大阪府門真市では、「子どもたちの基礎基本の定着」「授業改善」「働き方改革」を目指し、児童生徒へのより個別最適な学びの提供と、きめ細やかな先生の指導を実現するために、2021年度よりQubenaを市内の全市立小中学校に導入いただき、学校内外での日々の学習にご活用いただいています。
市では「客観的な根拠を重視した教育政策の推進(EBPM※)」に取り組んでおり、このたび市内小中学校におけるQubenaの活用について、慶應義塾大学SFC研究所の中室牧子氏とCOMPASSが連携して進めている「ICTを活用した学びにおける児童生徒および教員への影響に関する研究」の一環として、効果検証を実施いたしました。
※EBPM:Evidence Based Policy Makingの略
効果検証の結果、Qubenaの利用と学力向上には相関がみられ、小学校・中学校、教科全体の傾向としてQubenaの1週間あたりの利用頻度が高くなるほど学力が高い傾向があることがわかりました。
また小学校・中学校別、教科別、学力層グループ別にそれぞれ、学力向上との相関を確認することができました。
<効果検証概要>
◆対象生徒:門真市の全市立小学校3・4年生/全市立中学校1年生
◆対象科目:小学校:算数・国語/中学校:数学・国語・英語・社会・理科
◆実証期間:2021年1月~2023年1月(小学校・中学校、教科により期間は異なる)
◆実施方法:
・小学校は「門真市学習到達度調査」、中学校は「大阪府チャレンジテスト」のそれぞれ2回のテスト結果を事前・事後テストとして使用し、2回のテストの間の期間に利用されたQubenaの学習ログを収集した。
・Qubenaの学習ログは利用頻度・問題解答数・時間帯・機能・使用した時間・取り組み方・取り組み結果などの計20項目を対象とした。
・Qubenaの学習ログ20項目と事前事後テストの学力の変化の相関を、各教科ごとに回帰分析により検証し、Qubenaの利用が児童生徒の学力へ与える影響を調査した。また、中央値で学力層グループを2つに分け、高学力層・低学力層ごとの調査も行った。
<検証結果概要>
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小学校・中学校、教科全体の傾向として、Qubenaの利用頻度の項目と学力に相関がみられ、1週間あたりの利用頻度が高くなるほど、正答率や偏差値などの学力が高い傾向があった。
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小学校では利用頻度に加えて、2教科に共通して、Qubena独自の習熟度指標と学力に相関がみられ、習熟度が高い方が学力が高い傾向があった。
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そのほかに、小学校・中学校別、教科別、学力層別の特性も確認できた。(例:中学校英語では授業中の取り組み問題数が多い方が学力が高い傾向があった。中学校数学の高学力層では習熟度を高めるほど、低学力層では問題の正答率が高い方が学力が高い傾向があった。 など)
本検証は5月27日に開催された弊社主催イベント「Qubena-Action2023」にて検証結果を発表いたしました。より詳細な情報は以下の記事、動画・資料のアーカイブをご覧ください。
<Qubena-Action 2023 Qubena導入効果発表 アーカイブ>
◆動画:https://youtu.be/I58LRSynxw4
◆発表資料:https://bit.ly/3MJuFPH
◆記事:https://ict-enews.net/zoomin/18compass-2/
<門真市 教育センター長 植原宏仁氏 コメント>
本市においては、3点【子どもたちへの基礎基本の定着】【教員の授業改善】【質を落とさない働き方改革】を推進するためにQubenaの導入を決めました。Qubenaを導入することにより、自学が可能な子どもは自分のペースで主体的な学びができ、教員は支援が必要な子どもに多くの時間を割くことが出来てきています。今回の分析の結果も参考させていただき、今後も教員とICTのベストミックスによる個に応じた教育活動を進め、全ての子どもたちに確かな学力を育みたいと考えています。
<慶應義塾大学総合政策学部 教授 中室牧子氏 コメント>
今回の分析では、門真市から提供を受けた学力調査の結果とQubenaの学習ログを組み合わせて分析を行いました。事前の学力の影響を制御した「付加価値モデル」を用いた推定を行っており、利用頻度と学力の間に正の相関があることが明らかになっています。ただし、子どもたちの学校外学習(家庭での学習や、塾や習い事など)などの影響を制御することが出来ていないため、厳密な因果関係とは言えない点に注意が必要です。政府が推進する「GIGAスクール構想」によって一人一台端末の利用が急速に進む中、どのような利用法が子どもたちの能力を高めることにつながるかという科学的な検証は今後ますます重要になってくると考えられます。
<慶應義塾大学SFC研究所連携「ICTを活用した学びにおける児童生徒および教員への影響に関する研究」について>
◆プレスリリース:
「学習eポータル+AI型教材「Qubena(キュビナ) 」を開発・提供する株式会社COMPASS 慶應義塾大学SFC研究所と連携しICTを活用した学びに関する研究を開始」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000125.000024557.html
COMPASSと中室牧子研究室はこれまでにも「ICTを活用した教育・オンライン教育の効果検証」に取り組んでおり、Qubenaの活用による学力向上と経済状況による学力格差縮小の可能性を示唆する結果を発表しております。
◆プレスリリース:
「株式会社COMPASS全国知事会にて慶應義塾大学中室研究室とAI型教材「Qubena(キュビナ)」の活用による学力への効果検証を実施」
COMPASSは、学習者を取り巻く教育データが、学習者自身にとって、より便利で効果的かつ安全に利活用されるよう、自治体・学校・専門家の皆さまとも連携し、法令やシステム的なセキュリティ・安全性を確保しながら引き続き本研究に取り組んでまいります。
◆COMPASSについて URL:https://qubena.com/
AIが児童生徒一人ひとりの習熟度に合わせて最適な問題を出題するAI型教材「Qubena」を開発し、2021年度には小学校・中学校の5教科対応版をリリース。2022年9月にはMEXCBTとの連携を行い、学習eポータル+AI型教材「Qubena」として学習eポータルのサービス提供を開始しました。
現在は全国170以上の自治体、小中学校約2,300校で100万人以上が利用しており、累計回答数は15億件超、アダプティブラーニングによる知識・技能の習得を支援しています。
2018年度から20年度まで3年連続で経済産業省「未来の教室」実証事業に採択。また「日本e-learning大賞 経済産業大臣賞」「グッドデザイン賞」を受賞しています。
COMPASSはこれからもQubenaの提供を通して、すべての子どもたちを取り残すことなく「公正に個別最適化された教育」を届けるリーディングカンパニーとして、さらなる公教育へのICT普及に貢献できるよう邁進してまいります。