認定NPO法人 抱樸・希望のまちプロジェクト グランドプランを公表

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認定NPO法人 抱樸が「希望のまちプロジェクト」のグランドプラン(基本計画)を公表しました。希望のまちで取り組む事業や推進体制など、希望のまちの姿が具体化されてきました。2024年の工事開始を目指して、抱樸では希望のまちプロジェクトへの応援をさらに広く呼びかけています。
  • 希望のまちプロジェクトのグランドプラン(基本計画)公表

NPO法人抱樸が現在取り組んでいる「希望のまちプロジェクト」のグランドプラン(基本計画)を公表しました。希望のまちの基本的な理念に加え、希望のまちで取り組む事業内容や推進体制、新たな施設イメージのデッサンなどが公開されています。
抱樸はこのグランドプランに基づいて、希望のまちで行う事業やプログラムの内容を、地域の方たちとともに考えていきたいとしています。

 

新たに公開された中核施設のデッサン(建物正面)新たに公開された中核施設のデッサン(建物正面)

 

以下の記事では、今回公表したグランドプランの概要をお知らせいたします。

※なお、グランドプラン(完全版)の資料ダウンロードは以下のURLから可能です。

https://www.houboku.net/wp-content/uploads/2022/10/20221031kibougrandplanver1.pdf

 

  1. 希望のまちが目指すもの(コンセプト)

撮影:佐々木亮撮影:佐々木亮

①「怖いまち」から「希望のまちへ」
希望のまちが建設される北九州市では11年に及ぶ「暴力追放運動」の結果、工藤會問題はほぼ解決しました。
その最終段階として、その事務所跡地を多くの人が笑顔で過ごせる場所へ再創造します。

②「助けて」と言えるまち
自己責任論への偏重は「助けて」と言えない社会を生み出しました。「他人に迷惑をかけてはいけない」と言い続ける私たちは、結果、孤立しました。
希望のまちは「迷惑を分かち合い」、互いに「助けて」と言い合うことができるまちです。

③まちを大きな家族に
少子高齢化や単身化が進む中で、「家族」にすべての責任を負わせることが限界になっています。
希望のまちでは、日常の見守りから葬儀までを地域全体で行う家族「機能」の社会化を目指します。

④まちが子どもを育てる
子どもの7人に1人が相対的貧困状態にあると言われる現代。
子どもの貧困は世帯全体の貧困を意味しています。また、子どものときに十分に育てられた経験がないまま親になるケースも増えています。希望のまちでは、まち全体で金銭のみならず様々な経験も含めた「相続」を起こします。相続を社会化することが希望のまちの目標です。

⑤希望のまちは全国に向けたモデル
希望のまちが取り組む課題は、北九州市に限らず全国の都市が抱える課題です。希望のまちでは全国に先駆け「地域共生社会」のモデルを具現化したいと考えています。ここでのまちづくりのノウハウを「北九州モデル」として全国へ提供します。
 

  • 希望のまちのプログラム

希望のまちで行うプログラムをご紹介します。

①大ホール
希望のまちの1階は仕切りのない大ホールになります。
このホールは地域に開放されており、イベントや葬儀など様々な用途で使うことができます。
シーンに応じてそのまま使用したり、仕切りで区切ったりすることで、多様な使い方が可能です。

②子ども・家族まるごと支援センター
希望のまちには子どもとその家族を支える支援センターを設置します。
・困窮世帯の子ども達への集合型学習支援を行います
・大学と連携し、学生主体で運営する子どもたちのための居場所を作ります
・外に出てくることが苦手な子たちには訪問型の学習支援を行います。
・家族全体に対する生活支援を行います。

③放課後等デイサービス
障害のある子どもや発達に特性のある子どもたちのための福祉サービスである放課後等デイサービスを作ります。
希望のまちの放課後等デイサービスでは、地域の方とも交流することができ、家や学校以外の「知り合い」を増やすことができます。

④地域互助会事務局
地域の方なら誰でも参加可能な地域互助会を作り、その事務局が設置されます。お花見などのイベントやサロン活動などに加え、1人暮らしの方への訪問・見守りなど、お互いがお互いを支え合う仕組みを作ります。

⑤よろず相談所
生活上のあらゆる困りごとを相談することができる窓口を設置します。この窓口には訪問型(アウトリーチ型)の相談員も常駐しており、「近所の人が何か困っているようだ」というお声に対しては、直接家を訪問し相談にのります。この相談所は校区の社協と連携して運営します。

⑥ボランティアセンター
地域の課題をみんなで解決してくための方法を考えコーディネートする場所を作ります。
地域の方なら誰でもボランティア登録することができ、清掃活動や見守り活動、炊き出しなどの活動を支えます。

⑦地域づくりコーディネート室
まちづくりを行う様々な人々をつなげる役割を担うコーディネーターが常駐します。
まちづくりワークショップの開催や、まちづくり人材の育成を行い、希望のまちを全国に広げる役割を担います。

⑧おしゃれなカフェレストラン
第一線で活躍するシェフが運営するカフェレストランを運営します。若者も立ち寄りやすい場所を作りだすことで、新しい出会いが生まれる場所になります。

⑨自由に使えるみんなのキッチン
カフェレストランとは別にキッチンコーナーを設けます。子どもたちの料理教室や地域のイベントなどに自由にお使いいただけます。
また、市内の子ども食堂実施団体と連携し、出張型子ども食堂や子ども食堂を運営する方向けの料理教室を行いま
す。

⑩家具のリサイクルセンター
希望のまちで使用する家具や什器はリユース品を活用します。また、そのままでは使用できないような家具もリペアや部品の再利用で活用します。再利用商品の販売を行うことで、雇用を生み出し、働きづらさを抱えた方々に向けた就労体験や就労機会の場を提供します。

⑪オーナー制のブックシェルコーナー
希望のまちには大きなブックシェルが設置されます。各本棚をレンタルすることが可能で、自分の好きな本や趣味の品などを置いて、希望のまちを訪れる方に見ていただくことができます。本を通じた新たな知の交流を目指します。

⑫コワーキングスペース
希望のまちにはコワーキングスペースを設けます。テレワークの方やドロップイン利用や期間限定のレンタルオフィスとしての利用も受け付けます。孤立しがちな若者に対しても、フリーのネット環境を整備することで、つながる機会を創出したいと考えています。

⑬避難所
地震や台風などの災害の場合には、施設を避難所として開放します。日ごろから食糧や衣類などの物資を備蓄し、災害時に備えます。

⑭救護施設
救護施設は生活保護法上の施設です。救護施設には他の施設と違い、障害認定や介護認定、あるいは医師の診断書などを必要としない、すなわち「対象者を限定しない」という強みがあります。この救護施設は、多くの救護施設とは異なり、全室個室で部屋面積も10㎡以上。プライバシーの守られる空間と、地域へと繋がれる場所の双方を兼ね備えることで、地域への入り口となるような救護施設を目指します。

⑮シェルター
ホームレスの方やDV、虐待被害の方など様々な困難に置かれた方に対する緊急避難場所(シェルター)を準備します(全5室)。このシェルターは全室個室でプライバシーが確保されます。

⑯わんこプロジェクト(別場所にて検討・連携)
希望のまち完成後は、動物も共に生きるまちづくりを進めます。近隣に保護犬の譲渡センターを設置し、動物の保護活動を進めます。毎日必要な散歩は地域の方や希望のまちの居住者がボランティアで行います。
また、希望のまち近隣にあるアパートなどを借り上げ、保護犬とともに暮らすことのできる支援付き住宅も計画しています。動物と言う家族と共に暮らすことで、孤立を防ぎ、いのちを守るという「出番」につながります。
 

  • 希望のまち中核施設デッサン

希望のまちの設計・監理を担う手塚建築研究所から希望のまちの中核施設のデッサン図も公開されました。

新たに公開された中核施設のデッサン(建物正面)新たに公開された中核施設のデッサン(建物正面)

 

1階のデッサン 区切りのない大ホールです1階のデッサン 区切りのない大ホールです

3~4階は全室個室の救護施設3~4階は全室個室の救護施設

3~4階吹き抜け部分にある縁側3~4階吹き抜け部分にある縁側

 

  • 希望のまちプロジェクトの実施体制

希望のまちプロジェクトは、希望のまちプロジェクト推進本部を中心として、地域コーディネートを希望のまち建設予定地で行う「希望のまち たまご委員会」、また希望のまちの応援団の方々や設計監修を行う手塚建築研究所などのメンバーが推進しています。
また、プロジェクトの実施および施設完成後の運営については、北九州市社会福祉協議会や高齢社会をよくする女性の会、フードバンク北九州ライフアゲイン、子ども食堂ネットワークなど地域の他団体と連携した「希望のまち推進協議会」が行います。
 

  • 希望のまちプロジェクトとは

NPO法人抱樸は、2020年4月28日に北九州にある暴力団の工藤会本部事務所跡地を民間企業から買い受けました。そして、この暴力団の活動拠点であった地を、子どもや若者を含む全世代が地域で共に生きていくための拠点として再生させる事業を「希望のまちプロジェクト」と名付けました。

 

2022年3月には、全国の皆様からのご寄付により、金融機関から借り入れていた土地購入資金1億3,000万円を完済し、同年4月より施設建設に向けた寄付キャンペーンを開始しています。施設は2024年度の着工を目指しており、今年度中(2022年度)に3億円の寄付を募る寄付キャンペーンを行っています。

希望のまちには様々な機能をもった複合型社会福祉施設を建設し、地域に暮らす方々や、子ども、若者、高齢者、生活困窮者、障害者、生きづらさを抱えたすべての人々が「その人らしく生きる」ための「居場所と出番」を提供する場所を創造します。

今回のグランドプラン公表を踏まえ、抱樸では全国各地での進捗報告イベントを予定しています。

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