このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。
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イベント概要
・開催概要:やまがた海洋塾2023~アイデアでつなぐ私たちの庄内浜~
・日程:【A班】7月29日(土)【B班】30日(日)【A班・B班】8月5日(土)
・開催場所:山形県酒田市・鶴岡市・遊佐町
・参加人数:県内小学5,6年生30人・県内教員4名
・協力団体:山形県教育委員会、酒田市教育委員会、鶴岡市教育委員会、遊佐町教育委員会、山形県海洋教育研究会、山形県加茂水産高校、山形県水産研究所、海浜自然の家、鶴岡市加茂地区自治振興会、渚の交番カモンマーレ、山形県酒田海洋センター他
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入塾式・オリエンテーションで知る、庄内浜
県土面積の約7割が森林である山形県は、沿岸部と内陸部では海に対する親しみ深さや理解度に大きな差があります。今年も県内の様々な地域から30名の子どもたちが集結し、山形の海を学び・楽しみ・考える「やまがた海洋塾」が始まりました。さらに初の試みとして、現役の小学校教諭4名も参加し、子どもたちと同じ体験をしてもらうことで県内における海洋教育の更なる普及と発展をともに考えました。
入塾式では塾長を務める山形県立加茂水産高校元校長の佐藤淳氏より、庄内浜の文化や歴史、今回の海洋塾の目標が説明されました。
また、オリエンテーションでは、海をテーマとしたチーム協力型のクイズが行われ、子どもたちはこれから一緒に冒険する仲間たちと仲を深めました。
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先人たちの教えを学ぶイントロダクション
海に出る前に、まずは庄内浜の地形や特徴などを鳥海山・飛島ジオパークの畠中氏から教わりました。
庄内浜の海岸線の長さは日本で2番目に短いにもかかわらず、日本有数の砂丘があることや130種類以上にも上る豊富な魚種が水揚げされることが紹介され、子どもたちはこれまで知らなかった地元の海の魅力に興味津々。さらに庄内浜で昔から伝わっている漁法や、旬の魚を美味しく食す食文化に触れ、先人たちの智恵や教えが今もなお脈々と受け継がれていることを学びました。
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庄内浜の地形と鳥海丸のお仕事体験!
イントロダクションで学んだ庄内浜の地形を今度は海の上から実際に自分の目で見てみましょう!
子どもたちはライフジャケットを着て、漁業実習調査船 鳥海丸に乗り込みました。その大きさと迫力に子どもたちの胸も高鳴ります。大きな汽笛とともに出航すると、陸地がどんどん遠ざかっていき、普段は見ることのできない「海からの陸の様子」を観察しました。さまざまな形の船や、高く広大な庄内砂丘、沖に行くにつれ鮮やかになる海の色など、初めての体験に目を輝かせていました。
昼食は船員さん特製のカレーをいただきました。長い船上生活でも曜日感覚を失わないように決まった日にカレーを食べるという船乗り独自の工夫を教わりながら、海風と綺麗な風景をスパイスにして美味しそうに頬張りました。
また、特別に操縦室をはじめとした船内の様々な設備を見学し、船員たちの仕事を体験しました。
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庄内浜の知恵と工夫を学ぼう!
全国的に問題となっている藻場の減少は山形県でも深刻な課題として解決の糸口が探られています。そのひとつとして庄内浜では、自動車の保有率が高い山形県の地域性を活かした全国的にも珍しいシートベルトを利用した藻場づくりを行っていました。シートベルト藻場はもともと庄内浜の特産であるハタハタの産卵場所を確保するためにつくられました。庄内浜でのハタハタの漁獲量は以前の1割程に減少しており、地域の食文化が喪失する危機に直面しているなか、地域の人々の智恵と工夫によって文化と生態系を未来に受け継ごうとしていることを学びました。
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海へのそなえと伝統漁法をダブルで体験!
海は私たちに豊かな恵みをもたらす反面、命にかかわる危険な面も持ち合わせています。そこで、伝統漁業と海へのそなえを同時に体験しました。
伝統漁業の「磯見漁」は古くから行われている漁法のひとつで、小舟の上から箱眼鏡で海中を覗き、特殊な道具で貝類や海藻を採取します。子どもたちも漁師さんに倣って箱眼鏡で藻場を見たり、「なさし(魚刺し)」という道具で海底の貝類を採るなどして、伝統漁業を体感しました。磯見漁は自分達が食べたり売ったりする量だけを獲り、海に出来るだけ負担をかけないよう受け継がれてきた先人たちの「アイデア」の一つです。
海へのそなえでは、ペットボトルを使って海面に浮く方法や、ライフジャケットを着用して事故を未然に防ぐことを学習しました。
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サケの気持ちになって遡上?カヌー体験!
この日の学びの舞台である遊佐町は、鳥海山の雪解け水からなる豊富な湧水と、山・川・海が近くに集まる地理的要因から県内でも有数のサケの遡上地として知られています。しかし、その遡上量も年々減少しています。
子どもたちは実際にサケが遡上するルートをカヌーで辿り、なぜサケが減っているのか、どんな対策が行われれているのかを体験しました。はじめは月光川河口から牛渡川、山の麓にある箕輪鮭孵化場へと川を上りました。月光川は湧水が源流であるため水に触れた子どもたちはその冷たさに驚いていました。この水温の低さもサケが育つうえで重要な要素なのだそうです。また、箕輪鮭孵化場の近くには「丸池様」という、湧水だけで満たされた美しい池があり、地元では古くから神聖な場所として大切に守られています。冷たい湧水が絶え間なく入れ替わるため、倒木が朽ちる事なくずっと池の底に沈んでおり、その神秘的な様子に子どもたちも思わず息を飲みました。カヌー体験中子どもたちは水温の変化を自らの手で感じ、サケは故郷の冷たい水を目指してやってくるんだね、流れに逆らって進むのは大変だが遊佐の冷たい水は最高のご褒美だねなどと感想を語っていました。
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庄内浜を救うヒントとは?低未利用魚って何?
漁獲量が著しく減ってきている昨今、今まで廃棄または漁師のみが食してきた「低未利用魚」の活用と付加価値向上を図っている例を庄内浜を救うヒントの一つとして、山形県の水産研究所の研究員さんにご講演いただきました。低未利用魚を原料とした魚醤の紹介やどうやったら付加価値を向上していけるか子どもたちに一緒に考えてもらいました。学んだあとは実際に低未利用魚ってどんな魚なのか、実物に見て触って体感してもらいました。グロテスクな容姿や衝撃の手触りを直に感じた子どもたちは悲鳴や歓声をあげ楽しんでいる姿が印象的でした。
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頭と体を使って学びの共有 シーアクティビティ!
A班B班それぞれの学びの共有を目的としてシーアクティビティを取り入れたオリジナルゲームを実施しました。A班、B班それぞれが学んだことをクイズにし、A班B班混合の2チームで争います。クイズの答えをゲットする為にメガSUPに乗ってチーム毎で海に繰り出します。初めて挑戦するメガSUPの操縦に子どもたちは戸惑いながらも仲間と一緒にクイズの答えをピックアップしていました。答えを持ってきたら、なぜその答えを選んだかを発表して学びを共有しました。
体も頭も使って、加茂地区の海を体感した子どもたちはこの楽しい海を未来へ紡いでいく為に、家族、友達とまたここに戻って来たいという思いも込めて最後に大きな声で海に御礼をしていました。
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旬の食材と地元の食材を食べる意味とは?漁村の食文化!
地元の恵みを美味しい時期にいただく「浜のご飯」は、先人達が地元(庄内浜)の文化を守るために工夫して紡いできた大事な「アイデア」の一つです。
子どもたちは浜のお母さんたちの手作りご飯を美味しくいただくとともに、なぜ地元の食材を食べることに意味があるのか、旬の時期に食べる意味があるのかをクイズ形式で学びました。事業開催地の「加茂地区」独特の文化「北前船文化」を知り、より食文化について学びを深めました。
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想いを形に…アウトプット制作体験
海洋塾の卒業制作(アウトプット)として、「庄内浜の味噌玉(仮)」を販売します。
子どもたち一人ひとりが海洋塾で学んだことをイラストに書き起こし、そのイラストが商品パッケージに掲載され想いや学びを伝播していきます。
子どもたちは実際に味噌玉調理体験も行い、前段で学んだ低未利用魚の魚粉が入った味噌などベースとなる味噌3種に、庄内浜の海藻や県内産の薬味など自分の好きな具をトッピングすることでオリジナルの味噌玉を楽しく制作しました。完成した味噌玉は各自お土産として持ち帰ってもらい、海洋塾でどんなことを学び、何を感じ、これからどのように行動していくか等を家族や友達と話しながら食べてほしいという想いが込められています。
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海洋塾で学んだことを未来へ:学びの共有・卒業式
卒業式を迎えた子どもたちは、それぞれ多くの思いを胸に抱き佐藤塾長から卒業証明書を受け取りました。卒業式の前には、海洋塾を通して庄内浜の海を未来へつないでいく為のアイデアを学び、各々で考えた想いを力強く仲間たちの前で発表しました。「低未利用魚」「藻場」「海山川のつながり」など学んだことを今後の生活の中でアクションとして取り入れていくことに意欲を見せ、元気よく発表する姿は参加者の子どもたちの成長を感じさせるひと時でした。
海洋塾で学んだこと、出来た仲間は10年後、20年後も子どもたちの大きな財産となり、庄内浜の海を未来に紡いでいく人財として活躍してくれることを願っています。
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参加した子ども・保護者からの声
・会場として使わせていただいた「県立加茂水産高校」を受験したい。面接では「海洋塾に参加して海に興味が沸いたからです」と答える!(参加者)
・授業で作成したものをお土産として子どもに渡すことで、帰宅後に保護者とどんなことを学んだか話をするきっかけになると思う。(教員参加者)
・違う学校の友達もたくさんでき、何より本人が楽しい楽しいと言っているのが親として本当にありがたかったです。(保護者)
・授業の中でアイデアを見つけるというのは難しいことだったが、子どもなりに学び、アイデアを模索する姿勢が見られ、今すぐに形にならなくても10年後、20年後の参加者の活躍に期待したい。(スタッフ)
<団体概要>
団体名称:一般社団法人海と日本プロジェクトin山形
URL:https://yamagata.uminohi.jp/
活動内容:海と日本プロジェクトin山形は、日本財団「海と日本プロジェクト」の一環として、次世代へ海を引き継ぐため、海を介して人と人がつながることを目的として、事業を展開しています。
日本財団「海と日本プロジェクト」
さまざまなかたちで日本人の暮らしを支え、時に心の安らぎやワクワク、ひらめきを与えてくれる海。そんな海で進行している環境の悪化などの現状を、子どもたちをはじめ全国の人が「自分ごと」としてとらえ、海を未来へ引き継ぐアクションの輪を広げていくため、オールジャパンで推進するプロジェクトです。