日本の労働市場は、少子高齢化による急速な労働力不足や、デジタル技術の活用の遅れによる労働効率の低下など多くの課題に直面しており、人材サービス産業の果たす役割は年々高まっています。
日本最大級の求人情報サイト「バイトル」などを運営する当社は、2016年より日本最大級のAI専門サイト「AI NOW(エーアイナウ)」を運営(※1)、AIスタートアップ支援制度「AI . Accelerator」を実施、CVC「DIP Labor Force solution Fund」を通じて20社以上のスタートアップ投資を行ってまいりました。また2019年よりDX事業を開始し、すでに1万社以上が利用するSaaSサービス「コボットシリーズ」を展開、2021年には経済産業省の定める「DX認定事業者」認定を取得しており、最先端テクノロジーを活用した労働市場の課題解決に取り組んできました。そしてこの度、生成系AIを活用し雇用創出の可能性を大きく広げる“これからの仕事探し”を実現すべく「AIエージェント事業」の開発を開始いたします。
生成系AI等の技術革新に伴い、仕事探しは従来の「大量の求人情報から検索する・選ぶ」方法から「対話しながら最適な仕事に出会える」方法へと進化し、採用率を大幅に高めることが期待されます。当社は「全国の採用コンサルタントによって集められた独自の求人情報」と「求職者の顕在・潜在ニーズ」といった質の高いデータからマッチング精度を高め、インタラクティブに最適な仕事に出会える機会創出に貢献してまいります。
<背景>
インターネット求人情報サービスは仕事選びを効率的にしましたが、求人情報サイトに訪問した人が採用にいたる率は十分とは言えません。その精度を高めるために「人」がマッチングする人材紹介サービスがハイクラス人材採用サービスとして需要を伸ばし就業率を高めている一方、利用率は20%前後にとどまっているのが現状です(※2)(※3) 。人手にコストがかかり、年収×手数料率で収益が決定する人材紹介サービスは高年収帯ユーザー向けのサービスに集中するのは自然なことともいえます。当社は、本来人材紹介サービスを提供するべき方々を「すべての仕事選びに課題を持つ方」と考え、その解決策としてAIが人材紹介業務を代替するサービス開発の検討を進めてまいりました(※4)。本事業では「人」が行っている業務の多くを代替する可能性を持つChat GPTのような生成系AI技術を活用し、人材紹介サービスの収益構造を刷新することで、誰もが気軽に人材紹介サービスを利用できるようになり、働くことの喜びや幸せを感じられる社会を実現してまいります。
(※1)https://ainow.ai/
(※2)総務省「労働力調査」、厚生労働省「職業紹介事業の事業報告の集計結果について」
(※3)矢野経済研究所「2022年版 人材ビジネスの現状と展望」
(※4)求人サイト上で全件検索ができる状態で一部の求人をリコメンドする行為は、指針上職業紹介には該当しないと考えられるとされています。当該サービスは産業競争力強化法の「グレーゾーン解消制度」を活用し、職業安定法における「職業紹介」にあたるかの適否を確認する等、関連法規制のもと適正な運営を行います。
▼「AIエージェント事業」概要
日本最大級の求人情報サイト「バイトル」を運営する当社が、生成系AI技術の活用・実用化により雇用創出の可能性を広げる取り組みとして開発を開始した新たな事業です。これにより従来の「大量の求人情報から検索する・選ぶ」方法から「対話しながら最適な仕事に出会える」方法へと進化し、採用率を大幅に高めていくことを目指しています。
新技術では、プログラムされた規則やロジックに基づいて応答を生成する従来のチャットボットとは異なり、自然言語処理技術を使用してより自然な応答を生成することができます。また、対話によって一人ひとりの潜在的ニーズを把握し、それに応じて時には行動を後押しするなど適宜適切なサポートも可能となります。そのため、「人」が介する場合と同等かそれ以上の最適なマッチングを実現する可能性を秘めています。しかしながら、この技術が幅広い求職者に利用されるためにはマッチング精度の向上が必要であり、そのためには求人企業の最新かつ信頼性の高い情報・データを利用することが重要です。本事業では、求職者の言葉や行動データにくわえて、全国約2,000名の採用コンサルタントが集めた「独自の最新かつ正確な求人情報」と求職者の「顕在・潜在ニーズ」を活用してマッチング精度を高め、一人ひとりに優しく寄り添い最適な仕事・職場に出会える機会創出に貢献してまいります。本事業では1年以内の実用化を目途としています。
▼「ディップ技術研究所」概要
東京大学大学院工学系研究科の松尾豊研究室の成果活用型企業である株式会社松尾研究所と産学連携で共同研究を行います。本研究所内で研究内容とプロトタイプを発表し、社会実装の評価が得られるものは当社のプロダクトに実装してまいります。
<産学連携テーマ>(予定)
・人材紹介の対話型エージェントによる代替
・求人原稿作成の文章自動生成による代替 等
<組織編制>
・アドバイザーとして慶應義塾大学環境情報学部 安宅和人教授が就任。
・本研究所所長に当社執行役員 商品開発本部長 進藤圭が就任。
松尾豊氏コメント・プロフィール
人工知能の分野では、大規模言語モデルと呼ばれる技術が急速に進展しています。Cat GPTをはじめ、ビックテックが様々なモデルを出しており、これが社会の幅広い領域にインパクトをもたらすということが間違いないと思います。人材の領域も新しい技術によって大きく変わっていきます。そこにいち早く取り組んでいくということは大変重要だと思っています。共同研究を通しディップ技術研究所が発展していくことを楽しみにしています。
(プロフィール)
1997年 東京大学工学部電子情報工学科卒業。2002年 同大学院博士課程修了。博士(工学)。同年より、産業技術総合研究所研究員。2005年8月よりスタンフォード大学客員研究員を経て、2007年より、東京大学大学院工学系研究科総合研究機構/知の構造化センター/技術経営戦略学専攻准教授。2014年より、東京大学大学院工学系研究科 技術経営戦略学専攻 グローバル消費インテリジェンス寄付講座 共同代表・特任准教授。2019年より、東京大学大学院工学系研究科 人工物工学研究センター/技術経営戦略学専攻 教授。専門分野は、人工知能、深層学習、ウェブマイニング。人工知能学会からは論文賞(2002年)、創立20周年記念事業賞(2006年)、現場イノベーション賞(2011年)、功労賞(2013年)の各賞を受賞。人工知能学会では学生編集委員、編集委員を経て、2010年から副編集委員長、2012年から編集委員長・理事。2014年から2018年まで倫理委員長。2017年より日本ディープラーニング協会理事長。2019年よりソフトバンクグループ社外取締役。
安宅和人氏プロフィール
慶應義塾大学 環境情報学部教授、Zホールディングス株式会社 シニアストラテジスト。マッキンゼーを経て、2008年からヤフー。前職ではマーケティング研究グループのアジア太平洋地域中心メンバーの一人として幅広い商品・事業開発、ブランド再生に関わる。2012年よりCSO、2022年よりZHD シニアストラテジスト。2016年より慶應義塾大学SFCで教え、2018年秋より現職(現兼務)。2013年春よりデータサイエンティスト協会理事・スキル定義委員長。一般社団法人 残すに値する未来 代表。総合科学技術イノベーション会議(CSTI)専門委員、内閣府デジタル防災未来構想チーム座長ほか、科学技術及びデータ×AIに関する国や経団連などの公的検討に多く携わる。イェール大学脳神経科学PhD。著書に『シン・ニホン』(NewsPicks)や『イシューからはじめよ』(英治出版)など。
当社概要
労働市場における諸課題を解決し、誰もが働く喜びと幸せを感じられる社会の実現を目指す“Labor force solution company”をビジョンに掲げ、人材サービス事業とDX事業を運営しています。企業理念「私たちdipは夢とアイデアと情熱で社会を改善する存在となる」のもと、事業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
社 名:ディップ株式会社(dip Corporation)
代 表: 冨田 英揮(代表取締役社長 兼CEO )
本 社:東京都港区六本木3-2-1 六本木グランドタワー31F
電 話:03-5114-1177(代表)
設 立:1997年3月
従業員数:2,925名(2023年4月1日現在の正社員)※契約・アルバイト・派遣社員除く
事業内容:求人情報サイト「バイトル」「バイトルNEXT」「バイトルPRO」「はたらこねっと」看護師転職支援サービス「ナースではたらこ」などの運営、DXサービス「コボット」の開発・提供、他
上場証券取引所:東京証券取引所(プライム市場)
売上高:売上高493億円(2023年2月期)
URL:https://www.dip-net.co.jp/