国際宇宙会議IAC2022(フランス、パリ)にて公開、「H3ロケット」で打上げをする地球低軌道環境観測衛星「てんこう2」の構造系共同開発業務を日本大学理工学部航空宇宙工学科と協定を締結

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 株式会社ひびき精機(以下、ひびき精機)、日本大学理工学部航空宇宙工学科(以下、日本大学)は地球低軌道環境観測衛星「てんこう2」構造系共同開発業務の協定書を締結した。また、本協定における構造系共同開発業務の実施を2022年9月18日から22日にパリで開催される世界最大の宇宙業界の国際会議、第73回国際宇宙会議IAC2022 JAXA Boothにて公開する。
 本協定では、地球低軌道環境観測衛星「てんこう」の後継機「てんこう2」の内部構造系開発を日本大学と共同開発することを目的としている(大きさ約30㎝×約20㎝×約10㎝、重さ約8kgの超小型衛星)。「てんこう2」には「てんこう」と同じ高エネルギー荷電粒子検出器が搭載され、地球低軌道周辺の高エネルギー粒子の空間分布などを観測していく。「てんこう2」は新型宇宙ステーション補給機「HTV-X初号機」に搭載され,「H3ロケット」での打ち上げを予定している。

開発中の「てんこう2」のイメージ開発中の「てんこう2」のイメージ

 近年、航空宇宙産業の拡大により、日本の宇宙ビジネスを世界に代表する産業に発展させ、これから活躍するエンジニアを輩出する課題に直面している。そこで、ひびき精機と日本大学は次世代宇宙科学技術発展のため、衛星開発の過程や機械系試験結果など、互いに情報共有し見聞を広め、実践的な学びの場として「てんこう2」フライトモデルの製作にあたり、構造系の共同開発をすることとした。

 ひびき精機はこれまで国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)等の国内宇宙開発プロジェクトに携わり、高精度の金属部品を製造してきた。難加工技術能力に加え、エンジニアリング部門による金属加工における技術的な支援まで提供を行う。

 日本大学は超小型衛星「てんこう2」を開発し、「HTV-X 初号機」に搭載して「H3ロケット」で打上げた後に地球周回軌道上で様々なミッションを行う。日本大学理工学部航空宇宙工学科が県外の地域の中小製造業と産学連携協定を締結し、「H3ロケット」を用いた宇宙利用の取り組みは初の事例となり、ひびき精機と日本大学による今後の宇宙開発への貢献が期待される。

 日本大学の奥山 圭一教授は、現在までに深宇宙探査機「しんえん2」と地球低軌道環境観測衛星「てんこう」を開発している。「しんえん2」は2014年12月3日に「はやぶさ2」が搭載されたH-IIAの26号機で打ち上げられ、「てんこう」は2018年10月29日に「いぶき2」が搭載されたH-IIAの40号機で打上げられた。(※ 2014年の「しんえん2」、2018年の「てんこう」打上げ時の奥山 圭一教授の所属は九州工業大学)

 奥山 圭一教授は、「今後の宇宙産業の発展において共同開発を国内外の皆様と一緒に行い、衛星開発の進展を一緒に経験することで実績を深めて行ってほしい。」と述べている。

【国際宇宙会議(IAC 2022)概要】
会議名:International Astronautical Congress (IAC) Paris 2022
開催期間:2022年9月18日~22日
開催テーマ:「Space for @ll」
主催:International Astronautical Federation (IAF)
ホスト:Centre National d’Études Spatiales (CNES)
開催地:Paris Convention Center(1 Place de la Porte de Versailles, 75015 Paris)
URL: https://iac2022.org

関連リンク
・JAXA新事業促進部HP IAC@Paris出展概要 JAXA Boothへ出展
https://aerospacebiz.jaxa.jp/exhibition/2022/iac2022/

・日本大学 理工学部 航空宇宙工学科 奥山研究室HP
https://okuyamalab.wordpress.com/

【株式会社ひびき精機 概要】
会社名 株式会社ひびき精機
代表者 代表取締役 松山英治
本社所在地 山口県下関市菊川町田部186番地2(豊東工業団地)
資本金 7,500万円
従業員数 114人(令和4年9月現在)
主な事業 半導体製造装置関連部品製造、航空宇宙関連部品製造、各種精密機械部品製造、研究開発支援

【沿革】
1967年 前代表、松山康夫の個人営業として、下関市彦島塩浜町にて、松山製作所を創業
1972年 有限会社ひびき精機工作所と社名変更、新発足
1979年 事業内容の進展に伴い、下関市形山みどり町に工場設立、移転
1992年 株式会社ひびき精機に組織名を変更
1993年 本社工場を下関市小月南町に全面移転
2002年 ISO9001を認証取得
2007年 事業拡張に伴い菊川工場(豊東工業団地内)を増設
2007年 経済産業省 中小企業庁 第2回 元気なモノ作り中小企業300社選定
2008年 菊川工場(豊東工業団地内)に全面移転
2008年 ISO14001を認証取得
2013年 山口県産業技術振興奨励賞 山口県知事賞を受賞
2013年 JISQ9100を認証取得
2013年 経済産業省 中小企業庁 がんばる中小企業・小規模事業者300社選定
2014年 豊東工業団地内に、第二工場を建設
2017年 公益社団法人中小企業研究センター (平成29年度)「グッドカンパニー大賞」受賞
2017年 経済産業省 「地域未来牽引企業」 に選定
2018年 やまぐち健康経営企業認定に向け健康宣言
2019年 日刊工業新聞社主催 優秀経営者賞を受賞
2020年 西日本電信電話株式会社(NTT西日本)と「スマートファクトリー実現に向けたローカル5Gの活用に関する共同実験協定」を締結
2020年 豊東工業団地内に、第三工場を建設
2021年 経済産業省 中小企業庁 はばたく中小企業・小規模事業者300社選定
2022年 Optima社(オプティマ社、カナダ)と北米向け航空宇宙部品製造でパートナーシップ契約

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