7月2日、日本一の里山と言われている黒川にある川西市黒川里山センターで黒川地域伝統料理の「ちまき」を作るイベントが開催された。講師は、黒川地域で、今も唯一残る菊炭を作っている炭焼き農家の今西多恵さん。昔は黒川地区のどの家庭でも作っていたが、今では「黒川ちまき」を作っているのは今西さん宅のみとなっている。
川西市は黒川里山センターの管理を「NPO法人コクレオの森」に4月から委託。黒川地域の「自然」や「暮らし」を体験し、黒川地域の魅力を知ってもらうための「黒川里山塾」を開催。今回はその第一回目。同法人は黒川の地域住民らと相談し、今西さんら地域住民で行っていたちまき作りを実施。例年旧暦の端午の節句の日(6月5日)周辺で行われているが、今回は準備の都合から、1ヶ月遅れで開催。川西市内外から17名が参加した。
ちまきは、一般的には団子状にしたもち米を笹で巻くが、黒川地域のちまきは、ナラガシワとヨシの葉を使う。これらを使用してちまきを作っているのは、武庫川中流域と猪名川上流域の北摂里山地域のみである。材料は、米粉とお塩の2つのシンプルなもの。蒸した米粉を臼と杵でついてから丸め、葉っぱで包んだものを再び蒸して作る。ナラガシワの匂いがほのかについたお団子にきな粉や砂糖をつけて食べる。
このちまきは、同じ文化圏の宝塚の西谷地域とほぼ同じもので、宝塚市では『宝塚市無形民俗文化財』に登録されている。また文化庁が取り組んでいる『100年フード』にも認定されている。今回のイベント参加者には、「西谷ちまき保存会」のメンバーも参加していた。
講師の今西さんは、「コロナ禍で開催しておらず、4年ぶりだった。長く続く伝統文化を地域住民だけで残していくのは厳しくなっている。多くの人の手でつないでいけたら」などと話した。