ODAの検証と市民社会の参加確保を求め、NGOが外務省に要請

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外務省は9月9日、ODAの基本的な考え方を示す「開発協力大綱」の改定を行うことを発表しました。
これに対し、ODA事業による環境社会影響や人権侵害の回避に取り組んできた、国際環境NGO FoE Japan、メコン・ウォッチ、「環境・持続社会」研究センター(JACSES)は、外務省に対して要請書を提出し、①ODAの検証を行い、それに基づく議論を行うべき、②透明性を確保した上で、多様な意見を反映するプロセスを確保すべきことを求めました。人権や国際協力に取り組む17のNGOが賛同しました。
要請書では、特にミャンマーの国軍によるクーデターにより、多くの市民が殺害・弾圧されていることにふれ、ODA等公的資金が国軍の資金源になっている可能性を指摘。「ODAが軍事や紛争の資金源になっている、あるいは、現地政府等による市民への弾圧の資金源になっていることが疑われるケース、環境破壊や人権侵害を引き起こしている可能性があるケースなどについて、十分な時間をかけた検証を行うべき」とし、ODAの検証のために、NGOも含めた外部機関を設置すべきとしています。
また、「限られたメンバーによる「有識者懇談会」で数ヶ月の議論を行い、それを反映させただけではまったく不十分」とし、「多様な分野の市民たちが議論に参加し、意見を述べる機会を確保」する十分な時間をかけたプロセスを求めています。
外務省では、開発協力大綱の改定のため、「有識者懇談会」を設置し、9月16日に第一回の懇談会が開催されます。
要請書の本文および賛同団体は、以下をご覧ください。
https://foejapan.org/issue/20220915/9264/
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2022年9月15日

外務大臣 林 芳正 様

「開発協力大綱」の改定プロセスに関する要請書

私たちは、環境、開発、人権などの分野で活動するNGOとして、政府開発援助(ODA)など公的資金の使途に強い関心を持っています。とりわけ、公的資金の支援を受けた事業等が人権侵害や環境破壊を引き起こすこと、また援助対象国の軍事体制の資金源になりうることなどを懸念し、これまでも公的資金の使途や支援のあり方に関して提言を行ってきました。
外務省は9月9日、ODAの基本的な考え方を示す「開発協力大綱」の改定を行うことを発表しました。しかし、改定のための「有識者懇談会」の位置づけや機能が不明である上に、多様な市民社会からの声をどのように反映させていくのか定かではありません。また、外務省からは、これまでのODAをどのように検証した上で改定を行うかなど、何ら資料は提示されていません。「開発協力大綱」の改定にあたり、現在までのODAの検証・評価が不可欠である、という視点が欠如している証左です。
したがって、私たちは以下を要請します。

1.ODAの検証を行い、それに基づく議論を

日本政府がODAによる支援を強化していたミャンマーでは、2021年2月に同国軍がクーデターを起こし、同国軍が多くの市民を殺害・弾圧しています。しかし、日本政府は、ODA等公的資金が国軍の資金源になっている可能性が指摘されているのにもかかわらず、現在に至るまで調査や評価を行っておらず、国軍への資金源を断つという明確な立場を明らかにしていません。
このミャンマーへのODAをはじめ、ODAが軍事や紛争の資金源になっている、あるいは、現地政府等による市民への弾圧の資金源になっていることが疑われるケース、環境破壊や人権侵害を引き起こしている可能性があるケースなどについて、十分な時間をかけた検証を行うべきです。また、外務省や国際協力機構(JICA)などによる検証のみならず、NGOも含めた外部機関を設置すべきです。

2.透明性を確保した上で、多様な意見を反映するプロセスを

ODAには多くの市民が懸念・関心を持っています。限られたメンバーによる「有識者懇談会」で数ヶ月の議論を行い、それを反映させただけではまったく不十分です。
ODAの問題点について提言を行ってきたNGOも含め、多様な分野の市民たちが議論に参加し、意見を述べる機会を確保するとともに、それらの意見がしっかりと反映されるプロセスを確保すべきです。また、上述のようなODAの検証期間も含め、数ヶ月ではなく、十分な議論の時間を確保すべきです。
まず、「有識者懇談会」での議論が、改定に関してどのような位置づけとなるのか、明らかにすべきです。
さらに、市民社会が議論の内容を知ることができるよう、「有識者懇談会」での議論は透明性が確保されなくてはなりません。会合は公開で行われ、議事録や資料も公開されるべきです。なお、現在の「有識者懇談会」の構成は、NGOから1名となっており、学識者や経済界からの参加人数と比べ、明らかにバランスを欠くものです。
ODAの実施機関であるJICAの環境社会配慮ガイドラインの策定及び改定にあたっては、これまで、各界から同数のメンバーが委員として参加する有識者委員会や諮問委員会が設置され、公開の場での議論、また議事録・資料の公開も確保されてきました。またガイドラインの策定及び改定には、毎回1年半から2年近くの時間が費やされてきました。ODA全般の基本的な方針を示す「開発協力大綱」の改定議論は日本の政策上、非常に重要なものであり、なおさら、こうした透明性の確保されたプロセスの下、かつ十分な時間をかけて行われるべきです。

以上

【呼びかけ3団体、賛同17団体】
呼びかけ団体
メコン・ウォッチ
国際環境NGO FoE Japan
「環境・持続社会」研究センター(JACSES)

賛同団体
アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)
アトゥトゥミャンマー支援
アーユス仏教国際協力ネットワーク
一般財団法人 アジア・太平洋人権情報センター(ヒューライツ大阪)
インドネシア民主化支援ネットワーク(NINDJA)
公益財団法人 アジア保健研修所(AHI)
公益財団法人 民際センター
在日ビルマ市民労働組合
特定非営利活動法人 APLA(Alternative People’s Linkage in Asia)
日本カトリック正義と平和協議会
日本国際ボランティアセンター(JVC)
日本山妙法寺
日本ビルマ救援センター
熱帯林行動ネットワーク (JATAN)
ふぇみん婦人民主クラブ
武器取引反対ネットワーク(NAJAT)
平和をつくり出す宗教者ネット
 

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