高精度の予測機能を搭載、AIレビューツール「KIBIT Automator」最新版の提供開始

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 株式会社FRONTEO(本社:東京都港区、代表取締役社長:守本 正宏、以下 FRONTEO)は、自社開発のAIレビューツール「KIBIT Automator」に、デジタルフォレンジックにおける証拠に関連する文書と関連しない文書の分類を高精度に予測する機能(参考:プレスリリース「FRONTEO、自社開発AIエンジンKIBITにおいて アンサンブル学習と性能予測を両立するアルゴリズムを開発」https://www.fronteo.com/20220721)を新たに搭載し、9月12日より提供を開始したことをお知らせします。本機能により、レビュー対象文書のうち「読まなくてよい文書」を判断するカットオフポイント*1の精度が上がり、レビュー業務効率の大幅な向上と作業時間の正確な見通しが可能となります。
 近年、デジタル社会の急速な発展によりIT活用が日常化され、企業の管理する電子データ量は増加の一途をたどっています。一方でデジタルフォレンジック(デジタルデバイスに記録された情報を対象とする情報保全・分析調査)におけるレビュー業務は、限られた作業日数の中でスピードと品質の両方を担保した作業が求められ、データ量に伴い増加する作業時間と、求められる調査の品質、膨大なコストが大きな課題になっています。

 KIBIT Automatorは2019年の誕生以降、様々な機能拡充を経て、2021年にはこれらの課題を解決するための次世代eディスカバリプラットフォームとして、収集したデータの前処理からレビューまで一貫したサービス提供を開始しました。さらに準重複データ(内容が一部のみ異なる似通ったデータ)の自動抽出機能*2を搭載するなど、継続的な機能拡充や改良を積み重ねて、サービス品質の向上を実現しています。

図: KIBIT Automatorに搭載した予測値。比較のために予測値と実測値を重ねている。

 今回追加された新機能は、レビュー対象となる全文書データのうち、人が確認する必要のある文書の割合を高精度で予測するものです。検証では、Recall Rate80%において必要となる文書データ割合のレビュー開始前の予測値とレビュー後の実測値の誤差がわずか2%以内(図)でした。本機能により、文書レビューに要する作業時間の高精度での推計を実現し、正確な予測に基づく計画的なレビューオペレーションの実施と業務効率の向上、さらに訴訟に関わる企業や弁護士の戦略立案時間の確保が可能になると期待されます。また、これまで予測値を算出するために必要だった追加の評価用データ作成も省略できます。 

 FRONTEOは、日本におけるデジタルフォレンジックとディスカバリ(米国の民事訴訟制度における証拠開示手続き)のパイオニアとして、今後も不正調査や訴訟支援の効率化に役立つソリューションの開発・改良と高品質のサービス提供に努めてまいります。

*1 カットオフポイント:AIが証拠としての関連性が高いと判定した順に並べたデータのうち、人間が上位何パーセント分までを確認すればそれ以降のデータは閲覧しなくてもレビューに支障がないかを表す数値。カットオフの実施およびカットオフポイントは案件ごとに担当の弁護士や企業の担当者との相談で決定される。
*2 準重複データの自動抽出機能:Near Duplicationと呼ばれる機能。証拠になり得るデータのうち、裁判所に提出するものと、クライアントと弁護士の訴訟に関する相談事項や営業上の秘密であるとして非開示が認められているものを発見した際、それに類似するデータを効率よくグルーピング・抽出する。
*3 Recall Rate:再現率。調査対象データ全数において「証拠として関連性がある」と評価されるデータが含まれている割合。
*4 Precision Rate:適合率。AIが「関連性あり」とスコア付けしたデータ全数の中で、実際に関連性のあったデータが含まれる割合。

■KIBIT Automatorについて URL: https://legal.fronteo.com/products/kibit-automator/
「KIBIT Automator」は、米国民事訴訟の公判手続きで必要となる証拠開示(ディスカバリ)の中でも特に、電子証拠開示(eディスカバリ)における文書レビュー作業の効率向上、作業担当者の負荷軽減、費用削減を目的として開発されたAIツールで、2019年3月にリリースされました。ディスカバリで使われる調査手法を応用し、AIを活用して証拠資料である大容量の電子メールや電子ファイルの審査・分析を行います。近年、企業に求められている、短期での情報開示への対応も期待されます。

■FRONTEOについて URL: https://www.fronteo.com/
FRONTEOは、自然言語処理に特化した自社開発AIエンジン「KIBIT(読み:キビット)」と「Concept Encoder(商標:conceptencoder、読み:コンセプトエンコーダー)」、「Looca Cross(読み:ルーカクロス)」を用いて膨大な量のテキストデータの中から意味のある重要な情報を抽出し、企業のビジネスを支援する、データ解析企業です。2003年8月の創業以来、企業の国際訴訟を支援する「eディスカバリ(電子証拠開示)」や「デジタルフォレンジック調査」などのリーガルテック事業をメインに、日本、米国、韓国、台湾とグローバルに事業を展開してきました。同事業で培ったAI技術をもとに、2014年よりライフサイエンス分野、ビジネスインテリジェンス分野、経済安全保障へと事業のフィールドを拡大し、AIを用いて「テキストデータを知見に変える」ことで、創薬支援、認知症診断支援、金融・人事・営業支援など、様々な企業の課題解決に貢献しています。2007年6月26日東証マザーズ(現:東証グロース)上場。2021年1月第一種医療機器製造販売業許可を取得(許可番号:13B1X10350)、同9月管理医療機器販売業を届出(届出番号:3港み生機器第120号)。資本金3,034,846千円(2022年3月31日現在)。

 ※FRONTEO、KIBIT Automator、KIBIT、conceptencoder、Looca CrossはFRONTEOの日本における登録商標です。

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