全国約3000世帯に夏休みの体験を提供!#夏休み格差をなくそう プロジェクト終結報告と今後の取り組みについて

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認定NPO法人フローレンス(東京都千代田区、代表理事:赤坂緑)は2023年7月12日~9月30日の期間に体験の機会を提供することでこどもの夏休み格差を埋める「#夏休み格差をなくそう プロジェクト」を実施し、ひとり親家庭や経済的に厳しい子育て家庭など約3000世帯へ体験を提供しました。

多くのこどもたちが海水浴やキャンプ、スポーツ観戦、野外学習といった体験を心待ちにする、夏休み。しかし、いま日本では、こどもの約9人に1人が相対的貧困の環境下にあり、夏休みを寂しい思いで過ごすこどもが少なくないのです。学校が無い夏休み期間は家庭によって格差が拡大しやすい状況があります。

またそういった格差はこどもたちに寂しい思いをさせるだけでなく、こどもたちの成長にも影響を及ぼし、就学の差、所得の差、最終的には貧困の連鎖に繋がる可能性があります。

フローレンスではこれまでも夏休みに食品の無料支援や機会提供を強化し、栄養や体験の格差解消の取り組みを行ってきましたが、今回はこどもの格差が浮き彫りとなる夏休みの課題のなかでも体験格差を埋める「#夏休み格差をなくそう プロジェクト」を2023年7月12日~9月30日まで実施しました。

(プロジェクト開始時の記事はこちら https://florence.or.jp/news/2023/07/post62143/

本記事では「#夏休み格差をなくそう プロジェクト」のこれまでの取り組みとその成果、そして今後の取り組みについてお伝えします。

  • 2ヶ月半で全国約3000世帯へ体験を提供

「夏休みに夏休みらしい体験をさせてあげる事ができない」

「ひとり親世帯でかつ、介護もしており、時間がなく、こどもをどこかに連れて行く費用や充分な時間を取ることができていない」

フローレンスに寄せられた切実な親子の声から立ち上がった本プロジェクト。メインパートナーのアソビュー株式会社をはじめとして、複数の企業からの賛同と全国からの寄付を原資に、ひとり親家庭や経済的に厳しい子育て家庭に様々な体験を届けました。

7月12日のプロジェクト開始当初は寄付額1000万円を原資に全国1000世帯のこどもたちに体験をプレゼントすることを目標として開始しましたが、ご家庭からわずか数日で約3000人の方から体験申し込みが殺到しました。また、全国の皆さんからのご支援の反響を受け、8月4日に支援世帯目標数を1000世帯から全国1500世帯以上に拡大し、寄付募集額も1000万円から1500万円に拡大しました。

プロジェクトは9月30日に終結しました。

最終的に、全国2885世帯のご家庭に体験を届けることができました。またプロジェクト終結まで1500件以上の寄付が寄せられ、寄付金額は3175万円になりました。

支援世帯数、寄付募集額共に、目標を大きく上回り、プロジェクト開始時に設定していた目標値の約3倍を達成することとなりました。

ご支援に参加いただきました皆さん、本当にありがとうございました。

  • これまでに提供した体験

<こどもたちから届いた「ありがとう」>

全国からの寄付による遊びチケットの提供(アソビュー株式会社)

個人や法人企業からの寄付を原資に、アソビュー株式会社が運営する、全国のレジャー施設・体験の予約サイト「アソビュー!」で使用できるチケット(1家庭につき5000円分)を発行し、対象家庭に提供しました。

飛行機の格納庫見学&機内食体験(日本航空株式会社)

大きな飛行機を間近で見れる飛行機の格納庫見学に加え、飛行機を眺めながらの機内食体験や、飛行機や空の仕事を学べるミュージアム体験にこどもたちをご招待。格納庫見学では、普段見ることができない角度や距離感で飛行機を見ることができて、こどもたちも大興奮でした。

夏休みプログラミング教室(日本生命保険相互会社)

プログラムを【考える・作る・動かす】体験ができる初心者向けのプログラミング教室を開催しました。プログラミングとは何かをわかりやすく学んだ後、8歳から16歳向けにデザインされたプログラミング言語「Scratch(スクラッチ)」を使用し、実際にゲーム作成に挑戦。最後は「できた!」と喜ぶ姿を見せてくれました。

職業・社会体験施設(キッザニア東京)のチケット(日本生命保険相互会社)

こどもたちにとって、将来の夢や希望を抱くきっかけになるよう、楽しみながら社会のしくみを学ぶことができる「こどもが主役の街」、職業・社会体験施設『キッザニア東京』にご招待しました。

スシローで使用できるクーポン(株式会社FOOD & LIFE COMPANIES(あきんどスシローの親会社))

今回ご応募いただいたご家庭からは、外食をする機会がなかなか無いという声も多く届いています。外食の機会を楽しんでいただけるよう、「うまいすしを、腹一杯。うまいすしで、心も一杯。」がモットーの回転すし『スシロー』で使用できるクーポンをこどもたちにお届けしました。

服の無料配布会(株式会社ユニクロ)

ユニクロによる服のリユース品の無料配布会「服のチカライベント」を開催。

「厳しい生活の中で服のことは後回しになってしまう」。そんな状況の中で、新しい服を選べる喜びを提供しました。

完全に光を遮断した純度100%の暗闇体験(一般社団法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティ)

心のバリアフリー教育やダイバーシティ(多様性)推進、SDGs達成が求められる時代に、探求する力を遊びながら感じられる暗闇体験です。最初は暗闇で不安そうにしていたこどもたちもどんどん積極的に遊んだり話したりするようになり、最後には参加者全員から「楽しかった!」という声をもらいました。

一流スポーツ選手による指導体験 かけっこ教室(ドリームコーチング(日本テレビ放送網株式会社))

現役短距離選手で、箱根駅伝を目指す大学生を教えているコーチから、運動会やかけっこで、楽しく、速く走るためのトレーニングや走り方のコツを学びました。とても分かりやすい教え方で、その後お子さんから自己ベストを更新できた!との声もいただきました。

ルクミー体験パークの体験へのご招待(ユニファ株式会社)

こどもたちの興味関心や「やってみたい」という気持ちを応援できるよう、オンラインで様々な体験・習い事に出会える検索・予約サイト「ルクミー体験パーク」の初回無料クーポンを提供しました。

  • 体験に参加したご家庭の声

(プライバシーに配慮し、いただいた感想を一部加工して掲載しています。)

物価高の中どんどん厳しくなる家計の中で真っ先に削るとなるとレジャー費用。特に我が家はこどもの数が多いためお金の掛かるレジャーは今年は厳しいかもと諦めていました。フローレンスさんのクーポンのお陰でこども2人分の入園料にすることができ本当にたすかりました。兄弟3人で次は何乗るー?と相談している姿が本当にかわいくて暑い中でしたが目をキラキラ輝かせてはしゃぎまくっていました。1人で育てていると子どもに我慢させていることがいっぱいあるんじゃないか?なにもしてあげられていないと申し訳なく情けなくなる時も多かったのですが、この日はこどもたちの笑顔をたくさん見ることが出来て私も元気になりました。

走るのが苦手な上の子はレッスンに乗り気ではなかったのですが、レッスンが始まったら急にやる気を出していて驚きました。先生さすが!教え方うますぎ!!と思いました。ありがとうございました!先生の教え方がとても分かりやすかったし、今まで知らなかったことをたくさん教えてもらえて嬉しかったと言っていました。下の子は、今日学校でタイム計測があり、50mの自己ベストを更新できたとのことでした!

いつもだったら行かない所に行けて、本当に楽しかったです。こどもにいつも我慢させて節約しているのですが、「めっちゃ楽しかったー!!!又、行きたいなぁ」とニコニコで帰ってきました。16歳ですがまだまだこども。お金がかかる年頃なので、やりくりは大変ですが、自立していく年にも近づいてきていて、こういう時間は本当に大切だなとつくづく思いました。本当にこんな機会を作って下さってありがとうございました。

  • さらに体験格差をなくすため、次の取り組みへ

学校が無い夏休み期間において格差が拡大しやすい状況があり、夏休みにどこにも行けず寂しい思いをするお子さんを少しでも減らしていきたいとの思いで、開始当初は全国1000家庭への体験提供を目指して始動した本プロジェクト。

約3000世帯へ体験を提供しましたが、実際に体験に参加したご家庭からはたくさんの喜びの声を寄せていただきました。

「とても楽しかった。また行きたい!」

「こどもの嬉しそうな笑顔がたくさん見れました」

「目がキラキラと輝いていい思い出になったと思います」

いただいたメッセージからは、このプロジェクトを通して届けた体験が、こどもたちや親御さんの心に残る思い出となり、明日を生きる力となったことを実感することができました。

家庭の状況に関わらず、全てのこどもたちが体験を楽しみ、そして様々な体験を通して叶えたい未来を描き、創造できる社会。そんな新しいあたりまえに一歩近づけたのではないかと思います。

一方で、プロジェクト開始後に当初の想定を大きく上回り、募集枠に対して約3倍ものご家庭から申し込みが殺到したことからも、体験機会を提供することへのニーズの高さが明らかになりました。

「夏休み」という一過性の体験提供ではなく、全てのこどもたちがあたりまえに学びと体験の機会を得られるよう、さらなる取り組みが必要であることを改めて認識しました。

必要なこどもたちに体験機会を恒常的に届けられる仕組みをつくるため、フローレンスはこどもの体験格差をなくす新たなプロジェクトの立ち上げを検討しています。

立ち上げ資金についてはご寄付を広く募っていくほか、民間企業に体験寄付と資金での応援を呼びかけていきます。

構想中の新たな仕組みについては、11月に詳細を公式発表いたします。

今後の取り組みについても、皆さんからの応援が力になります。

引き続きフローレンスの活動にご支援をよろしくお願いいたします。

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