環境移送ベンチャーイノカ、中高生の起業家人材育成に向けた「ネイチャーアントレプレナー育成プログラム」の提供と提携校募集を開始

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人工的にサンゴ礁の生態系を陸上に再現する「環境移送技術」(※1)の研究開発を行う株式会社イノカ(本社 : 東京都港区、代表取締役CEO : ⾼倉葉太、以下「イノカ」)は、環境課題解決および、自然科学をベースとしたイノベーション創出を志す起業家人材の輩出を目的として、中学校・高校を対象とする「ネイチャーアントレプレナー育成プログラム」の提供を開始します。

当社は同プログラムを通して、政府が年内に策定するスタートアップ育成の5カ年計画の中に盛り込まれる方針(出典1)の中高生向け起業家教育を推進してまいります。

下段左から、株式会社イノカ 代表取締役CEO 高倉葉太、取締役CTO 上田正人、取締役COO 竹内四季、取締役CAO 増田直記。上段中央:株式会社イノカ 経営顧問 丸幸弘(株式会社リバネス 代表取締役 グループCEO)下段左から、株式会社イノカ 代表取締役CEO 高倉葉太、取締役CTO 上田正人、取締役COO 竹内四季、取締役CAO 増田直記。上段中央:株式会社イノカ 経営顧問 丸幸弘(株式会社リバネス 代表取締役 グループCEO)

※1 環境移送技術:天然海水を使わず、水質(30以上の微量元素の溶存濃度)をはじめ、水温・水流・照明環境・微生物を含んだ様々な生物の関係性など、多岐に渡るパラメーターのバランスを取りながら、自社で開発したIoTデバイスを用いて、任意の生態系を水槽内に再現するイノカ独自の技術のこと。2022年、時期をずらしたサンゴの人工産卵に世界で初めて成功。

 

  • 背景:日本は起業活動の浸透レベルが先進諸国で最も低い

令和2年に公表された経済産業省委託調査「起業家精神に関する調査」によると、起業の活発さを示す指標である「起業活動率」(18~64歳に占める起業3年半未満と準備中の人の割合)は、19年の調査で米国の17.4%に対し、日本は5.4%にとどまり、海外と比べると低調となっています。

日本の起業活動が低調である要因を探るための指標の一つとして、起業家や起業家精神の社会への浸透度が挙げられます。社会学の制度理論によると、起業家が社会的に認知され、起業家というキャリアの選択や起業活動それ自体が正当化されていれば、それらの存在が当然のことだと思われるようになり、結果として、起業活動が活発化するとの分析結果が得られています。

起業活動浸透(ロールモデル)指数(※2)は、日本は先進諸国のなかで最も低く、特に起業活動の浸透が進んでおらず、起業家との接点の少なさが課題となっています。

経済産業省委託調査「起業家精神に関する調査」より抜粋(出典2)経済産業省委託調査「起業家精神に関する調査」より抜粋(出典2)

経済産業省委託調査「起業家精神に関する調査」より抜粋(出典2)経済産業省委託調査「起業家精神に関する調査」より抜粋(出典2)

※2 起業活動浸透(ロールモデル)指数:「過去 2 年間に、新しく事業を始めた人を個人的に知っていますか」という質問に対する回答として、新しく事業を始めた人を個人的に知っているとする成人人口の割合。
 

  • ネイチャーアントレプレナーについて

イノカが提唱する「ネイチャーアントレプレナー」とは

「ネイチャーアントレプレナー(Nature Entrepreneur;自然起業家)」とは、自然に目を向けて多くを学ぶことにより、地球環境問題の解決や、自然科学をベースとしたイノベーション創出を志す起業家人材のことを意味するイノカ独自の概念です。

「ネイチャーアントレプレナー」は、社会課題の解決と収益確保の両立を目指す「ソーシャルアントレプレナー(Social Entrepreneur;社会起業家)」に続く存在として位置付け、グローバルアジェンダである地球環境課題を強く認識するとともに、自然に対する理解を深めるためにサイエンスとテクノロジーを駆使。ビジネスが持つレバレッジ効果を組み込むことで、自然資本(Natural Capital)の保全に向けた大きなインパクトを創出します。

近年国際的に重要視されるようになった「自然資本(Natural Capital)」は、生態系が人類にもたらす「生態系サービス」等を包含する概念であり、世界GDPの1.5倍以上である125〜140兆ドル / 年の経済価値を持つとされ、人類の経済・社会を支える根底としての見方が広がっています。

すなわち、人類にとっての持続可能な社会を実現する上では、自然資本の保全が不可欠であり、金融・経済をはじめとする社会システムの変革や、潜在的な顧客価値のメカニズムが内在されていることから、ビジネスにおいても重要性を持つと考えられます。

SDGsのウエディングケーキモデル(Stockholm Resilience Centre, Stockholm University)。自然資本(図中では Biosphere:生物圏 と表記)が、人類の経済・社会を支える根底に位置付けられる。SDGsのウエディングケーキモデル(Stockholm Resilience Centre, Stockholm University)。自然資本(図中では Biosphere:生物圏 と表記)が、人類の経済・社会を支える根底に位置付けられる。

イノカが取り組む課題とアプローチ

株式会社イノカは「人と自然が共生する世界をつくる」というビジョンを掲げ、日本で有数のサンゴ飼育技術を持つアクアリストと、東京大学でAI研究を行っていたエンジニアが2019年に創業したベンチャー企業です。ネイチャーアントレプレナーシップを体現するスタートアップ企業として、地球環境における重大な課題である海洋生物多様性の保全や、海洋が潜在的に持つ価値を最大化する「海の見える化」に取り組んでいます。

当社が先進的に取り組んでいる代表例が「サンゴ礁生態系の保全」です。

サンゴ礁(サンゴが形成する地形)は海の表面積の0.2%を占めるにすぎない一方で、サンゴ礁海域には海洋生物種のうち約25%(約10万種)が生息。(出典1)サンゴ礁の生物多様性は、海洋における遺伝資源の宝庫とされています。例えば、海洋遺伝資源を由来とする製品化事例としては、抗がん剤や研究用試薬などが挙げられます。また、日本には全世界における造礁サンゴ約800種類のうち約450種類ものサンゴ種が沖縄から鹿児島エリアに分布するなど、世界有数のサンゴ礁生態系を有していることから、日本固有の海洋遺伝資源は、潜在的な価値も含めて重要な資源とみなされています。

しかしながら、20年後には気候変動に伴う海水温の上昇によりサンゴの70~90%が死滅する可能性があると予測されており、サンゴ礁生態系が有する豊かな遺伝資源も失われる恐れがあります。

沖縄のサンゴ礁。日本は、世界のサンゴ種のうち半分以上が分布するサンゴ大国である。沖縄のサンゴ礁。日本は、世界のサンゴ種のうち半分以上が分布するサンゴ大国である。

イノカはサンゴ礁生態系に代表されるグローバルな海の課題を解決すべく、独自の環境移送技術を通じて海洋における新しい知見の抽出を推進するとともに、世論形成とルールメイキングを戦略の柱として位置付け、行政・民間企業・研究機関との戦略的パートナーシップを強化しています。

収益源となる事業領域としては、
・環境教育プログラム「サンゴ礁ラボ」
・海洋生体に対する影響評価・共同研究を行う「海洋治験サービス」
・オフィスやビルエントランスにサンゴ礁生態系水槽を設置する「オフィスブルー事業」
・海をモデル化して漁業等における課題解決への貢献を目指す「環境移送解析サービス」
といった、独自性の高い事業開発を推進しております。
 

  • 「ネイチャーアントレプレナー育成プログラム」について

プログラム概要

イノカでは「ネイチャーアントレプレナーの育成」をテーマに、中高生向けにアントレプレナーシップ教育プログラムの提携校を募集いたします。

<対象>
先進的な起業家育成を目指す、全国の中学校・高等学校(公立・私立問わず)

<提供可能なプログラムの例>
【座学】オンライン / 出張での講演(起業についてなど。テーマ応相談)
【研究支援】環境移送技術を活用した共同研究案の募集および研究支援
【事業開発】イノカのリソースを活用した事業開発についてのメンタリング
【就業体験】スタートアップ現場を知るためのインターン現場の提供
※ 講座設計については柔軟にご対応可能ですので、 info@innoqua.jp 宛にお問い合わせください。

第1弾:2022年7月22日(金)渋谷教育学園渋谷中学校での講演実施

当プログラム提供の第一弾として、渋谷教育学園渋谷中学高等学校(東京都渋谷区)にて、イノカ代表取締役CEOの高倉が、出張講演を実施いたします。
東京大学での機械工学研究を飛び出して、海洋環境課題を解決するスタートアップであるイノカを創業した理由や想い、環境移送技術やサンゴを通じた地球貢献の構想をテーマに、アントレプレナーシップについてお話しいたします。

当日の実施の様子は、後日ニュースレターにて公開予定です。

講師陣の紹介

■ 株式会社イノカ 代表取締役CEO 高倉 葉太(タカクラ ヨウタ)
1994年生まれ。兵庫出身。甲陽学院中学校・高等学校卒業。
東京大学工学部を卒業、同大学院暦本純一研究室で機械学習を用いた楽器の練習支援の研究を行う。2019年4月に株式会社イノカを設立。
2021年10月より一般財団法人 ロートこどもみらい財団 理事に就任。
同年、Forbes JAPAN「30 UNDER 30」に選出。

■ 株式会社イノカ 取締役COO 竹内 四季(タケウチ シキ)
1994年生まれ。鹿児島出身。ラ・サール中高、東京大学経済学部経営学科卒業。
学部時代は社会保障ゼミにて、ソーシャルビジネスに関する事例研究を行う。
メガベンチャーを経て、2020年2月にイノカにジョインし、ビジネスサイド全般を管掌。
「環境保全 × 経済合理性」を軸とする事業開発・経営戦略の立案を得意とし、上場企業に対するコンサルティング、ウェビナー等の講演実績多数。
 

  • 【株式会社イノカ】

イノカは「人と自然が共生する世界をつくる」ことをビジョンに掲げ、国内有数のサンゴ飼育技術を持つアクアリスト(水棲生物の飼育者)と、東京大学でAI研究を行っていたエンジニアがタッグを組み、2019年に創業したベンチャー企業です。

「海の見える化」をミッションに掲げ、自然を愛し、好奇心に基づいて飼育研究を行う人々の力と、IoT・AI技術を組み合わせることで、任意の生態系を水槽内に再現する『環境移送技術』の研究開発を推進しています。2022年2月には世界初となるサンゴの人工産卵実験に成功しました。

当社は、遺伝資源を含む海洋生物多様性の価値を持続可能にすることを目的として、2022年7月には国内ベンチャー企業としては初の事例となる、「自然関連財務情報開示タスクフォース(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures:以下「TNFD」)」のフォーラムメンバーへの参画を公表しております。

出典

​​(出典1)新しい資本主義の グランドデザイン及び実行計画 ~人・技術・スタートアップへの投資の実現~ (令和4年6月7日)https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/pdf/ap2022.pdf

​​(出典2)経済産業省委託調査「起業家精神に関する調査」https://www.meti.go.jp/policy/newbusiness/main_01/press001/GSE2019_1.pdf

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