【2023年4月6日 アンカラ発】
トルコとシリア北部を襲った壊滅的な一連の地震から2カ月が経過しましたが、トルコでは依然として250万人の子どもが人道支援を必要としており、貧困に陥ったり、児童労働や児童婚をさせられたりする危険性があると、ユニセフは本日警鐘を鳴らしました。
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ユニセフ・トルコ事務所のレジーナ・デ・ドミニーチス代表は、「子どもたちの生活は地震によって一変しました。人道支援は迅速で大規模ではあったものの、現実には、何百万人もの子どもたちの直近の行く末は見通しが立たないままであり、家族が日常生活を取り戻し始めるのは極めて難しくなっています。子どもたちが保護され、彼らのニーズを満たすことが復興の中心に据えられるようにするには、さらなる支援が欠かせません」と述べています。
トルコ政府と人道支援パートナーたちは、緊急のニーズに応え、基本的なサービスを提供する活動を続けていますが、人々が立ち直り、生活を再建し始めるためには、より長期的な支援も必要です。子どもたちが今後何年も、あるいは何十年も災害の影響を被らないように、復興努力の中心には子どもたちを据えなければなりません。
緊急対応の一環として、ユニセフはパートナーと緊密に連携して、家族が離ればなれになるのを防ぎ、またそうなってしまった家族の再会を支援、子どもと養育者14万9,000人に心理社会的サポートを提供してきました。こうした取り組みを継続し、子どもを保護するサービスを切れ目なく維持する必要があります。
ユニセフは、36万人の子どもを対象としたポリオワクチン、および28万3,000人以上の子どもを対象としたジフテリアや破傷風のワクチンなどの各種ワクチンの供給でトルコ保健省を支援しています。また、ユニセフは追加で医療機器や医療物資も提供しています。
39万人以上の人々に衛生キット、防寒着、電気ストーブや毛布が配布されました。破損した水道網が修復される間、安全で清潔な水へのアクセスが大きな懸念事項となっています。ユニセフは多くの人々に水を届け、パートナーと共にこの活動を急速に拡大しています。
さらにユニセフは、心理社会的サポート、補習クラス、宿題のサポートおよび保護サービスを提供するために、子ども、若者、家族向けの支援拠点を10県37カ所に設置しました。これらの拠点を通じて、これまでに約2万6,000人の子どもと養育者が支援を受けています。ユニセフの研修を受けた約5,000人のトルコ青年スポーツ省からのユースボランティアが、これらの拠点で生活に必要な能力を習得する活動や、若者の参画・関与のための支援を行うことになっています。
地震は、難民や移民の子ども35万人を含む、学校に在籍する400万人近くの子どもの生活に影響を及ぼしました。150万人近くの子どもが地震の被災地域で学習を再開し、さらに25万人の子どもが国内の別の場所に移動した後も学習を続けています。しかし、その他の多くの子どもたちはまだ全面的に学習に復帰できておらず、いくつかの最も被害を受けた州での公式な学校教育はまだ再開していません。
ユニセフは、1,170校以上の学校を修復するための資金援助を行っており、これにより30万人以上の子どもたちが恩恵を受けることになります。また、1日あたり約2万3,000人の子どもが利用できる補習クラスや試験準備勉強のためのテント400張り以上、およびプレハブの教室や事務室の提供といった一時的措置を講じることで、トルコの国民教育省を支援しています。1,000人のスクールカウンセラーと教師が、心理社会的サポートを必要とする子どもを特定するための研修を受けています。
ユニセフはトルコで、地震の被害を受けた子どもたちを支援する活動を継続するために、1億3,800万米ドルの追加資金を要請しています。また、ドナーに対して、この支援が使途を定めない柔軟な資金によって提供され、ユニセフとそのパートナーが迅速かつ持続的な行動でニーズの変化に対応できるよう、時宜を得て拠出されることを求めています。
また、ユニセフは国際社会に対し、子どもが最も脆弱な立場にあることを念頭に置き、支援資金配分をする上で子どもを最優先にし、子どもを中心に据えた対応と復興を支援することを求めています。
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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。( www.unicef.org )
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。
(www.unicef.or.jp)