ふるさと納税における自治体間競争が激化しており、寄付額増加のために契約するポータルサイトの利用数は増加傾向にあります。ポータルサイトの利用数は自治体によって大きく差があり1サイトから21サイトの利用数となりました。また、ポータルサイト別の利用数では、上位4サイトで60%以上を占める結果となりました。
調査の背景
ふるさと納税制度は2008年の開始以降、寄付者数も寄付額も右肩上がりとなっています。2014年時点では寄付を集めるポータルサイト数は2つだけでしたが、2022年には30を超えています。そこで、自治体のふるさと納税に関するサイト戦略がどう変化したのかを調査をしました。
「自治体のふるさと納税ポータルサイト利用調査」の主な結果
■6サイト以上利用する自治体は約4割となっています。
1サイトだけ利用する自治体は全体の11.3%、4サイトを利用する自治体が17.3%と最も多い割合となり
ました。10サイト以上利用する自治体は92、21サイトを利用する自治体もあり、自治体のふるさと納税へ
の戦略によって大きく差があることが分かりました。
■ふるさとチョイスが採用自治体数はトップになりました。その後楽天、さとふる、ふるなびと続きます。
ふるさとチョイスが全国自治体の94.3%で掲載されており、トップとなりました。続いて楽天、さとふるまでは1,000以上の自治体で利用されています。サイトがオープンしてまもないサイトも多いため、単純な比較はできませんが、先行してサイトをオープンさせたポータルサイトが総じて掲載自治体数が多くなっています。後発のサイトが掲載自治体数を伸ばすことは容易ではなく、数で競わない方向で上位サイトとの差別化が問われています。
■掲載サイト数と寄付額は緩やかに比例しています。
掲載サイト数と寄付額の関係性を分析しました。以下のグラフの通り、緩やかな上昇曲線を描いており緩やかな比例になっていますが、サイト数を増やせば必ず寄付額が増えるとも言えない程度のばらつきがあります。サイト数以外の寄付額を増加させる因子が影響しています。
■今回の調査を通じて
想定以上に自治体のポータルサイト利用数が増加していました。上位サイトに自治体の掲載が集中している状態です。また、ポータルサイト数を増加すれば寄付額は緩やかに比例しています。しかし、数を増やすことで自治体運営が複雑になり、在庫管理等の問題の発生率が高まります。自治体の戦略に合致したポータルサイトを増やしつつ、事故のリスクを低減させ効率化を図ることが、自治体にとっての戦略課題であることを再認識できた調査結果となりました。ポータルサイト側にも上位サイト以外は自治体の戦略に合致できるような特色あるポジションニングをとる必要があると思われます。
<調査概要>
・調査名称 自治体のふるさと納税ポータルサイト利用調査
・調査対象 ふるさと納税に関する地方自治体のふるさと納税ポータルサイト数を調査しています
・調査時期 2022年5月〜7月
・調査対象者 全国地方自治体
・実施主体 株式会社ふるさと納税総合研究所
<ふるさと納税総合研究所につきまして>
ふるさと納税の健全な発展を目指すべく、自治体、関係企業と連携しながら、ふるさと納税の価値や有用性を発信し、また助言を行ってまりいます。
社名:株式会社ふるさと納税総合研究所
本社所在地:大阪府大阪市
代表取締役:西田 匡志(中小企業診断士、総合旅行取扱管理者)
事業内容: ふるさと納税市場における調査、研究、コンサルティング、ソリューション提供等
HP:https://fstx-ri.co.jp/