本年5月に新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行し、企業活動や社会がコロナ前の日常風景に戻りつつあるなか、多くの企業が模索している出社と在宅との最適なバランスやマスク着用をめぐる意識などについて明らかにします。また、テレワークやスマートフォンが普及したことで、勤務時間外の業務連絡が多くなることによる過重労働の問題も増えています。本調査は、「つながっている時間」(勤務時間外における業務連絡に応答している時間)を明らかにすることで、過重労働を抑制するための社内ルールの整備に資することも目的に実施いたしました。
■主なトピックス
【テレワークに関する調査】
1.2023年7月のテレワーク実施率は22.2%で、2020年4月以降で最も低くなった。
2.テレワーク実施率【雇用形態別】
雇用形態別には、契約社員・嘱託社員は12.4%、派遣社員は16.4%、パート・アルバイトが9.8%。公務員・団体職員は12.9%であった。
3.コロナウイルス5類感染症移行後(2023年5月8日以降)、テレワーク非実施者が増加。職場の出社者数は「増えた」が合計24.6%。
4.テレワークを実施していない理由の最上位は「テレワークで行える業務ではない」で40.4%。
5.企業規模別に見ると、2022年2月をピークに、すべての規模でテレワーク実施率が低下。
6.テレワーク実施率【業種・地域別】
情報通信業が最上位で55.3%、学術研究、専門・技術サービス業が28.6%と続く。ほとんどの業種、地域で昨年同期比で減少傾向。
7.テレワーク実施率【都道府県別】
都道府県別には、東京が38.8%で1位。2位が神奈川県で33.1%。
8.テレワーク実施率【職種別】
職種別の実施率は、Webクリエイティブ職で64.5%、コンサルタントが61.4%と高い。
9.テレワークに関する企業方針は、「特に会社からの指示無し」が63.1%。原則出社指示は21.5%。
10.テレワーク実施者のテレワーク継続意向は81.9%。過去最高の結果となった。
11.テレワークしているときの困りごとは「運動不足を感じる」が59.0%。「仕事に集中できない」などが前年同期よりも増加。
12.テレワークしているときの不安感は、「相手の気持ちがわかりくい」が42.7%。全体的に前年同期より増加。
【「つながっている時間」に関する調査】
13.業務連絡に対応する時間帯から、1カ月あたりの「つながっている時間」を簡易推計した結果、月間232.3時間。これは平均活動時間(起きている時間)のおよそ45.5%にあたる。
14.職種別の「つながっている時間」では、営業職が月間270.1時間で最長。勤務時間外に連絡が来る回数は、月あたり平均で23.9回。営業職は31.9回。
15.58.4%が、業務時間外の連絡へ即時対応を求められている(過去1カ月)。
16.「つながっている時間(休日・勤務日合計)」の長さにプラスの影響を与えていた組織的要素は、成果主義・競争的風土、処遇の個人差の大きさ。
17.勤務時間外の連絡に関する社内規則があるのは、31.0%。「顧客・取引先に対して、対応可能な時間を案内している」が最多の8.6%。
※本トピックの図表については下記ページをご参照下さい。
https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/assets/telework-survey8.pdf
【就業時マスク調査】
18.就業時のマスク着用率(たまに着用・着用の計)は79.8%で、プライベートよりも6.1ポイント多い。着用理由は、「自己判断」が55.7%で、「会社からの指示」が31.2%、「職場の雰囲気」が29.5%。
19.コロナウイルス5類感染症移行後(23年5月8日以降)、就業時のマスク着用は「減った」計(少し+かなり)が41.6%。会社の飲み会は「増えた」計(少し+かなり)が28.6%。
20.就業時マスク着用率【職種別】
※本トピックの図表については下記ページをご参照下さい。
https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/assets/telework-survey8.pdf
21.就業時のマスク着用理由 【職種別】
※本トピックの図表については下記ページをご参照下さい。
https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/assets/telework-survey8.pdf
22.就業時マスク着用、「着用していたい」が40.5%。「着用したくない」を10ポイント近く上回る。
■調査結果からの提言
昨年から続くテレワーク実施率のダウントレンドは、新型コロナウイルスの第5類感染症への移行後、さらに顕著に見られている。6割は特に会社からの指示は無く、2割は原則出社の指示がでている。テレワーカーのテレワーク継続意向が8割を超え続けている実態と合わせて考えると、企業は自社の人材獲得力とのバランスを考慮する必要がある。なし崩し的ではなく戦略的にテレワークを位置づけ、従業員と積極的にコミュニケーションしていきたい。
また、遠隔での勤務やスマートフォンの普及によって問題になっているのは、勤務時間外の業務連絡が多すぎるという問題だ。今回、正規雇用社員の「つながっている時間(業務連絡の応答時間帯)」を推計すると、平均で月間232時間となり、これは人の活動時間のおよそ45%程度にあたる。業務外連絡が日常化している企業は、社内でのルールや顧客への案内などの対策を検討したい。
就業時のマスク着用についても、5類移行後に減ったものの、未だ約8割が着用している。着用理由は「会社からの指示」や「職場の雰囲気」がそれぞれ3割前後で、個人判断以外の組織的な要因も大きい。企業は、職種による違いや感染拡大の状況などを鑑みながら方針を定めていく必要があるが、その判断に本データが参考になれば幸いである。
●本調査を引用いただく際は、出所として「パーソル総合研究所」と記載してください
●調査結果の詳細については、下記URLをご覧ください。
URL:https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/assets/telework-survey8.pdf
●構成比の数値は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、個々の集計値の合計は必ずしも100%とならない場合があります。
■調査概要
調査名称 |
パーソル総合研究所「第八回・テレワークに関する調査/終業時マスク調査」 |
調査内容 |
テレワークの実態や意識、就業時のマスク着用状況を定量的に把握する。 つながっている時間(業務時間外においても業務連絡に応答している時間)の実態を明らかにする。 |
調査手法 |
調査会社モニターを用いたインターネット定量調査 |
調査時期 |
2023年7月13日‐7月18日 |
調査対象者 |
[テレワーク実態・就業時マスク実態について] 全国の就業者20~59歳男女、勤務先従業員人数10名以上 正規雇用 n=24,644 非正規雇用 n=5,968 公務員・団体職員 n=302 ※これまでの調査データと比較するため、主に正規雇用の従業員の数値を用いて分析。 ※正社員の調査結果の数値は国勢調査の正規の社員性年代別の構成比、第四回/五回/六回/七回調査時の職種の構成比に合わせてウェイトバック処理。 ※グラフのサンプル数はウェイトバック処理後のサンプル数。四捨五入処理の関係で、合計数字が異なる場合がある。 [その他詳細について]テレワーク実施者(正社員) =3,000 |
実施主体 |
株式会社パーソル総合研究所 |
■【株式会社パーソル総合研究所】<https://rc.persol-group.co.jp/>について
パーソル総合研究所は、パーソルグループのシンクタンク・コンサルティングファームとして、調査・研究、組織人事コンサルティング、タレントマネジメントシステム提供、人材開発・教育支援などを行っています。経営・人事の課題解決に資するよう、データに基づいた実証的な提言・ソリューションを提供し、人と組織の成長をサポートしています。
■【PERSOL(パーソル)】<https://www.persol-group.co.jp/>について
パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げることで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。
人材派遣サービス「テンプスタッフ」、転職サービス「doda」、BPOや設計・開発など、人と組織にかかわる多様な事業を展開するほか、新領域における事業の探索・創造にも取り組み、アセスメントリクルーティングプラットフォーム「ミイダス」や、スキマバイトアプリ「シェアフル」などのサービスも提供しています。
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