市町村という自治体の区分において寄付額がどのような状況になっているのかを把握するために、まず人口規模が最も小さい「村」から分析をいたしました。ふるさと納税寄付額は返礼品により大きく変化しますので、人口が多いことや生産量が大きいこととも比例すると考えています。「村」「町」「市」と3回にわたって分析をして行きます。
「令和3年度ふるさと納税寄付額を「村」別に分析」の主な結果
■1位から10位
1位は人口約3,700名の高知県芸西村です。「小さくても元気で輝くむら」のキャッチフレーズ通り、ふるさと納税では大きな成果を得ています。高知県の共通返礼品制度を早くから活用し、カツオのたたきは価格競争力と共に口コミの評価も高くなっています。また、現地の中間事業者と連携し、ポータルサイトのページやサムネイルのデザイン力も大変優れています。歳入額が60億円の30%ほどがふるさと納税の寄付額になっています。2位の中札内村までが10億円を超えています。「花と緑とアートの村」がキャッチフレーズであり、日本で最も美しい村連合にも参画しています。返礼品数は100以内と少ないのですが、豚肉が人気になっています。また、クラウドファンディングにも積極的です。
■11位から20位
14位の長野県根羽村は寄付単価が約6,000円と戦略的です。6万件と寄付者とのつながりのきっかけを狙っているかもしれませんし、発送業務の雇用が生まれているかもしれません。「いまだかつてない森/Never Forest」のキャッチコピーらしい、返礼品が並んでいます。同じ長野県の小谷村は15位でした。小谷村では寄付単価が高めです。アウトドアメーカーの小谷村オリジナルブランドが人気のためです。村の豊富な自然を生かし、関連企業との連携が積極的に行われています。
■21位から30位
21位の宮崎県椎葉村はその清流で育てられたチョウザメのキャビアを返礼品としており、日本産では希少価値があります。寄附の使い道も具体的で共感ができる文章でまとめられています。30位の岐阜県白川村のサムネイルには世界遺産ひだ白川郷で統一されており、ブランディングを意識しています。
今回の分析を通じて
人的な資源が少ないはずであろう「村」ふるさと納税において、その自然の豊かさからの農水産品だけではなく、小さか組織だからこそ柔軟に外部企業との連携や地元地域商社への委託などでサービスを強化し、寄付額や寄付者との関係性を強化していました。ふるさと納税という制度があるからこそ、上記の関係が強固なものになっています。ぜひ、ふるさと納税の制度を活用し、村の方々に挑戦いただければ幸いです。
社名:株式会社ふるさと納税総合研究所
本社所在地:大阪府大阪市
代表取締役:西田 匡志(中小企業診断士、総合旅行業務取扱管理者)
事業内容: ふるさと納税市場における調査、研究、コンサルティング、ソリューション提供等
HP:https://fstx-ri.co.jp/