産学官が連携してチーム制アプリを活用した高齢者の身体活動量の変化を検証する本取組は、フレイル予防業界初となります。コロナ禍で高齢者の活動量の減少や人とのつながり不足が懸念されていたことから、藤沢市・慶應義塾大学と連携の上、実施にいたりました。
本取組では、藤沢市の高齢者を対象に3ヶ月間の活動量アッププログラムを実施します。高齢者は、みんチャレを活用して地域の仲間同士5人組のチームに参加し、活動量の維持向上を目指します。
当社は本取組を通じて、自治体の情報通信技術(ICT)を活用した高齢者のフレイル予防・人とのつながり形成を支援し、高齢化社会の課題解決に貢献します。
※1 フレイル:年齢とともに心身の活力が低下し、要介護状態となるリスクが高くなった状態。予防することで健康長寿につながる。
■ 導入背景
コロナ禍で高齢者のフレイル加速が懸念されている
近年、新型コロナウイルスの流行に伴い、外出自粛による閉じこもりや人との交流機会の減少による孤立など、高齢者の体の衰えや気持ちの落ち込みによるフレイル状態の悪化が懸念されています。そのため、運動や人とのつながりを維持すること(社会参加)の重要性が増しています。
自治体が地域で実施している高齢者のフレイル予防のための取組は、コロナ前は集合・対面型が主流でしたが、現在は感染拡大対策をふまえて各イベントを実施しています。ウィズコロナ時代に対応した、高齢者のフレイル予防支援が喫緊の課題です。
高齢者の健康管理のためのスマートフォンアプリ活用が注目されている
近年、高齢者のスマートフォン所持率は増加傾向にあり、60代では75%、70代では50%、80歳以上では20%の人がスマートフォンを所持しています(総務省 令和3年 通信利用動向調査より)。
スマートフォンなどのモバイル技術を用いた健康・医療サービスは、近年身体不活動や座りがちな生活を改善するための介入ツールとして注目されています。特に、アプリケーションの種類によって身体活動の変化を検証した先行研究では、仲間と取り組むグループベースのアプリが最も身体活動量を増加させ、1日の座位時間を減少させたことが示されています(King AC, 2016)。
しかし、65歳以上の高齢者の身体活動に対して、みんチャレのようなグループベースのスマートフォンアプリを用いた介入の効果を検証した研究はまだありません。
そこで、本事業では高齢者に対してグループベースのアプリ(みんチャレ)を活用した介入を行い、身体活動量の増加を図ることを目的とします。本取組によって、高齢者の身体活動量の増加が見られた場合、高齢者の健康寿命の延伸、QOL(生活の質)向上に繋がる新たな方法を示すことができます。
■ 事業の概要
コロナ禍に対応した高齢者の活動量アッププログラム
藤沢市の高齢者を対象に3ヶ月間の活動量アッププログラムを実施し、その効果検証を行います。参加者は、みんチャレを活用するグループと、みんチャレを活用せず一人で取り組むグループに分かれ、3ヶ月間活動量の維持・向上を目指します。
みんチャレを活用するグループの方は、高齢者同士5人1組のチームに参加し、仲間とアプリ上で励まし合いながら取り組みます。
■ 実施期間:2022年10月11日〜2023年3月末(うちプログラム実施期間は3ヶ月間)
■ 対象者 :
- 藤沢市在住の65歳以上の高齢者
- 医師にウォーキング等を制限されていない方
- 日頃あまり運動習慣がない方
- 歩行に制限がない方
- スマートフォンの文字入力ができる方
■ 定 員 :80名(みんチャレ活用40名、みんチャレ不使用40名の2グループを設定)
■ 実施内容:
- 開始・終了時に体力測定・生活習慣等に関するアンケートを実施し、その変化を評価する。
- みんチャレを活用するグループには、開始時にアプリの使い方講座を実施する。
- 3ヶ月間、活動量を意識して生活する。
※みんチャレを活用するグループは、3ヶ月間アプリ上で仲間と励まし合いながら取り組む。
■ 実施体制:
藤沢市 :事業の主催および周知・参加者募集
慶應義塾大学:本臨床研究の推進、効果検証
エーテンラボ:みんチャレやアプリデータの提供
■関係者のコメント
藤沢市 高齢者支援課 包括介護予防担当 課長補佐 田口 真由美 様 (保健師)
感染症の拡大により、従来は当たり前であった生活様式を見直すことが必要な時代を迎えました。活動の場所や方法、人とのつながりについて考えながら、今回の実証実験を通じて、「どうしたら健康的な生活ができるのか」、そして、「楽しく続けられて効果のあるフレイル予防」を市民の皆様と共に考えていきたいと思っています。
慶應義塾大学 スポーツ医学研究センター・大学院健康マネジメント研究科 小熊 祐子准教授
アプリ上で共通の習慣化の目的(今回の場合は身体活動量アップ)を持った仲間が集まり、励ましあい、継続していく「みんチャレ」には、直接集うことが難しい状況下でも効果を発揮することを期待しています。私たちの方では、「みんチャレ」を活用した身体活動促進・フレイル予防の方法について、様々な角度から検討していきたいと考えています。
■「みんチャレHealthcare フレイル予防」について
みんチャレ Healthcare フレイル予防では、地域の高齢者同士がアプリ上でつながり、フレイル予防行動や交流を継続する仕組みを提供します。利用開始時にみんチャレの使い方講座を実施することでデジタルデバイド解消に寄与します。自治体様の介護・フレイル予防事業やデジタルデバイド解消事業、高齢者の生きがいづくり事業に採用されています。
・サービスHP:https://a10lab.com/service/healthcare/frail/
・府中市様 導入事例:https://a10lab.com/case-study/fuchu/
・関連プレスリリース:
(2021年7月1日)三日坊主防止アプリで高齢者のつながり、運動維持を支援!7月より自治体向け「フレイル予防事業」を本格展開 https://a10lab.com/news-20210701/
(2022年6月16日)自治体向け「みんチャレ HEALTHCARE フレイル予防」を横須賀市、綾瀬市に提供開始
https://a10lab.com/news-20220616/
(2022年8月31日)習慣化アプリ「みんチャレ」を墨田区の高齢者向けデジタルデバイド解消事業に提供開始
https://a10lab.com/news-20220831/
■「みんチャレ」 について
・5人で励まし合いながら楽しく続けるデジタルピアサポートアプリ
みんチャレは勉強・ダイエット・運動・糖尿病改善・など同じ目標を持った匿名の5人でチームを作り、チャットに報告して励まし合うことで楽しく習慣化に取り組むことができるアプリです。
・糖尿病患者の目標歩数の達成率・平均歩数が2倍に!
神奈川県との臨床研究で2型糖尿病患者と予備群の方を対象に生活習慣改善の効果検証を行った結果、みんチャレを使用したグループは使用しないグループと比べてウォーキングの目標歩数の達成率・平均歩数で2倍の有意差が認められました※。現在、複数の大学や医療機関、自治体と臨床研究を進めています。
※参考プレスリリース「習慣化アプリ「みんチャレ」の効果を日本公衆衛生学会で発表」(2021年11月4日)https://a10lab.com/news-20201104/
<特徴>
・ユーザー数120万人 *2022年8月現在の累計利用者数
・2020年 経済産業省主催「ジャパン・ヘルスケアビジネスコンテスト」で優秀賞・企業賞を受賞
・2016・2017・2019年 Google Playベストアプリに選出
・府中市とのフレイル予防事業で「第10回健康寿命をのばそう!アワード」介護予防・高齢者生活支援分野の厚生労働省 老健局長 優良賞 自治体部門を受賞