<調査トピック>
1.核兵器が使用される恐怖「感じる」82%、ロシア選手のパリ五輪出場「認めるべきではない」42%
2.内閣支持率は過去最低22%
3.河野デジタル相の責任「大きいと思う」48%
4.衆院選投票先で自民に迫る維新
5.地球温暖化が生活に与える影響「深刻だ」79%
■核兵器が使用される恐怖「感じる」82%、ロシア選手のパリ五輪出場「認めるべきではない」42%
社会調査研究センター(SSRC)は8月6日、スマートフォンを対象とした新しいインターネット調査方式「dサーベイ」による全国世論調査を実施した。8月6日は広島原爆の日であることを指摘したうえで「世界のどこかで核兵器が使用される恐怖を感じますか」と尋ねたところ「感じる」との回答が82%に上り、「感じない」はわずか7%だった。ロシアが核兵器の使用をちらつかせてウクライナ侵略を続けており、世界的に核戦争への危機感が強まっていることを反映した結果と言えそうだ。
続けて「日本が核戦争に巻き込まれる恐怖を感じますか」と聞いたところ、こちらも「感じる」が70%を占め、「感じない」の12%を大きく上回った。東アジアでは、核・ミサイル開発を進める北朝鮮が日本海などへのミサイル発射を繰り返し、核戦力の増強を続ける中国がロシアとの軍事的連携を強めている。こうした日本周辺の厳しい安全保障環境に対する危機意識も高まっているようだ。
ロシアのウクライナ侵攻をめぐっては、欧米諸国がウクライナへの軍事支援を強化している。調査では、日本政府がウクライナに「武器を供与すべきだ」との回答は18%にとどまり、「武器を供与する必要はない」が過半数の55%を占めた。来年、パリで開かれるオリンピック・パラリンピックへのロシア選手の出場を認めてもよいと思うかを尋ねたところ「認めるべきではない」が42%、「認めてもよい」が38%と回答が割れた。
■内閣支持率は過去最低22%
岸田内閣の支持率は22%と7月2日の前回調査から4ポイント下落し、昨年10月に調査を開始して以降、過去最低となった。不支持率も前回比7ポイント増の66%と過去最悪を記録した。岸田内閣を支持しないと答えた人にその理由を尋ねたところ、「政策が期待できないから」が57%(回答者全体の37%)を占め、「岸田首相が信用できないから」が28%(同19%)だった。「政策が期待できないから」は前回調査の57%(同34%)から横ばいだった一方、「岸田首相が信用できないから」は前回の25%(同15%)から微増しており、岸田首相に対する評価は厳しい。
■河野デジタル相の責任「大きいと思う」48%
内閣支持率が急落した要因の一つがマイナンバーカードの問題だとされ、利用拡大の旗を振ってきた河野太郎デジタル相の処遇が次の内閣改造の焦点となっている。マイナンバーカードをめぐるトラブルが相次いでいることについて、河野氏の責任が「大きいと思う」は48%で、「大きいとは思わない」の34%を上回った。
来年秋に健康保険証をマイナンバーカードと一体化させる政府方針に「賛成」は35%(前回調査30%)、「反対」は47%(同50%)。マイナンバーカードの利用拡大による行政手続きの効率化などのメリットと、個人情報の扱いなどで生じるデメリットについては「メリットの方が大きい」が31%(同27%)、「デメリットの方が大きい」が46%(同44%)と、世論の理解は広がっていない。
■衆院選投票先で自民に迫る維新
政党支持率は①自民党23%(前回25%)②日本維新の会13%(同11%)③立憲民主党8%(同8%)——という上位の順序が定着した。6月調査からは政党支持と並行して「今、衆議院選挙が行われたら、比例代表でどの政党に投票しますか」と質問しており、こちらは①自民20%(同21%)②維新16%(同15%)③立憲10%(同10%)——と維新が自民に迫る勢いをみせている。
特徴的なのが年代別の回答だ。衆院選の投票先で自民と回答した人の割合を年代別にみると18〜29歳10%▽30代10%▽40代19%▽50代23%▽60代26%▽70歳以上28%——という「若低老高」型になる。これに対し維新は18〜29歳13%▽30代21%▽40代14%▽50代16%▽60代18%▽70歳以上16%——と幅広い世代に支持を広げ、30代以下では自民を上回っている。岸田内閣の支持率も「若低老高」の傾向にあり、内閣支持率の低迷が若年層の自民離れにつながっている可能性も指摘できそうだ。
■地球温暖化が生活に与える影響「深刻だ」79%
地球温暖化が自身の生活に与える影響について「深刻だと思う」との回答は87%だった。前回調査の79%からさらに増えたのは、相次ぐ豪雨災害と全国的な猛暑の影響だろう。
自身の生活の中で地球温暖化対策に「取り組んでいる」との回答は「大いに」の5%と「ある程度」の51%を合わせて56%。「取り組んでいない」は「あまり」の35%と「全く」の9%を合わせて44%だった。
■世論調査の新たなスタンダード:dサーベイ
dサーベイは、NTTドコモの協力を得てSSRCが開発したインターネット調査の新方式だ。NTTドコモのポイントサービス「dポイントクラブ」の会員を対象にアンケートを行う「プレミアパネル」を使用。全国約6500万人(18歳以上)から無作為に抽出した方々にメールで回答を依頼し、回答者にはスマートフォンの画面で質問に答えてもらう。今回は8月6日午前9時からメールを配信し、1509人から有効回答を得た。
dポイントクラブの会員にはNTTドコモ以外の携帯キャリアユーザーも含まれ、日本の有権者の6割以上を母集団としてランダムサンプリング(無作為抽出)調査ができるのがdサーベイの特徴だ。2021年衆院選、22年参院選、23年統一地方選など各種の選挙調査で精度の高さを実証してきた中で、地域別・年代別の人口構成に合わせてメール配信数を設計する「配信設計モデル」を構築した。SSRCとしては、内閣支持率など有権者の政治意識を定期的に解析する世論調査の新たなスタンダードに育てたいと考え、昨年10月から毎月定例のdサーベイ全国世論調査を実施している。
<dサーベイの解説動画> https://www.youtube.com/watch?v=PjLIPto7v4w&t
★本調査の「質問と回答」は、 https://ssrc.jp/blog_articles/20230806.html でご覧ください。
【会社概要】
会社名:株式会社社会調査研究センター
代表取締役社⻑:松本 正⽣
設⽴:2020年4⽉1⽇
本社所在地:埼⽟県さいたま市桜区下⼤久保255 埼⽟⼤学内
TEL. 048-858-3751
ホームページ:https://ssrc.jp/
事業内容:世論調査等各種調査の受託、世論調査研究のコンサルティングおよびコーディネートなど