挑戦の話を耳にした流山のある市議会議員の方が「障がい者のみなさんが焙煎して作成したコーヒーを市内の飲食店やベーカリーなどで販売してもらいましょう」そして「珈琲を通じたやさしいまちつくりを実現したい」と旗振り役をかって出ていただき、地元でお付き合いの深いお店に声かけをしてプロジェクトがスタートしました。第1回のミーティングは流山北部・運河エリアの飲食店のオーナーや運河記念館のスタッフ、地元在住の経営コンサルタントの人たちが集結し、いろいろや・ハーモニーの理事長・小野内裕治さんが同じく理事長を務め障がい者の方が働く流山市内の「えか自然農場」の事務所で2022年6月23日に開催されました。そして、その場で「コーヒーの森プロジェクト」というネーミングも決まりました。
 そして、月1回の定例会を重ねて、活動の仔細を詰めていき、会員規約や組織構成などを決定。10月22日には毎月開催される「うんがいい朝市」にプロジェクトとして初出店。コーヒーを販売するとともに、会員募集のチラシを配布して仲間を募りました。

えか自然農園で開催した第1回ミーティングえか自然農園で開催した第1回ミーティング

うんがいい朝イチへの出店うんがいい朝イチへの出店

●ミャンマーの農家の女性の思いを繋ぐ「つながるコーヒー(Connected Coffee)」を販売
 コーヒーの森プロジェクトの大きな特徴の一つは障がい者自立支援施設で焙煎加工されたコーヒーであることです。そして、もう一つ大きな特徴はそのコーヒー豆がミャンマーの農家の女性たちが無農薬の自然農法で栽培し、丹精込めてコーヒー豆に精製した、ストーリーを持ち、世界的に評価の高いスペシャリティ・コーヒー豆をフェアトレードで購入していることにあります。
 これまで全国の数々の障がい者施設で、パンやケーキ、クッキー作りなどが行われいます。さまざまな努力と工夫の中で、そうした食品の生産はできるようにはなるものの、みなさん一様に苦労されているのが販売です。安定的で継続的な販路の確保、さらに市中の店舗との熾烈な競争にも勝ち抜いていかないと事業の継続は難しくなります。また、食品には賞味期限があり、また保管場所や流通方法などの問題があります。正直なところ「障がい者のみなさんが手作りしました!」という触れ込みだけでは、お情けで1回は購入してもらえても、それ以上の継続は難しいのが現状です。
 その点、コーヒーはパンやクッキーなどと比べると、賞味期限が長く、常温で取り扱いも簡単です。また、カフェやレストランにからず、広く飲食店やベーカリーやケーキ屋さん、ひいては雑貨屋さんや鍼灸院など幅広い業種で販売や提供が可能です。だからこそ市内のいろいろな店舗で販売するという構想が成立します。
 とは言っても、今はコーヒーブームで自家焙煎のカフェやプロによる焙煎所もたくさんできていて、コーヒービジネスは完全なレッドオーシャン状態です。その中にあって、大きな差別化となっているのが、「ユワンガン(ミャンマー)産のストーリーを持ったスペシャリティ・コーヒー」をフェアトレードで購入し、生産者の想いを引き継いで焙煎・加工・販売しているということです。私たちはそれを「つながるコーヒー(Connected Coffee)」と呼んでいます。
 その販売にあたり、2022年9月29日にはミャンマーの産地とオンラインで結んで、生産者と直接交流する勉強会を開催するなどしてきました。ただ、写真や文章で説明を受けるのと違い、実際に会話することでグッと距離感が縮まり、理解も深まりました。

オンライン交流会に参加した生産者グループのみなさん。彼女たちも日本の販売者との交流八手も「嬉しかった袖、子に写真ハギじつ、メールで届きました。オンライン交流会に参加した生産者グループのみなさん。彼女たちも日本の販売者との交流八手も「嬉しかった袖、子に写真ハギじつ、メールで届きました。

ユワンガンの生産者Amayar Womens Coffee Groupのみなさんユワンガンの生産者Amayar Womens Coffee Groupのみなさん

「つながるコーヒー」及び「Amayar Women’s Coffee Group」については他のプレスリリースで詳しく説明していますので、今回は割愛させていただきます。この記事の文末に参照URLをご案内させていただきます。

●プロジェクトを全国に普及するために
 流山市で始まった「コーヒーの森プロジェクト」の取り組みを全国の市町村に横展開していきたい。そしてミャンマーのユワンガンの町と日本の市町村をコーヒーで繋いでいきたい。それが私たちRoCoBeLの夢です。そのためにはまだまだ解決していかなければいけない課題がたくさんあります。
 そして、何よりも重要なことは、流山でのこの最初の取り組みをなんとしても成功させ、さらに発展・成長させることです。プロジェクトが立ち上がったのが昨年の6月。はや10ヶ月が経過していますが、いかせん、時間がかかりすぎている感が否めません。なにぶん、みなさん、本業の仕事がある中、ボランティアで活動に参加していただいており、ミーティングの開催の日程調整にも一苦労の状態です。いっそ、RoCoBeLで運営を一手に引き受ければ、一気にプロジェクトは進むと思いますが、それでは元も子もありません。せっかく、地元から湧き上がった有意義で素敵な活動です。RoCoBeLは裏方に徹して、発起人のみなさんをサポートし、寄り添っていきたいと思います。もうしばらく、グッと我慢するべきと肝に銘じています。
 そして、流山での取り組みが成功した暁には、その成功事例を持って、全国の市町村を周り、障がい者自立支援施設を訪ねて回りたいと思います。1年前、最初にRoCoBelの実証実験に手を上げていただいたいろいろや・ハーモニーさんの決断にはすごく勇気が入ったことと思います。この場を借りてお礼を申し上げます。いろいろや・ハーモニーさんがファーストペンギンになっていただいたおかげで、RoCoBelの実証実験に協力いただいている事業所は現在3事業所に拡大。GW明けからは新たに2事業所に参加いただきます。同様に、流山でのプロジェクトが成功すれば、それはたちまち全国へと波及していくことでしょう。その日を夢見て、今後も日々、努力を重ねていきます。
 RoCoBeLとしても新しい量産型の焙煎機の開発という大きな宿題が残っています。プロトタイプでの実証実験が始まってもうすぐ2年になります。おかげさまで、マシンの改良点や課題が明確になり、メンテナンスのノウハウも十分すぎるほど蓄積できました。現在は3Dプリンターを使って作成した改良部品の検証が終了。今後は金属製の部品に換えて焙煎実験を行い、金型発注へとつなげ、年内には新しい焙煎機をリリースしたいと思っています。ご期待ください。

現在、実証実験に使用しているプリとタイプの焙煎機。この改良版が年内に発売されるはず(?)です。現在、実証実験に使用しているプリとタイプの焙煎機。この改良版が年内に発売されるはず(?)です。

「April Dream」は、4月1日に企業がやがて叶えたい夢を発信する、PR TIMESによるプロジェクトです。
私たちはこの夢の実現を本気で目指しています。

<参照プレスリリース>
◎コロナ×クーデターを乗り越えて日本に届いたコーヒー豆
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000099626.html

◎ミャンマーのコーヒーを世界へ!クーデター下の産地を取材(前編)

ミャンマーのコーヒーを世界へ!クーデター下の産地を取材。
ビーンズ・コネクティッド株式会社のプレスリリース(2023年3月31日 19時47分)ミャンマーのコーヒーを世界へ!クーデター下の産地を取材。

<お問合せ>
ビーンズ・コネクティッド株式会社
info@rocobel.com
https://shop.rocobel.com

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