本サービスは、従来オペレーターが架電対応していた延滞債権の督促案件に対し、AIによる督促手段の判別によりIVR*1架電対応で回収が見込める案件を導き出すサービスです。これにより、架電対応案件を減らすことでオペレーターの作業負荷軽減が可能です。さらに、IVR架電対応では回収が難しい案件については、延滞者の特性とオペレーターの相性を考慮したAIによるマッチングにより、延滞債権の回収率の向上が見込めます。
日立システムズは督促業務が発生する業界に対し、本サービスの提供を通じた課題解決を支援することで、2025年度までに累計10億円の売り上げをめざします。
*1 IVR(Interactive Voice Response):自動音声応答システム
■概要
本サービスは、日立システムズ独自のAIモデルをもとにIVR架電対象分析やオペレーターマッチング分析を行います。分析を行うことで延滞者によっては架電回数を減らすとともに、従来の督促対応と比較し、入金率の向上を見込めます。本サービスのAIモデルは大手クレジットカード会社との実証実験で構築し、その有効性が認められたものです。実証実験では、延滞債権、督促手段、オペレーターに焦点を当て、クレジットカード会社が保有している債権督促業務に関する各種データを日立のAI「AT/PRC*2」に投入しました。「AT/PRC」のAI分析により、①延滞債権×督促手段、②延滞債権×オペレーターの有効なマッチングモデルを構築し、カード会員の増加に比例して増加する延滞債権の督促業務の全体最適化を図る検証を行いました。その結果、架電対応案件を減少させ、オペレーターの作業負荷軽減を確認したほか、延滞債権の回収率の向上を確認しました(参考資料添付)。
*2 AT/PRC(Hitachi AI Technology/Prediction of Rare Case):発生頻度の低い事象を高精度で予測し、その根拠を提示する日立の人工知能技術
https://www.hitachi.co.jp/products/it/bigdata/service/atprc/index.html
■今後の展望
延滞債権の中で入金忘れ(うっかり)等については、督促をせずとも数日後に入金されるケースがあることから、このような督促を行わなくても一定期間経過すると入金が見込める案件を抽出するAIモデルの検証を実施しており、今後、本サービスへの追加を予定しています。督促を必要としない案件を抽出するAIモデルの提供やAIモデルの精度向上によって、督促業務効率化を支援していきます。
■背景
クレジットカードや電子マネー等によるキャッシュレス決済の利用者増加に伴い、延滞債権の増加が予想されます。債権督促業務は人的リソースに頼る部分が大きいことから、業務効率化および回収率向上が課題となっており、これらの課題解決は急務といえます。
■「債権督促効率化AIサービス」について
詳細はhttps://www.hitachi-systems.com/solution/s0311/sti/index.htmlをご覧ください。
■日立システムズについて
日立システムズは、企業理念に掲げる「真に豊かな社会の実現に貢献する」ために、日立グループの社会イノベーション事業を支える一員としてサステナビリティ経営を推進しています。強みであるさまざまな業種の課題解決で培ってきたお客さまの業務知識やノウハウを持つ人財・サービスインフラを活用したデジタライゼーションサービスと、日立の先進的なデジタル技術を活用したLumadaやパートナーと連携した独自のサービスによりお客さまのデジタル変革を徹底的にサポート。社会課題を解決するだけでなく、社会価値、環境価値、経済価値の3つの価値向上に貢献し、人々のQuality of Lifeの向上とお客さまの価値向上を支援してまいります。
詳細は https://www.hitachi-systems.com/ をご覧ください。
■お客さまからのお問い合わせ先
株式会社日立システムズ お問い合わせWebフォーム
https://www.hitachi-systems.com/form/contactus.html
■AT/PRCおよびデジタル対話サービスに関するお問い合わせ先
株式会社日立製作所 金融ソリューション お問い合わせフォーム
https://www.hitachi.co.jp/products/it/finance/inquiry.htm
以上
*記載の会社名、製品名はそれぞれの会社の商標または登録商標です。
参考資料 |
実証実験の詳細
■延滞債権と督促手段のマッチング
・延滞債権の督促手段としてIVR架電とオペレーター架電のどちらとするかをAIに判定させ、有効性を確認する
検証を行いました。
・延滞者の属性や与信などの各種情報を、AIを活用して分析(スコア化)し、IVR架電対象のモデルを構築しました。
・AIモデルに基づく督促手段の振り分けにより、約11,400件の延滞債権をオペレーターによる架電対応ではなく、IVR架電にシフトできました。さらに、IVR架電による回収率が半年間の平均件数と比べ、16.9%向上し、不履行に対する再連絡督促業務が軽減しました。
■延滞債権とオペレーターのマッチング
・延滞債権の督促対応をどのオペレーターが対応すると回収率が高くなるかをAIに判定させ、有効性を確認する
検証を行いました。
・日立製作所の提供する「デジタル対話サービス」*3を用いて通話録音データをテキスト化し、延滞者とオペレーターの会話から分析した情報を延滞者、オペレーターの属性に追加してAIモデルを構築しました。
・延滞債権ごとにオペレーターのスコア(スキルや経験ではなく回収率の高さから見た相性の良さ)をAIにより算出し、延滞債権とオペレーターのマッチングリストを作成しました。
・同様の延滞債権にてスコアの異なるオペレーターが対応した際の回収率を比較したところ、スコアの高いオペレーターが対応した場合は回収率が14.0%高くなる結果が得られました。
*3 デジタル対話サービス:https://www.hitachi.co.jp/products/it/bigdata/service/bot/index.html
以上