※1 ユーグレナエキス:食品用ユーグレナエキス(熱水抽出)https://www.euglena.jp/news/20180409-5/
※2 香気成分:食品や植物に含まれる揮発性物質で香りを有するものをいい、通常多数の化合物で構成されている
※3 官能評価:人間の視覚・聴覚といった感覚をもとに対象物を評価する検査をいい、食品、香料、工業製品などについて用いられる
コードミーとユーグレナ社は、横浜市での企業や新規事業展開に挑戦するビジネスプランを全国から募集する「横浜ビジネスグランプリ2020」の一般部門優秀賞をコードミーが受賞したことを機に、賞の協賛企業であったユーグレナ社とのユーグレナエキスの香りに着目した共同研究を進めてきました。
コードミーは企業向けにアロマ空間デザイン事業を展開しており、都内医療施設と連携し、患者・ご家族のQOL向上を目的とした共同臨床研究を進行中です。コードミーとユーグレナ社は、ユーグレナエキスの香りと機能性に関する研究を継続し、将来的にはコードミーのソリューション・フレグランス® 事業におけるフレグランス製品の開発に加えて、アロマ空間デザイン事業への応用も見据えています。
左から、コードミー 代取締役社長 太田賢司、ユーグレナ社 代表取締役社長 出雲充
【ユーグレナエキスのGC/MS分析による香気分析結果】
ユーグレナエキスの香りには、エキス単体の官能評価によりナッツ様の独特の香ばしさが確認されました。その香ばしさに寄与する成分を検証するため、ガスクロマトグラフィー質量分析法(GC/MS)※4によりユーグレナエキスを分析した結果、特徴的な香気成分として、ベンズアルデヒド※5、アセトイン※6、アミン類※7に加え、複数のフラン類※8とピラジン類※9が確認されました(図1)(2022年1月)。
※4 ガスクロマトグラフィー質量分析法(Gas Chromatography – Mass spectrometry、GC/MS):気化しやすい化合物の同定・定量に用いられる機器分析の手法
※5 ベンズアルデヒド:芳香をもつ無色の液体でモモ・アンズの種子などに含まれ、石鹸(せっけん)などの香料に使用
※6 アセトイン:芳香をもつ無色または微黄色の液体で、食品の香料として利用される
※7 アミン類:アンモニアの化合物の総称で、一般には食品が腐敗する際に微生物によってアミノ酸から産生される
※8 フラン類:様々な加熱済み食品中に微量存在する成分で、食品中のアスコルビン酸、アミノ酸、糖類、不飽和脂肪酸、カロテノイド等が加熱されることで生成される化合物
※9 ピラジン類:食品を焼いた際にできる物質で、焙焼香の芳香成分
図1:GC/MS分析法によるユーグレナエキスの分析結果
【ユーグレナエキス配合 調合香料の官能評価結果】
ユーグレナエキスはGC/MS分析結果で確認されたアミン類を含むこともあり、エキス単体で香りを嗅いだ場合の嗜好性は低い傾向が見られました。そのため、香料としての活用を検討する上で、親和性の高い調合香料の一部としてエキスを特定量配合することで、香りの官能評価にどのような影響を与えるのかを検証しました(2022年9月)。
調合香料:シトラスハーブの香り(コードミーがユーグレナエキスとの相性を考慮して調香)
評価方法:香料を希釈したフレグランススプレーを試作し、無香空間に噴霧した際の香りをブラインドで嗅ぎ、嗜好性として快・不快の印象レベルを20段階(非常に不快 -10 ~ +10 非常に快適)で官能評価。ユーグレナエキス未配合の調合香料の快・不快の印象レベルを+5と設定し、エキス単体とエキス配合の調合香料に関して相対評価。
評価者:エキスパートパネル7名
その結果、ユーグレナエキスを特定の割合で配合した専用の調合香料は、ユーグレナエキス未配合の同調合香料と比較して、香りを嗅いだ時に感じる嗜好性(快適度レベル)が向上する官能評価の結果が得られました(図2)。
図2:フレグランススプレー噴霧時の香りの官能評価結果(縦軸は評価者7名の平均値)
本研究結果からは、今後のフレグランス製品の開発におけるユーグレナエキスの香料としての活用が期待されます。
<株式会社コードミーについて>
「香りとITでワクワクする世界を創造する」をミッションに、日本最大手の香料会社出身の代表が2017年に設立した香りのスタートアップ企業です。香りの嗜好性や機能性に関するデータにもとづき、目的やシーンに応じて最適な香りを提供しています。「香りのパーソナライズ」をコンセプトに、一般向けにはフレグランスDtoC事業を、企業向けにはアロマ空間デザイン事業を展開しています。暮らしに彩りを与える香りの新市場創造を掲げ、多様な企業やアーティストとの連携も進めています。https://www.codemeee.com/
<株式会社ユーグレナについて>
2005年に世界で初めて微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食用屋外大量培養技術の確立に成功。微細藻類ユーグレナ、クロレラなどを活用した食品、化粧品等の開発・販売のほか、バイオ燃料の製造開発、遺伝子解析サービスの提供を行っています。また、2014年より行っている、バングラデシュの子どもたちに豊富な栄養素を持つユーグレナクッキーを届ける「ユーグレナGENKIプログラム」の対象商品を、継続的に実施。「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」をユーグレナ・フィロソフィーと定義し、事業を展開。https://euglena.jp