本共同検証は、九州電力による都市開発などでの住宅やビルにおいて、DAC-U装置の活用実証を行うことで地域のカーボンニュートラル実現に貢献することを目指します。九州大学はDAC-U装置の技術情報、知見の提供など、双日は株式会社双日イノベーション・テクノロジー研究所※2を活用したビジネスモデル仮説の検証、九州電力はDAC-U装置の利用者側の立場での用途仮説の検証、実証候補地の検討などを担当する予定です。
3社は今後も産学連携体制を基盤にDAC技術の研究開発を促進し、DAC-U装置の用途開発を通じて、社会課題解決とカーボンニュートラルへの取り組みを加速推進していきます。
※1 九州大学のカーボンニュートラル・エネルギー国際研究所およびネガティブエミッションテクノロジー研究センターが、内閣府ムーンショット型研究開発事業で研究開発を進めています。 内閣府ムーンショット型研究開発事業は、我が国発の破壊的イノベーションの創出を目指し、従来技術の延長にない、より大胆な発想に基づく挑戦的な研究開発(ムーンショット)を推進する国の大型研究プログラムです。
内閣府Website: https://www8.cao.go.jp/cstp/moonshot/index.html
※2 株式会社双日イノベーション・テクノロジー研究所は、技術の専門家による科学的な見立てによって有望な新技術の発掘・育成を行うことを目的として設立された、双日の100%子会社です。
【m-DACTM技術とDAC-U装置】
大気から人為的かつ直接的にCO₂を回収するDAC技術は、カーボンニュートラル、さらにその一歩先を行く“ビヨンドゼロ社会”の実現に向けて、重要な技術として注目されており、世界各国で研究開発が進められています。
九州大学が研究開発を進めるm-DACTM技術は、従来のCO₂分離膜と比べて極めて高いCO₂透過性を持つことが特徴です。このため従来では不可能と考えられてきた分離膜を用いたDAC(m-DACTM)技術が、従来技術の数十分の1以下の面積かつ低エネルギーで実現できる可能性が高まりました。分離膜はCO₂吸収液などの薬剤を使わず、分離膜のモジュール化で、必要に応じてCO₂回収量を任意に調整可能であるため、従来のDAC技術で課題とされていたDACシステム設置に対する地理的な制限が大きく緩和され、多様な装置やサイズで、様々な場所でCO₂を回収(ユビキタスCO₂回収)することが可能となります。更に九州大学が開発を進めるCO₂変換ユニットとこのm-DACTMユニットを連結すれば、CO₂回収から炭素燃料製造までを連続・一貫して行うDAC-U装置といったものが実現されます。この装置は、地産地消型カーボンリサイクル社会構築にむけて新たなソリューションとなることが期待されます。
以 上