新型コロナウイルス感染症「第8波」のピークは過ぎたと見られ、各地での感染者報告数は減少傾向となっています。国内の累積感染者数は3,000万人を超えており、自然感染に由来する集団免疫のレベルの増加が予想される中、社会経済活動の正常化や、ワクチン接種間隔の検討の上でも、集団免疫レベルの推計はますます重要です。
東京財団政策研究所(*)では、数理モデルを用いて、集団免疫レベルの推計を継続して行ってまいりましたが、この度、2023年1月15日現在の日本全国および主要5都道府県の集団免疫レベルの推移を推計し、その結果を Review(論考)として公表いたしました。
(*)「ポスト・コロナ時代における持続可能かつレジリエントな医療・看護・介護システムの構築に関する研究」プログラム(渋谷健司研究主幹)における國谷紀良プログラムメンバー(神戸大学大学院システム情報学研究科准教授)を中心とする研究班
● 第8波のピーク後の2023年1月15日までのデータを用いて、日本全国および主要5都道府県(北海道・東京・大阪・福岡・沖縄)の集団免疫レベルの推計を行った。
● 第7波直後の自然感染由来の免疫レベルが高かった沖縄では第8波の流行が遅く、規模が小さかったが、同免疫レベルが低かった北海道では第8波の流行が早く、規模が大きかった。
● 現在はどの地域でも集団免疫レベルはおよそ0.7(70%)であり、過去最高の水準となっている。そのため、しばらくは流行が抑制されることが期待されるが、免疫の減衰やウイルスの免疫逃避による再流行の可能性は否定できない。
● 自然感染とワクチン接種による集団免疫レベルを継続的にモニターしながら、ワクチン接種間隔の延長の検討や社会経済活動の正常化を進めていくことが望ましい。
[研究プログラム]
「ポスト・コロナ時代における持続可能かつレジリエントな医療・看護・介護システムの構築に関する研究」
https://www.tkfd.or.jp/programs/detail.php?u_id=33
「健康危機に対するヘルス・レジリエンスの構築に関する研究」
https://www.tkfd.or.jp/programs/detail.php?u_id=35
[執筆者]
國谷 紀良 研究協力者 (神戸大学大学院システム情報学研究科 准教授)
徳田 安春 東京財団政策研究所主席研究員
中村 治代 東京財団政策研究所研究員
諸見里 拓宏 東京財団政策研究所主席研究員
渋谷 健司 東京財団政策研究所研究主幹
[研究プログラム関連成果一覧]
https://www.tkfd.or.jp/research/detail.php?id=4089
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◇◆東京財団政策研究所の方向性◆◇
戦後75年が過ぎ、国内外を問わず、社会の大きな転換が進んでいます。この大転換は、戦後の政治・経済・社会の体制から本格的に脱皮し、市民一人ひとりが独立した人間として自らの人生と社会の充実、国家の再生、平和の維持に携わる新しい時代を日本にもたらしています。また、この新たな時代を創るための政策研究・実践のイノベーター(革新者)として、戦後の体制からの独立した政策シンクタンクが必要とされています。
当財団の研究部門は、この大転換期が求める日本再生のイノベーターを目指します。
◇◆取り組む分野◆◇
Ⅰ. 経済・財政、環境・資源・エネルギー
Ⅱ. 健康・医療・看護・介護
Ⅲ. 教育・人材育成、雇用・社会保障
Ⅳ. 科学技術、イノベーション
Ⅴ. デジタル革命、デジタル化による社会構造転換
所在地:〒106-6234 東京都港区六本木三丁目二番一号 六本木グランドタワー34階
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