CBDサプリメントがてんかん発作を抑制し生活の質を向上

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医療大麻に関する研究・啓発団体である一般社団法人Green Zone Japanの正高佑志医師と山本仁特任教授、太組一朗教授(聖マリアンナ医科大学)らの研究チームは、国内のCBDサプリメントを使用中の難治てんかん患者・家族を対象とした匿名のオンライン調査を実施し、その安全性や有効性について初めて明らかにしました。
研究背景:大麻草に含有される成分の一種であるカンナビジオール(CBD)は現在、難治てんかんの治療薬として国内で治験が実施されていますが、同成分はサプリメントとして日本国内で先行して流通し、一部の患者が医療目的に使用しています。これらの安全性や有効性についての評価は過去に行われたことがありませんでした。

方法:2021年6月にCBDを服用している難治性てんかん患者家族38名にオンライン自記式質問票を送付し、回答を依頼しました。

結果:38名中28名から回答が得られました。診断として最も多かったのはウエスト症候群(7名)でした。15名(53.6%)の患者が発作頻度の減少を報告し、そのうち2名(7.1%)では発作が完全に消失していました。患者の診断名や発作型と治療効果の間に有意な相関は認められませんでした。

患者本人及び介護者の生活の質(QOL)についての質問では、いずれも半数近くがQOL改善を自覚していました。

9 名の患者(32.1%)になんらかの有害事象が認められましたがいずれも軽度であり、有害事象を理由にCBDを中止した例はありませんでした。CBD摂取量の中央値は12.0 mg/kg/dayでした。

本研究成果の意義:これは日本国内で流通しているCBDサプリメントがてんかん発作抑制に有効であることを示した初めての横断調査であり、日本人を含むアジア人種にとってもCBDが効果的であることを示唆する結果です。
また現在国内で進行中のCBD医薬品(Epidiolex®️)治験対象はドラべ症候群、レノックス・ガストー症候群、結節性硬化症に伴う難治てんかんに限られていますが、本調査はその他の難治てんかん患者にとっても、CBDが有効な治療選択肢となる可能性を示唆するものです。

研究責任者プロフィール:
正高佑志(まさたかゆうじ)1985年生まれ。熊本大学医学部医学科卒。医師。日本臨床カンナビノイド学会副理事長。大麻についての啓発団体”一般社団法人Green Zone Japan”代表理事。2020年に大麻由来のサプリメント(CBDオイル)が国内の難治てんかん症例に有効であったことを学術的に報告し、国内での治験に向けた取り組みの端緒を開いた。著書に「お医者さんがする大麻とCBDの話(彩図社 2021年)」がある。
掲載論文についての詳細:

タイトル:Cannabidiol supplement reduces epileptic seizures in the Japanese population: Cross-sectional study for intractable epilepsy patients
著者:正高佑志(研究責任者)、杉山岳史、太組一朗、山本仁
掲載誌:Neurology Asia 
発行:ASEAN Neurological Association
ISSN:(ISSN 1823-6138)

掲載論文は以下から無料でご覧いただけます。
https://www.neurology-asia.org/articles/neuroasia-2022-27(4)-891.pdf

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