中小企業経営者向けセミナー『知財戦略とDX』では、当初予定していた参加社数を越える62社が参加し盛況のうちに終了いたしました。「DXについて」のセミナーでは、フォーバル GDXリサーチ研究所 所長 平良 学、「知的財産について」のセミナーでは、加藤合同国際特許事務所 会長弁理士 加藤 久氏、所長弁理士 南瀬 透氏が登壇し、知的財産の重要性やDXの利活用の必要性について語ったほか、DXと知的財産を同時に推進するための講義をしました。
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中小企業経営者向けセミナー『知財戦略とDX』概要
●開催日 :2023年9月22日(金)13:00~15:00
●場所 :JR博多シティ会議室(福岡市博多区博多駅中央街1番1号JR博多シティ9階10階)
●プログラム :①はじめに
②講義1:知的財産について
③講義2:DXについて
④質疑応答
⑤DX、知的財産 同時推進のご案内
●スピーカー :講義1 加藤合同国際特許事務所 会長 弁理士 加藤 久、所長 弁理士 南瀬 透
講義2 フォーバル GDXリサーチ研究所 所長 平良学
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【 DXについて】概要
■フォーバルGDXリサーチ研究所 所長 平良学
社会課題の解決に向けた取り組み自体に付加価値創造の意義があり、課題解決と経済成長を同時に実現するための取り組みとして『DX』『GX』『地域活性化・中小企業支援』があります。つまり、国内の経済成長を促すためには、 DX化・GX化によって中小企業を活性化させる必要があると語りました。
1,619人の中小企業経営者にDX・GXの取組状況について調査したところ、DXに取り組めているが60%、GXは23%という結果となりました。さらに項目によるが、70~80%の企業が効果を実感しており、取り組めば効果は期待できるものと来場された中小企業経営者の方々に伝えました。
今年の夏から始まったゼロゼロ融資の返済についても、利用した企業の倒産数は前年の1.8倍に増加しています。企業がビジネス環境の激しい変化に対応しデータとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に製品やサービス、ビジネスモデルを変革するともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し競争上の優位性を確立することが必要と語りました。
実際のDX事例としては、宿泊業における宿泊客の過去データに基づいた接客、データの一覧にによる無駄のない料理の自動発注や、内装工事業におけるデータをRPAで自動集計することで人毎、案件毎に時間あたりの物差しを設定することで生産性の見える化を実現し売上117%営業利益127%を達成したといった取り組みを紹介しました。
中小企業の変革に必要なDXには4つのSTEPが存在しており、STEP1ではあるべき姿の設定、STEP2では現状把握と課題整理、STEP3ではDX計画の策定、STEP4ではDX施策の実施・効果測定を順に行うことが重要であると解説いたしました。また、DXを促進するためのポイントは、自社に適したプラットフォームによる「可視化経営」の実現+自社のみでのDX促進は難しいため「専門家の活用」による伴走支援と多くの中小企業経営者に伝えました。
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【 知的財産について】概要
■加藤合同国際特許事務所 会長弁理士 加藤 久氏、所長弁理士 南瀬 透氏
知的財産とは、人の知的創造活動により生み出された財産的価値ある情報であり、企業活動の様々な工夫の成果と表現しました。つまり競争力を強化し、事業価値・企業価値を向上させる資産といえます。例えば企業活動により得たノウハウやビックデータ等、コンテンツ表現などが知的財産に当たると語りました。リソースが限られている中小企業にとって、製品などの知的財産を失った際の損害は大企業以上であるため、特に知的財産を注意する必要があると伝えました。
この知的財産を用いた戦略を立てることで3つの利点があります。①自ら製品を独占的に製造・販売し模倣品を排除することができる②他社に製造・販売を任せ、ライセンス料収入を得る③企業価値の裏付けとなる宣伝効果・安心感をオンリーワンの存在だからこそ享受できるといった点があると伝えました。
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中小企業経営者向けセミナー『知財戦略とDX』参加者のコメント
参加者から以下のようなコメントを頂きました。
・平良さんの具体的な企業ごとの事例のお話を聞いて、自社にとってDXが身近に感じられました。
・データ分析や自動化を通じて業務プロセスを効率化することによって、自社のニーズに合わせたDX戦略をカスタマイズし競争力を向上させることができると感じました。
・知的財産は特許、商標、著作権だけでなく、ノウハウ、データ、ブランド価値、カスタマーリストなど、さまざまな形態に存在していることを知った。
・知的財産として資産を保護し、戦略的に活用する方法を模索する必要があるため、知財とDXの結びつきについてもっと詳しく学び、中小企業が持つ潜在的な機会を最大限に活用していきたいです。
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フォーバル GDXリサーチ研究所 所長 平良学の紹介
フォーバル GDXリサーチ研究所所長
平良 学(たいら・まなぶ)
■経歴
1992年、株式会社フォーバルに入社。
その後営業部長を経験。2001年からは九州支店に所属し、赤字経営の立て直し、コンサル事業の立ち上げに成功。以降アライアンス事業の事業責任者を全うする。
現在は、全国のコンサル事業の全体統括や「ブルーレポート」の統括、国・行政との連携を行う事業の責任者を務める。
数々のメディア掲載実績を持ち、中小企業経営者を対象とした経営塾の講師、DXを始めとするウェビナーにも数多く登壇している。
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フォーバル GDXリサーチ研究所とは
日本に存在する法人の99%以上を占める中小企業。この中小企業1社1社が成長することこそが日本の活力につながります。中小企業が成長するための原動力の1つにGreen(グリーン)とDigital(デジタル)を活用し企業そのものを変革するGDX(Green Digital transformation)があります。
フォーバル GDXリサーチ研究所は、中小企業のGDXに関する実態を調査し、各種レポートや論文、報告書などをまとめ、世に発信するための研究機関です。「中小企業のGDXにおける現状や実態を調査し、世に発信する」をミッションに「中小企業のGDXにおいてなくてはならない存在」を目指し活動していきます。