図.本研究での実施項目(①・②)と既存設備を最大限活用するバリューチェーンのイメージ図
本実証試験から得られた低級オレフィンを,既設商用プラントで製造された低級オレフィンと物性比較や互換性評価を行うとともに,その評価結果をもとに,商用化に向けてオレフィンの合成条件および既設プラントとの統合条件を検討していきます。2024年度にCO2回収設備およびオレフィン合成設備を実稼働しているSCGCのプラントに設置し,2026年3月まで実証試験を行います。
IHIは,これまでにカーボンリサイクル技術開発で培ってきた高性能な触媒,および石油化学用リアクター用反応器などの設計・製造技術を活かし,CO2と水素からの低級オレフィン合成技術の確立に取り組んできました。今後は,本技術開発の完成時に社会実装の可能性を確認するため,実ガスの提供会社であるSCGCと共に低級オレフィン合成プロセスの商用化を目指すとともに,化学工業分野でのカーボンニュートラルの実現に向けて貢献していきます。
【研究開発項目】
(1)低級オレフィン合成触媒および反応器の開発
(2)既存ナフサクラッカーの実排気ガスを用いた試験および既存設備との統合検討
【実証試験期間】
2024年度 設備着工 ~ 2026年3月まで
【注釈】
(※1)低級オレフィン:多くの主要基礎化学品の原料となるエチレン,プロピレンなどの総称。生活必須品である包装材,発砲スチロール,ペットボトルなどのプラスチック製品の製造に用いられる。
(※2)ナフサクラッカー:原油を蒸留させたナフサを800℃以上の高温で熱分解させ,石油化学基礎原料のエチレン,プロエチレン,芳香族成分などを生産する設備。
【関連プレスリリース】
2021年11月11日 CO₂の再資源化によるオレフィン製造技術の開発に向けたNEDO委託事業に採択 ~プラスチック・樹脂の原料としてCO₂のカーボンリサイクルを目指す~