サステナブルな経済活動が行われるためには、活動地域において国際人権基準等の国際的な規範が順守され、同地域で生活を営んでいる市民が意思決定に参画する民主的なガバナンスが確立された公正な社会の実現が不可欠となります。
昨今注目を集めている『ビジネスと人権』領域についても、公正な社会の実現につながる取り組みとして対応が要請されているものといえます。公正な社会は、世界各国で経済活動を行っているビジネス・セクターにも恩恵をもたらすと共に、ビジネス・セクターの貢献なくして実現が困難となります。
本セミナーでは、市民社会とビジネス・セクターとの対話を深め、公正な社会の実現に関する共通認識を醸成することを目的としています。市民社会とビジネス・セクターの専門家をお招きし、昨今情勢が揺れ動いているアジア地域に焦点を当て、公正な社会の実現にビジネス・セクターがどのように関わっていけるのか議論します。オンライン開催で参加費無料です。
- 企業が公正な社会に貢献するための課題や展望を議論
グローバル社会における「ソーシャル・ジャスティス(社会正義/社会的公正)」は古くて新しい問題です。社会的公正の基本的な枠組みは、古くは1995年のコペンハーゲンでの社会開発サミットで提唱され、ソーシャルインクルージョン(社会的統合)、貧困撲滅、ディーセント・ワークの3つの柱のもと、国レベルで適切な政策に反映することが求められました。近年では、アメリカで端を発した#MeToo運動や#BlackLivesMatterを契機に、グローバル企業が社会的スタンスを表明し、社内施策やブランディングを通じて積極的に企業姿勢を明確にする動きが活発化しています。さらには個社のイニシアティブを超え、ステークホルダー資本主義を背景に、世界経済フォーラムでも社会正義の前進に向けたクロスセクターの取り組み分析も始まっています。
一方で、多くの日本企業が活動拠点を持つアジア地域に目を向けると、軍事政権や独裁政権の台頭、非政府組織による国家権力の掌握、政治腐敗等による政治/経済危機など民主的なガバナンスや市民社会の活動が脅かされています。そこに追い打ちをかけるような新型コロナウィルスの蔓延により、格差や社会的不公正が拡大し、SDGs達成状況も後退するなど、社会的公正の実現が喫緊の課題となっています。そのような状況下で、ビジネス・セクターが持続的な経済活動を行い、リスクを低減させていくためには、ビジネス・セクターだけでなくあらゆるステークホルダーとの対話が不可欠であるところ、現状ではその対話も十分とはいえない状況が続いています。
THINK Lobbyは、コーポレート・ソーシャル・ジャスティス(CSJ)プロジェクトとして、ビジネス・セクターと市民社会の対話を促進することを通じて「公正な社会」の実現を目指すため、多くの日本企業が活動拠点をもつアジア地域における企業活動と平和・公正・持続的な社会の在り方との関連を可視化していきます。その一環として、公正な社会を実現するためにビジネス・セクターに期待される責任ある企業行動の指針を示し、自らの企業行動を確認するためのツールを開発します。本セミナーは、CSJプロジェクトのキックオフセミナーとして開催し、現在開発中のツールに含まれる責任ある企業行動の領域を提案し、今後どのように企業が関わっていけるかを議論します。
- 「『ビジネスと人権』とその先へ-公正な社会の実現に向けて企業ができること」について
【開催概要】
セミナー名:「ビジネスと人権」とその先へ-公正な社会の実現に向けて企業ができること
開催日時:2022年12月16日(金)16:00-18:00
開催形式:オンライン(Zoom)ウェビナー
参加費:無料
定員:500名
申込締切:12月15日(木)17:00
主催:NPO法人国際協力NGOセンター(JANIC) THINK Lobby
後援:グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)
詳細:https://www.janic.org/blog/2022/12/06/1500/
※ セミナー開催の後の映像配信は予定しておりません。予めご了承ください。
【プログラム】
16:00-16:05 開会挨拶 THINK Lobby所長 若林秀樹
16:05-16:20 コーポレート・ソーシャル・ジャスティス (CSJ)プロジェクト 紹介 THINK Lobbyリサーチャー 敦賀和外
16:20-17:20 パネルディスカッション
【登壇者】(予定)
川廷昌弘(GCNJ・SDGsタスクフォース・リーダー)
鬼丸昌也(JANIC理事長、テラ・ルネッサンス理事(創業者)
佐藤暁子(UNDP ビジネスと人権リエゾンオフィサー、弁護士)
若林秀樹(JANIC理事、THINK Lobby所長、GCNJ 理事)
【ファシリテーター】
井上良子(THINK Lobby リサーチャー、世界人権問題研究センター「ビジネスと人権」専任研究員)
<ディスカッション・トピック(案)>
●いまなぜSocial Justice(社会的公正)が重要なのか
●なぜ企業が公正な社会の実現にとって重要なアクターなのか
●企業の現状と課題は?
●市民社会と企業はどのように連携できるか?
●THINK Lobbyに期待すること
<ディスカッション・トピック(案)> ●いまなぜSocial Justice(社会的公正)が重要なのか ●なぜ企業が公正な社会の実現にとって重要なアクターなのか ●企業の現状と課題は? ●市民社会と企業はどのように連携できるか? ●THINK Lobbyに期待すること |
17:20-17:50 質疑応答
17:50-18:00 閉会挨拶
※プログラムの内容は予告なく変更となる可能性がございます。
【お申し込み方法】
1 お申し込みページ(https://thinklobby-1216-event.peatix.com/)よりご登録ください。
2 お申し込み時にご登録いただいたメールアドレス宛に後日視聴用のURLをお送りします。
- 登壇者
川廷昌弘氏 (GCNJ・SDGsタスクフォース・リーダー)
博士(環境学)、博報堂DYホールディングス サステナビリティ推進室SDGs推進担当部長。兵庫県芦屋市生まれ。1986年博報堂入社。テレビ番組「情熱大陸」の立ち上げに関わる。地球温暖化防止国民運動「チーム・マイナス6%」でメディアコンテンツを統括し、現在はSDGsが主要テーマ。2017年のSDGs国連ハイレベル政治フォーラムでの日本政府の取組みや、自治体SDGs推進事業などのプロデュース。環境省SDGsステークホルダーズ・ミーティング構成員。神奈川県顧問(SDGs推進担当)。鎌倉市、浜松市、京丹後市などのSDGs推進アドバイザーほか委嘱多数。また、公益社団法人日本写真家協会の会員として「地域の大切な資産、守りたい情景、記憶の風景を撮る」をテーマに活動する写真家でもある。
鬼丸昌也氏(NPO法人国際協力NGOセンター(JANIC) 理事長、認定NPO法人テラ・ルネッサンス 創設者・
理事)
大学4年生の時に、初めてカンボジアを訪れ、地雷被害の現状を知り、「すべての活動はまず『伝える』ことから」と講演活動を始める。同年10月、大学在学中に「全ての生命が安心して生活できる社会の実現」を目的に、「テラ・ルネッサンス」設立。同団体では、カンボジア・ラオスでの地雷や不発弾処理支援、地雷埋設地域の生活再建支援、ウガンダ・コンゴ・ブルンジでの元子ども兵や紛争被害者の自立に必要な支援を実施している。2022年、約140のNGOが加盟する、NPO法人国際協力NGOセンター(JANIC)の理事長に就任。「対話」と「連帯」による社会変革を目指す。
佐藤暁子氏 (UNDP ビジネスと人権リエゾンオフィサー、弁護士)
上智大学法学部国際関係法学科卒。2009年一橋大学法科大学院修了後、司法試験合格。2010年在カンボジア名古屋大学日本法教育研究センターにて日本法非常勤講師。2012年弁護士登録。2016年オランダ・ハーグのInternational Institute of Social Studiesにて開発学(人権専攻)修士課程修了。企業に対する人権方針、人権デューディリジェンスのアドバイス、ステークホルダー・エンゲージメントのコーディネート、またNGOによる政策提言などを通じて、ビジネスと人権の普及・浸透に取り組む。2018年~2022年4月、認定NPO法人ヒューマンライツ・ナウ事務局次長。2022年4月より、国連開発計画(UNDP)にてビジネスと人権プロジェクトのリエゾンオフィサー(在バンコク)
若林秀樹 (NPO法人国際協力NGOセンター(JANIC) 理事、THINK Lobby所長、GCNJ 理事)
ヤマハ(株)に入社し、ヤマハ労組役員、電機連合役員を経て、在米日本大使館経済班一等書記官として国際協力等に携わる。2001年比例区選出の民主党参議院議員として当選し、「次の内閣」経済産業大臣等を歴任。2008年米戦略国際問題研究所(CSIS)客員研究員、2011年よりアムネスティ・インターナショナル日本事務局長、JANIC事務局長などを経て現職。早稲田大学商学部卒業、ミシガン州立大学大学院修士課程修了(農学)。
- THINK Lobbyについて
JANICのビジョン「平和で公正で持続可能な世界の実現」に向け、2022年4月より政策提言・啓発部門の強化を目的に、本部門の名称を改め設立しました。THINK Lobby(シンクロビー)のミッションは、政府任せではなく、市民一人ひとりが共に学び、考え、行動し、つくりたい社会を実現すること。そのために、市民社会シンクタンクを国内外の組織や研究者と共につくり、調査研究・政策提言・情報発信を通じて、市民が社会を変えるための手段と機会を創出します。
「THINK Lobby」には、THINK(考える)を深め、Lobby(語り合い、働きかけ合う場)に集う、そんな「新しい市民社会のスペース」を創りたいという思いを込めています。
- コーポレート・ソーシャル・ジャスティス(CSJ)プロジェクト概要(仮)
THINK Lobbyでは、企業が公正な社会の実現に向けた責任ある行動を果たせるように、ステークホルダーとの対話を通して事業活動において平和・公正・人権尊重に取り組む状態を目指しています。以下の領域において企業が自社の取り組みの進捗を確認し、ステークホルダーとの対話、協働に活用するためのツールを作成しています。
1.平和・公正・人権のためのコミットメント
2.平和・公正・人権のための仕組み・ルールづくり
3.責任ある企業行動の実現と実践
4.企業文化の醸成
5.ステークホルダーとの対話の実践(従業員・取引先・政府・地域社会・消費者/顧客 等)
- NPO法人国際協力NGOセンター(JANIC)について
国際1987年に、貧困・飢餓、環境破壊、紛争などの社会課題の解決に取り組むNGOのリーダー達によりNGO間の譲報共有と連携を目的に設立。現在、160を超えるNGOなどの市民社会組織(CSO)が加盟するネットワーク。政府や市民に向けた政策提言・啓発活動、NGO間、NGOと政府や企業、労働組合、自治体等との連携・協働促進、NGOの組織力強化を通し、グローバルな社会課題解決の促進を目指す。
理念 :平和で公正で持続可能な世界の実現に貢献します
目的 :人々の貧困からの脱却、自立的発展、基本的人権の擁護、対立・紛争の解決、地球環境の保全等に向けて国際協力を行う日本の市民組織(NGO)の活動の促進および強化を図る。
事務局パーパス :市民の力を解き放ち、共に生きる社会を共に創る
団体名 :NPO法人国際協力NGOセンター(JANIC)
所在地 :〒169-0051 東京都新宿区西早稲田2-3-18 アバコビル5F
設立 :1987年
代表者 :理事長 鬼丸 昌也
事業収入 :108,926,161円(2021年度実績)
事業内容 :‐社会課題を生んでいる仕組みを変えるための政策提言・啓発
‐NGO 間および NGO、企業、自治体などの他セクターとのパートナーシップ促進
‐NGO の人材育成・組織強化
URL :https://www.janic.org/