※日本初 建設用3Dプリンターが生み出す芸術

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このたび株式会社MAT一級建築士事務所は彫刻家Nell Shiinaの作品を建設用3Ⅾプリンターで印刷しました。アーティストの作品を建設用3Dプリンターで印刷したのは日本初ではないでしょうか。
今回のプロジェクトは彫刻家Nellによる個展「Where now in our gaze?」の一環であり、重森三玲の手がけた枯山水庭園波心庭の中に建設用3Dプリンターで印刷された彫刻が3月10日(金)から4月9日(日)まで展示されています。

今回の彫刻はNell Shiinaとアラタ スズキのコラボレーション作品であり、その制作に株式会社MAT一級建築士事務所(以下MAT社)の建設用3Dプリンター技術が採用されました。

制作プロセスは、Nell Shiinaがイメージした石膏のサンプルをMATが3Dスキャンを行い、そのスキャンデータを実際に実現化する為の構造案をMAT社の代表取締役である建築家 田中朋亨が設計しました。

 

Nellのサンプル

最初のスキャンデータ

 

それを元にアラタ スズキが再構成し、その再構成されたデータをMAT社の設計チームが3Dモデリングを行い、MAT社の建設用3Dプリンターで印刷しました。

当初の彫刻計画は高さ約3メートルの柱状作品でした。
しかし、波心庭には重機が一切入れないことが分かり、重機を使用せずに人が運べる大きさと重さに印刷することに計画を変更しました。
印刷部分の高さも約2メートルに変更をして7つのパーツに分けて印刷しました。
積層しながら印刷したパーツの中心部は空洞にしてあり、安全面も考慮しスチール製の支柱に7つのパーツを積み上げました。
(スチール支柱もMAT社の鉄骨部にて製作)

その後、MAT社の施工チームが京都東福寺光明院に作品を設置しました。

頂点にそびえる部分についてはNell Shiinaが石膏で制作したものです。

※当社調べ

 

株式会社MAT一級建築士事務所 代表取締役 田中朋亨のインタビュー

弊社は日本で初めて建設用3Dプリンターを用いて確認済証の交付を受ける事ができました。すでに建設用3Dプリンターを実践的に活用し、収益化にも成功しております。

建設用3Dプリンターを扱うには高度な技術が必要ではありますが、専門的な教育を受けたオペレーターや複雑なモデリングを可能にするオペレーターも在籍しています。

まだ新事業を開始して間もないですが、このような伝統ある場所に弊社の技術が採用された事は光栄に思います。

 

 

プロフィール紹介

 

Nell Shiina

 

イングランドと日本にアイデンティティを持ち、パリとロンドンを拠点に彫刻及びそれに付随するドローイングやペインティングをメインに活動する芸術家。現在は日本でのルーツである京都に自身のアトリエとカフェを併設したギャラリーを運営している。

 

16歳の時にロンドンでの個展から彫刻家としてのキャリアが始まり、イギリスで高校卒業後ロンドンの芸術大学でファインアートを学ぶ。その後イングランド国内で美術解剖学を専攻しながら物理学や西洋哲学を学び渡仏。パリで年数回、顧客向けに個展を開催しながら学位を取得。2023年3月には京都、東京にて個展を開催予定。

 

解剖学や哲学を軸に懐疑的なアプローチで物事の本質、人間の存在などラディカルなテーマにしながらも自己言及的側面から推察される物事の関係性についても表現している。近年ではLegitimate、Inchoate、Antagonismをモットーに石膏や鉄を使い空虚の存在、不在、風化後の情報の行方についてを表現を行いながらも、コンテンポラリーアートにおいての彫刻自体の芸術的価値や立場についても言及している。

 

アラタ スズキ

 

1997年東京生まれ。親族に宮司のいる家系で育ったことで、宗教学的なアプローチを得意とする。2022年、早稲田大学大学院建築学専攻修士課程修了。
2023年にArata Suzuki Tokyoを設立し、建築や空間のデザインを中心としたクリエイティヴディレクターとして活動している。2024年秋には、金工アーティストの星飛鳥らと共に、展覧会『Ultra-contexualism 超文脈主義』を開催予定。日本を含めた六つの国を舞台にプロジェクトを展開する。

Website: https://www.ubsnant.jp

 

 

 株式会社MAT一級建築士事務所

 

2015年設立 代表取締役 田中 朋亨 /「日本の3Dプリンター建築のトップランナーへ」をミッションに、日本で初めて建設用3Dプリンターを用いて確認済証の交付を受け、建築基準法に準拠した建築物を建築した。

2022年オランダCYBE社のセメント系3Dプリンターを導入。

その他繊維リサイクルの「PANECO」を展開する株式会社ワークスタジオと共に、廃棄衣類繊維を3Dプリンター建築の断熱材に活用する実験にも成功し商品化しました。

今後もSDGsを意識した建設用3Dプリンターを活用した多くのプロジェクトを予定している。

 

Website: https://mat-tomo.com

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