アストラゼネカとキャンサーネットジャパン 乳がん疾患啓発オンラインイベント「わかる乳がん」~わたしにあった治療の見つけ方~開催

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アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:堀井 貴史、以下、アストラゼネカ)と認定NPO法人キャンサーネットジャパン(理事長:岩瀬 哲)は、2022年10月25日(火)に乳がん疾患啓発イベント「わかる乳がん」~わたしにあった治療の見つけ方~を開催しました。当日は、乳がん患者さんやそのご家族をはじめ、乳がんについて学びたいという方々、約500名がオンラインで参加し、専門医による講演や乳がんサバイバーのお話を通じて、乳がんにおけるさまざまな情報を学びました。

本イベントは、国立国際医療研究センター病院 乳腺・腫瘍内科 診療科長 清水千佳子先生による「乳がんの基礎知識」と題する講演で始まりました。清水先生は、乳がんの基本情報に触れつつ、ステージやがんの性質といった自身のがんの予後や治療効果に関わる情報を知ったうえで患者さんの価値観に合わせて治療を決めることの重要性について話されました。加えて乳がんの1割程度が遺伝性であり、そのうち最も多い遺伝性乳がん卵巣がん症候群(以下、HBOC)について解説がありました。遺伝性の乳がんに関しては「ご家族のがん情報が自分自身のがんに関係する場合や、ご本人だけでなく、血縁者の方が将来的に遺伝的な理由によりがんになる可能性があります」とのお話がありました。

次に、乳がんサバイバーであり、認定NPO法人マギーズ東京代表、元報道記者・キャスターの鈴木美穂さんから治療体験についてお話いただきました。鈴木さんは、24歳の若さで乳がんの告知を受け、手術や抗がん剤、分子標的薬などの治療を受けられました。その過程での治療選択において、24歳という若さゆえに、将来の妊娠の可能性を残せるような納得のいく治療を探して、たくさん悩み、「複数の先生に相談することにより、最終的に自分の納得のいく治療をすることができました」と語られました。

続く芸人のだいたひかるさんからは、自治体が行う乳がん検診で「乳がんの疑いあり」と診断されたこと、右胸にしこりがあると言われたものの自覚症状が無かったことなどが語られました。乳がんと診断されてショックを受けていた時のご主人からのサポートについては、「私がネガティブにならずに前向きに治療に専念できるよう支えてくれました」と、家族からの支えがいかに大切かをお話されました。また、BRCA遺伝学的検査については、「自分のことを知ることにより、次の一手が打てる」とし、遺伝学的検査を受けることが、より最適な治療の選択に繋がる可能性もお話されました。

続くトークセッションでは、乳がん患者さんが情報収集時に感じている困りごとや、遺伝学的検査に関して、女性医療ジャーナリストで自身も乳がんサバイバーである増田美加さんをファシリテーターに迎え、登壇者全員で話し合いました。

イベントに先立って乳がん患者さんおよび要精密検査を受けた方を対象に実施された調査では、情報収集時の困りごととして「知りたい情報にたどり着くまでに時間がかかった」、「探しても見つからない」という回答があり、さらに情報にたどり着いたとしても「信頼できる情報がどれだかわからない」といったことが困りごとの上位に挙げられ、治療が多岐にわたる乳がんならではの情報収集の悩みが明らかとなりました。

このアンケート結果に対して鈴木さんから、「今は情報が溢れすぎていて、正しい情報と間違った情報の見分けがとても難しくなっており、情報収集の環境はより複雑化していると感じます」と情報収集における困りごとが語られました。清水先生も「情報に振り回されて混乱してしまう患者さんは少なくないです」とし、安心できる情報として、国立がんセンターのがん情報サービスや、日本乳がん学会の患者さんのための乳癌診療ガイドラインが紹介されました。さらに鈴木さんは、ご自身が代表を務める認定NPO法人マギーズ東京の患者さんからも、正しい情報にたどり着くことが困難であるという声が多くあがっていることを挙げ、「正しい情報を得るためのツールに対するニーズは高いと感じます。正しい情報の入手は命の長さに直結するくらい大切だと思います」と、正しい乳がん情報を得られるツールの重要性が語られました。

 乳がん情報収集の話題から乳がんのタイプや性質、HBOCという遺伝性の乳がんについても話が進み、HBOCの最終的な診断においては、BRCA遺伝子変異の有無を確認する検査が必要であるけれども、遺伝学的検査を受けるかどうか決めるには、そのメリットやデメリット、検査の限界について十分なカウンセリングを受ける必要があると清水先生から説明がありました。しかしながら、要精密検査の方と乳がん患者さんを対象に行った調査では4割以上の方がBRCA遺伝学的検査を「知らない」と回答しており、この検査の認知度の低さが示されました。

加えて「BRCA遺伝学的検査」を実際に受けたことのある患者さんの回答では、お医者さんの説明を理解できた方は87%という高い数字でしたが、それでも43%の方が検査を受ける事に不安を感じた、という結果が出ていました。

BRCA遺伝学的検査について、だいたさんは、「家族が知ってしまうことになるので、とてもデリケートな話だと思います。一方、検査によりがんの可能性が高いことを知れば、予防をすることもできます」とし、ポジティブな気持ちでBRCA遺伝学的検査を受けたことをお話されました。鈴木さんは、「自分が乳がんになった年齢が若かったということを考えると、娘のためにも今後、遺伝学的検査をしたほうがいいのかなと考えるようになりました」と、家族の健康管理のために遺伝学的検査を受けるという考えがあることを語られました。遺伝学的検査については、さまざまな考えがあるため、患者さんが納得のいく決定をするためには情報を理解し、患者さん自身の価値観で決めていくことの大切さが話し合われました。

トークセッションの最後に、鈴木さんは「専門医や医療施設が監修した、内容の正しさが保証されている情報があると安心です。乳がんに関する様々な情報がワンストップで入手できるようになることが理想です」とし、だいたさんは「乳がんと診断されたとき、専門用語を理解するのが非常に困難でした。よりわかりやすい情報があるとよいですね」とお話されました。乳がんについての情報があふれる現代社会において、専門医の監修により信頼性が担保され、かつ、わかりやすい情報が必要とされていることがあらためて確認されました。

ピンクリボン月間に開催された「わかる乳がん」~わたしにあった治療の見つけ方~イベントは、患者さんの情報収集や医師とのコミュニケーション、一般の方々の乳がんに対する意識など、乳がんを取り巻くさまざまな課題を登壇者と視聴者で共有することにより、「わかる乳がん」LINEアカウントのような乳がんの正しい情報をワンストップで提供できる情報ツールの重要性を改めて認識するイベントとなりました。今後もアストラゼネカは、乳がんの疾患啓発活動を通じて疾患に関する正しい情報の訴求と、患者さんのより前向きな治療をサポートできるよう尽力して参ります。

<イベント概要>
催事名:「わかる乳がん」~わたしにあった治療の見つけ方~
開催日時: 2022年10月25日(木)18:00~19:20
形 式: オンライン
共 催: アストラゼネカ株式会社、認定NPO法人キャンサーネットジャパン
登壇者: 清水 千佳子先生 (国立国際医療研究センター病院 乳腺・腫瘍内科 診療科長)
             だいたひかるさん(芸人/乳がんサバイバー)
             鈴木 美穂さん(NPO代表 元報道記者・キャスター/乳がんサバイバー)
             増田 美加さん(女性医療ジャーナリスト/トークセッションファシリテーター)

<「わかる乳がん」LINEアカウント概要>
・治療や生活に役立つ幅広い情報
-精密検査の内容を解説
-乳がんの特徴や基本的な治療などを解説
-患者さんが抱きやすい疑問について、チャットボット形式のFAQ
-診断から治療まで患者さんの体験談を掲載
・解説記事と動画でわかりやすい
・ご利用方法:
-LINEアカウントをご利用中の方――下記二次元コードあるいはURL( https://lin.ee/93UoUsA )よりアクセスのうえ友達登録してご利用ください-LINEアカウントをご利用されていない方――先にお持ちのスマートフォンやパソコンにLINEアカウントをインストールいただいた後、下記二次元コードあるいはURL( https://lin.ee/93UoUsA )より友達登録してご利用ください

 
以上

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登壇者プロフィール

清水 千佳子先生 (国立国際医療研究センター病院 乳腺・腫瘍内科 診療科長)
東京医科歯科大学医学部を卒業後、同大学院医歯学総合研究科(生命情報)を修了し医学博士を取得。専門は乳癌薬物療法であり日本乳癌学会評議員を始め日本臨床腫瘍学会協議員、日本がん・生殖医療学会理事、AYAがんの医療と支援のあり方研究会理事長、日本腫瘍循環器学会幹事を歴任。またがんサバイバーシップにも力を入れており、令和4年6月には国立国際医療研究センター病院 病院患者サポートセンター がん相談支援センター長に就任。治療のみならずがんを抱える患者さんや家族に対する相談や課題の解決に日々臨まれている。

だいたひかるさん(芸人)
「どーでもいーいですよー」の持ちネタで知られるピン芸人。R-1グランプリ初代王者。2014年から不妊治療を始めたが、2016年ステージ2Aの乳がんと診断され中断。右乳房の全摘出手術をするが、全摘した右胸にしこりが見つかり2019年に再発、ステージ 2B と診断される。2020年に放射線治療を一時中断し、不妊治療を再開。2021年5月に第一子を妊娠、2022年1月に出産。

鈴木 美穂さん(NPO代表 元報道記者・キャスター)
2008年、24歳の時に乳がんを経験。2009年、若年性がん患者団体「STAND UP!!」を発足。2016年には、東京都江東区にがん患者さんや家族が訪れ無料で相談できる 「マギーズ東京」をオープンし、がんに影響を受けた人を支える活動を続けている。
認定NPO法人マギーズ東京:https://maggiestokyo.org/

増田 美加さん(女性医療ジャーナリスト)
当事者視点に立った女性のヘルスケアや医療について執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、がんやがん検診の啓発活動を行う。認定NPO法人キャンサーネットジャパン乳がん体験者コーディネーター。NPO法人「女性医療ネットワーク」理事「マンマチアー委員会」主宰。NPO法人「乳がん画像診断ネットワーク(BCIN)」副理事長。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。
増田美加オフィシャルサイト:http://office-mikamasuda.com/

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乳がんについて
乳がんは世界中で最も多く診断されているがんであり、2020年に診断された患者さんは推定230万人です(1)。2018年に日本で新たに乳がんと診断された患者さんの数は約94,000人で、女性の部位別がん罹患数第1位となっており、全乳がん患者さんの約90%が早期乳がんと診断されます(2,3)。早期乳がん治療は進歩しているものの、高リスクの臨床的および/または病理学的特徴のある患者さんの最大30%が、数年以内に再発します(4)。また、BRCA変異のある乳がん患者さんは、変異のない患者さんと比較して、通常よりも若年で乳がんと診断される可能性が高くなっています(5)。乳がんは生物学的に最も多様な腫瘍タイプの1つであり、その発症と進行の背景には、様々な因子が存在します(6)。乳がんの発症におけるバイオマーカーの発見は、この疾患の科学的な理解に大きな影響を及ぼしています(7)。

認定NPO法人キャンサーネットジャパンについて
1991年に発足し、がん患者さんが本人の意思に基づき治療に臨むことができるように、科学的根拠に基づく情報発信を行うことをミッションとしています。2001年にNPO法人化、2007年1月に専用事務局を開設し、現在は東京と大阪を拠点に全国で活動しています。2016年8月認定NPO法人となり、現在の主な活動は、各種がんについての啓発イベント、全国のがん診療連携拠点病院等に設置されている「もっと知ってほしいシリーズ冊子」の制作、養成講座や認定試験など教育事業等も実施しています。これらの活動を通して、がんと向き合う人々が自分らしくがんと向き合える社会を実現することを目指しています。希少がんも含め、あらゆるがんに関する最新医療情報発信のため、2014年より毎年開催しているジャパンキャンサーフォーラムは、がん患者・家族のみならず一般市民を対象とした最大級のがん啓発イベントです。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、希少疾患、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオ・医薬品において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細については http://www.astrazeneca.com または、ツイッター@AstraZeneca( https://twitter.com/AstraZeneca )(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

日本においては、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝、呼吸器・免疫およびワクチン・免疫療法を重点領域として患者さんの健康と医療の発展への更なる貢献を果たすべく活動しています。アストラゼネカ株式会社については https://www.astrazeneca.co.jp/ をご覧ください。フェイスブックAstraZeneca.Japan(https://www.facebook.com/AstraZeneca.Japan/)とインスタグラムAstraZeneca / アストラゼネカ( https://www.instagram.com/astrazenecajapan/ )もフォローしてご覧ください。

Reference
1. International Agency for Research on Cancer. Globocan 2020 – Breast. Available at https://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/cancers/20-Breast-fact-sheet.pdf . Accessed June 2022.
2. Yersal O and Barutca S. Biological subtypes of breast cancer: Prognostic and therapeutic implications. World J Clin Oncol. 2014;5(3):412-424.
3. Asselain B, et al. Long-term outcomes for neoadjuvant versus adjuvant chemotherapy in early breast cancer: meta-analysis of individual patient data from ten randomised trials. Lancet. Oncol. 2018;19(1):27-39.
4. O’Shaughnessy J, et al. Prevalence of germline BRCA mutations in HER2-negative metastatic breast cancer: global results from the real-world, observational BREAKOUT study. Breast Cancer Research. 2020;22(114).
5. Colleoni M, et al. Annual Hazard Rates of Recurrence for Breast Cancer During 24 Years of Follow-Up: Results From the International Breast Cancer Study Group Trials I to V. J Clin Oncol. 2016;34(9):927–935.
6. 国立がん研究センター がん情報サービス 全国がん罹患データ(2016年~2018年)https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/dl/index.html . (2022年7月アクセス時)
7. Rivenbark AG, et al. Molecular and Cellular Heterogeneity in Breast Cancer: Challenges for Personalized Medicine. Am J Pathol. 2013;183:1113-1124.

【プレスリリースはこちらのPDF版でもご覧になれます。 】
https://prtimes.jp/a/?f=c-24308-2022102814-93b171bf0146d716d023440da92049cc.pdf

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