就労志向の女性に聞く、男女の賃金差で不公平を感じたことある? 「ある」62.0%、「男性の方が賃金が高く、女性は低い」81.3%、男女賃金差公表で「何も変わらない」:45.5%

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仕事と家庭の両立を希望する主婦・主夫層の実情や本音を探る調査機関『しゅふJOB総研』(運営会社:株式会社ビースタイル ホールディングス 本社:東京都新宿区、代表取締役:三原邦彦)は『男女の賃金格差』をテーマに、主婦層を中心とする就労志向の女性にアンケート調査を行いましたので以下にご報告します。(有効回答数:569件)
■調査結果概要

1.女性と男性との間で賃金差があり不公平だと感じたこと「ある」62.0%
2.「男性の方が賃金が高く、女性は低い」81.3%、「女性の方が高い」は0%
3.賃金差がつく際に納得できる理由「仕事への責任の重さで差がつく時」61.2%
4.同一労働同一賃金関連法による変化「何も変わっていない」49.2%
5.男女の賃金差の公表義務づけについて「全く知らなかった」38.7%
6.男女の賃金差の公表義務づけによる変化「何も変わらない」45.5%
7.フリーコメントより

1.女性と男性との間で賃金差があり不公平だと感じたこと「ある」62.0%

2.「男性の方が賃金が高く、女性は低い」81.3%、「女性の方が高い」は0%

3.賃金差がつく際に納得できる理由「仕事への責任の重さで差がつく時」61.2%

4.同一労働同一賃金関連法による変化「何も変わっていない」49.2%

5.男女の賃金差の公表義務づけについて「全く知らなかった」38.7%

6.男女の賃金差の公表義務づけによる変化「何も変わらない」45.5%

7.フリーコメントより

◇フリーコメントより抜粋(年代:就業形態)

<同じ仕事をしているのに、女性と男性との間で賃金差があり不公平だと感じたことが「ある」と回答した人>
・長い間の慣習で、どうしても女性が仕事をセーブする働き方をする割合が多いため差がついている(40代:今は働いていない)
・女性というくくりで、役職につけないのは問題です(70代:役員)
・そもそも家庭での分担が公平でないのに公平もなにもないだろうと思う(50代:派遣社員)
・新聞を読んでいても、登場するのは大企業の正社員の女性をいかに役員登用するかとか、そういう話ばかり。働く女性の半分が非正規なのだから、賃金差をそもそも問題にさえしてもらえない女性が半分ということをもっと報道してほしい。働くすべての女性が生涯安心して働ける職場が少なすぎる(40代:パート/アルバイト)
・賃金差だけでなく、研修やチャンスも差がある(60代:派遣社員)
・男性に仕事や成果を横取りされ、陰で涙していたので。賃金の面だけでも、格差がなくなり働きやすくなってほしい(40代:SOHO/在宅ワーク)
・社会人3年目くらいまでは、女性の方が身だしなみにお金がかかるのに賃金が低いのは不公平だなと思った事があった。(スーツ2.3着と靴があれば体裁が整う男性と、高い化粧品代&毎週同じ服を着ていると何か言われ兼ねない女性との出費の違い)(50代:パート/アルバイト)
・成果も見てほしい(30代:今は働いていない)
・男性は、どの職場でも力仕事や危険な仕事を任せられる傾向にあるので、大変だなぁと思います。なので、男性のほうが少しぐらい賃金が高くてもいいかなぁと思います(40代:パート/アルバイト)
・女性というだけで賃金を低くされ、家事育児の責任も負わされる。不公平過ぎて絶望しかない。好きで女性に生まれた訳ではないのに(40代:今は働いていない)
・女性が男性のように、家庭のなかを考えずに働くことはまず無理です。それを理由に差をつけられるから、納得いかないのだと思います(40代:派遣社員)
・力の要る仕事や危険な仕事は男性の方がいい場合もある。こういう場合は納得する(60代:今は働いていない)
・以前の職場で上司に女性と持病のある人間は評価を上げることは無いと明言された事がある事から、そのような管理者への罰則などが無いと変わらないと思う(40代:フリー/自営業)
・長くいてダラダラ仕事をする男性職員よりも女性パートの方が有能な例をたくさん見てきた。しかしながら評価を下す側が「正社員の男性」であることが多く、どうしても男性を擁護しがち。そこを解消しないかぎり賃金格差は埋まらないのではないか?(50代:パート/アルバイト)
・昭和においてはあまり意識しなかった。性差で賃金が異なるのは根拠として理解し難い(60代:パート/アルバイト)

<同じ仕事をしているのに、女性と男性との間で賃金差があり不公平だと感じたことが「ない」と回答した人>
・男性と女性で賃金に差がある経験をしたことがないのだが(例えば同じ課長職にあって全く同じ仕事を同じ時間だけしていても、男性(女性)であるというだけで他方より基本給が高い?そんな不公平なことが?)、もしそういうことがあるなら、それを公表しなければならないとなったら企業イメージの低下を懸念してその賃金差を解消しようという方向に動くかもしれないと思う(40代:公務員/団体職員)
・女性がそれを受け入れている状況にも問題があるのではないか(30代:契約社員)
・仕事内容での差なら仕方ないけれど、同じ仕事なら差別だと思います(50代:パート/アルバイト)
・生理休暇等を求める限りある程度仕方ない部分は仕方ないのかもしれないとは思う(40代:契約社員)
・男性と女性で立場が違うから賃金差も必要だと思う(40代:パート/アルバイト)
・同じ仕事をしていて女性と男性の賃金差がある職場で働いたことはない。女性は出産育児によってキャリアが中断され出世できず、結果的に男女の賃金差が発生しているように思う(30代:その他の働き方)
・制度を作る側(政府や官僚や雇用側)に男尊女卑な考えや甘えがあると、なかなか不公平な差が埋まらないと思います。女性は、「男性並みに仕事をこなし、かつ女性らしい細やかさも忘れず、さらに家事や育児も当たり前のようにこなすべき」という負担がまだまだ大きいと思います(50代:パート/アルバイト)
・いくつもの会社に勤務してきたが、男女間や雇用形態の違いで差を感じるというより、責任の重さが違い、そこに差があるので納得感がある。男女の賃金差は同一労働なのに同一賃金にならないのではなく、女性の方がアシスタント的なポジションが多く、あまり昇給が望めないからだと思うので、政府のアプローチに違和感がある(40代:今は働いていない)
・子育て中や家庭の事情は女性が担うことが多いので仕方ない部分もあると思うが、同じ業務内容なら同賃金にするべき(40代:パート/アルバイト)
・男女の体格の差によりどうしても同じ仕事ができない職種もあると思います。宅配便など。そういう性差はなくならないと思うので、賃金差が多少生じるのは仕方ないと思います(50代:パート/アルバイト)
・仕事内容などで差があって当然だが、お茶くみなどの作業はそれぞれが行い、来客時などは余裕のある人がやるべきと思います(50代:今は働いていない)
・女性と男性ではどうしても結婚・出産により現状キャリアパスが違ってくるので、全世代で見た時に賃金差が出てしまうのは当然だと思う(30代:パート/アルバイト)
・私は女性が家庭を守る方がうまくいくと思っている古い考えの持ち主なので、男性が責任ある仕事を任されて賃金が多いのは当然と考える(40代:派遣社員)
・賃金差がない=女性も男性と同様バリバリ働ける、ということではないので、子育てや介護があるのに何の足枷もない男性並みに働けといわれても困る(40代:パート/アルバイト)
・女性だから低いとは思っていない。女性が家庭に割く時間が多いため、仕事を最優先にできる男性が活躍している。逆の家庭もある。拘束時間の自由度に関わらず、仕事の成果で評価されたら嬉しい。家庭があると、拘束時間はどうしても仕事優先にできない(40代:パート/アルバイト)

■しゅふJOB総研 研究顧問 川上敬太郎より

女性か男性かという違いは、賃金に影響を与えているのか。主婦層を中心とする就労志向の女性に、「同じ仕事をしているのに、女性と男性との間で賃金差があり不公平だと感じたことはありますか」と尋ねたところ、「ある」と回答した人が6割を超えました。「ある」と回答した人に、どのような不公平を感じたか尋ねると「男性の方が賃金が高く、女性は低い」が8割を超えた一方、「女性の方が賃金が高く、男性は低い」と回答した人は0%でした。サンプルサイズが小さいため飽くまで参考値ですが、同じ質問に回答した男性は「男性の方が高いと答えた人」が50.0%、「女性の方が高いと答えた人」が7.1%で、「男性の方が高い」と感じる意識は女性の方がより強いのかもしれません。

「同じ仕事をしているのに賃金に差がつくとしたら、どういう理由であれば納得感がありますか」との質問に対しては、「仕事への責任の重さで差がつく時」が最も多く61.2%、「深夜など働く時間帯の違いで差がつく時」「成果や生産性の高さで差がつく時」「資格の有無で差がつく時」と回答した人も過半数に及びました。同一労働同一賃金関連法による変化については、「何も変わっていない」との回答が最も多く半数近くでした。また、政府が男女の賃金差の公表を義務づける方針を出したことについては「全く知らなかった」と回答した人が4割近く、公表の義務づけによってどんな変化がおきるかについては「何も変わらない」が最も多く45.5%でした。一方、公表義務づけで「女性と男性の賃金差が縮まる」と回答した人も3割近くに及んでいることから、周知はこれからではあるものの効果を期待する人が一定数いることが伺えます。

フリーコメントには、女性が家事や育児を担うケースが多いことが賃金に影響しているという声や、賃金だけでなく役職についたり研修を受ける機会も少ないと指摘する声、一方で力仕事などで差がついてしまうのは仕方がないなど、様々な意見が寄せられました。男女間の不公平な賃金差については、同一労働なのに不当に差がついてしまっているあからさまなケースだけでなく、家事育児による仕事上の制約や昇格・教育研修といった成長機会の差が及ぼす影響などについても注意を払う必要があるのだと考えます。

 

しゅふJOB総研 研究顧問 川上敬太郎 ープロフィールー

1973年三重県津市生まれ。愛知大学文学部卒業後、大手人材サービス企業管理職、業界専門誌『月刊人材ビジネス』営業推進部部長 兼編集委員などを経て、2010年に株式会社ビースタイル(当時)入社。翌年、調査機関『しゅふJOB総合研究所』を起ち上げ所長就任。

仕事と家庭の両立を希望する“働く主婦・主夫層”のべ40000人以上の声を調査・分析し、200本以上のレポートを配信。2021年に独立。“ワークスタイル”をメインテーマにした研究・執筆・講演、企業の事業支援および広報ブランディング活動のアドバイザリーなどに携わる。

人材派遣、紹介、アウトソーシングなど人材サービス事業に20年以上従事し、役員・管理職として営業や新規事業の立ち上げなど事業現場の最前線から、広報ブランディング・経営企画・人事など管理部門までを管轄。雇用・労働分野の有識者として多数のメディアに出演し、人材マネジメントから法規制まで雇用労働分野の幅広いテーマについて意見提言を行う。男女の双子を含む4児の父で兼業主夫。

Facebookページ:『ヒトラボ』編集長(2011年~)/Facebookグループ:『人材サービスの公益的発展を考える会』主宰(2016年~)/JCAST会社ウォッチ解説者/日本労務学会員

◇委員等 厚生労働省 委託事業検討会委員
民間人材サービス活用検討事業「民間人材サービス事業者のノウハウを活用した女性の復職促進検討会」(平成29~30年度)
労働者等のキャリア形成・生産性向上に資する教育訓練開発プロジェクト事業「プログラム検討委員会」(平成29~31年度)
日本人材派遣協会 派遣事業運営支援部会員(平成20~21年、24年)、内閣府 規制改革会議 雇用WG勉強会(平成26年)など

◇メディア出演 NHK『あさイチ』解説、テレビ朝日『ビートたけしのTVタックル』パネラー、フジテレビ『みんなのニュース:ふかぼり』解説などのテレビ出演の他、ラジオ・新聞・雑誌・ビジネス系ウェブメディアなどでコメント多数

◇執筆・その他 ITメディア連載『「人材サービス」が滅ぶ日は来るのか?』/マネープラス連載『ワークスタイルの見つけ方』
他、日本経済新聞、日経MJ、時事通信、NEWSポストセブン、アーバンライフメトロなど執筆・寄稿記事多数

大学や男女共同参画センターなどでの講演、パネルディスカッションのモデレーターなども務める

 

■調査概要
調査手法:インターネットリサーチ(無記名式)
有効回答者数:569名 ※女性
調査実施日:2022年7月12日(火)~2022年7月19日(火)まで
調査対象者:ビースタイル スマートキャリア登録者/求人サイト『しゅふJOB』登録者

<しゅふJOB総研について>

「結婚・出産などのライフイベントに関わらず、もっと多くの女性が活躍できる社会をつくりたい」そんな志のもと2011年につくられた研究所です。「女性のライフスタイルと仕事への関わり方」に対する社会の理解を高め、女性の働きやすい職場をより多くつくっていくために、定期的なアンケート等の調査を実施し結果を社会に発信しています。
※過去の調査結果はこちら⇒https://www.bstylegroup.co.jp/news/shufu-job/
※しゅふJOB総研は、東京大学SSJDAに過去の調査データを寄託しています⇒http://bit.ly/2n8jHIJ

<ビースタイルグループについて> https://www.bstylegroup.co.jp/

『時代に合わせた価値を、創造する。』という存在意義 -PURPOSE- のもと、その時代の社会問題や人々の不便を革新的な事業によって解決しようと取り組んでいます。創業以来、主婦の雇用をのべ17万人以上創出してきた「しゅふJOB」や多様な働き方×ハイキャリアを実現する「スマートキャリア」、すきま時間で働く「ご近所ワーク」など人材サービス事業を主軸に、業務自動化支援にも取り組み、使命 -MISSION- 『「はたらく」をもっと、しあわせに。』を、人と仕事の適材適所によって実現してまいります。

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