■医療的ケア児から始まるインクルーシブキャンプとは?
子どもたちは自然に身を置くことで鳥や虫の鳴き声を聞き、木の枝や葉っぱで遊ぶといった経験から多くのことを感じとっています。一方で医療的ケア児は、入院生活が長く、退院後も人工呼吸器などの医療デバイスや衛生用品などの荷物が多く、体調の急変リスクの高さから外出は困難であり自然と触れ合う機会が極端に限られてしまっています。外での宿泊キャンプはとんでもない挑戦になります。
そこでキャンプのプロである株式会社スノーピークと協働し、医療的ケアが必要な子どもたちとのインクルーシブキャンプを実施することになりました。自然から最も遠い存在の彼ら・彼女たちがキャンプを楽しむことができれば、「すべての人がキャンプを楽しめる!」と言っても過言ではないでしょう。
■新たな社会課題「医療的ケア」とは?
小児医療の発展によって、日本は世界で最も赤ちゃんの亡くならない国(ユニセフ報告書『Every Child ALIVE』※1)となりました。人工呼吸器をつけていたり、酸素を必要としていたり、痰が喉に詰まり窒息する恐れがあるため多頻度で痰の吸引を必要とする「医療的ケア児」は、現在全国2万人(厚生労働省資料※2)となり年々急増しています。入院生活が長く、退院後も体調を崩して再入院となったり、時に手術が必要となるため、多くの子どもたちが当たり前に経験していることを経験できないまま成長し、時には病気によって命を落としてしまうこともあります。
■これまでの流れ
Buranoは2021年10月に株式会社スノーピークと医療的ケア児のキャンプの実現に向けた話し合いをスタートさせました。そして2022年11月に栃木県下野市にある三王山ふれあい公園キャンプ場にてデイキャンプを実施。その後、株式会社スノーピーク本社キャンプ場にて、医療的ケア児を含む家族4組と共に1泊2日の宿泊キャンプを実施しました。
■医療的ケア児に特化したキャンプガイドブックについて
医療的ケア児は安全性の確保がよりシビアに求められます。そのため多くの家族がキャンプをしたくても諦めてしまっている実情があります。本プロジェクトを通じて作成するガイドブックとポータルサイトは、これまでの取り組みで得られた知識・経験・ノウハウを詰め込み、キャンプにトライしたい家族の最初の一歩を後押しすることを目的にしています。
<冊子・WEBサイトについて>
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・【準備編】医療的ケア児とのキャンプへのステップ/チェックポイント
・【道具編】医療的ケア児と安全に楽しく過ごすために準備したいアイテム
・【食事編】がんばりすぎないキャンプ飯、私たちの食事レポート
・【遊び編】キャンプ場でできる野遊びいろいろ、焚き火の注意
・【体験レポート】宿泊キャンプにチャレンジした4家族のレポート。テント内レイアウト紹介
・【Q&A】疑問や不安をここで解消
・【チェックリスト】デイキャンプ、宿泊キャンプの持ち物チェック
・【手ぶらCAMP】手ぶらでいけるキャンプ紹介、プロジェクトスタッフ紹介
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さらにこれらのコンテンツはWEBでも見られるようにして、WEBサイトは「キャンプ行ってきたよ!」をシェアできるコミュニティの場にしていく予定です。(下記:ガイドブックイメージ)
■今後の取り組みについて
ガイドブック・ポータルサイト作成後は、ガイドブックを全国のスノーピーク店舗に配布し、どこにいても無料で冊子を手に取ることができる取り組みへと進めます。またポータルサイトでは、全国各地で医療的ケア児と家族がキャンプを実施できるような情報集約・発信・コミュニティ掲載の場を設ける方向で進めます。
■主催団体 Burano 秋山より
息子に医療的ケアがあることで、生活は大きく変化しました。出来ないことが増え、これまでとは違った生活に戸惑い、変化をどう捉えて良いのかわからない。そんな日常でした。そんな日々を変えたい、もっと前向きに日常を捉えたいという想いからBuranoはスタートしました。子どもに医療的ケアがあっても、どんなことでもトライする。子どもたちと一緒にたくさんの挑戦を進める中で、子どもたちこそが社会を変えるイノベーターだと気がつきました。今回のプロジェクトを通じて、自然に触れ合い伸び伸びとした表情を見せた子どもたち、外でたくさん走り回っていたきょうだい、焚き火を囲んでリラックスした家族。キャンプを通してこころが豊かになっていく体験を全国の医療的ケアがある子どもとその家族に知ってほしい、そしてトライしてほしい。そんな想いから、ガイドブックの作成を考えました。この活動を通じて、たくさんの子どもたちが全国のキャンプ場でトライをする。そうすれば、きっと子どもたちの姿に触発された大人たちは、どうしたらもっと気軽に子どもたちがキャンプをできるようになるだろうかと考えてくれるかもしれません。その想いの連鎖が広がれば、どんな障害があってもキャンプができる社会につながるかもしれません。医療的ケア児から始まるインクルーシブキャンプ。ぜひ応援してください。
■応援メッセージ
株式会社スノーピーク 執行役員
Snow Peak Culture Lab長
跡路茂文さん
僕個人がキャンプ事業に関わってから常に思い続けた事、 それは全ての人々にキャンプをする権利があるということ。 これまでキャンプをする方々の多くのサービスやキャンプに携わる遊び、ノウハウを教えてきました。 しかし自分自身の人生でただ一つ、関われなかった方、ご家族がありました。 それは、障がい者や障がいがあるお子様を持つご家族でした。 5年ほど前に、重度障がい者のお子様を僕個人の責任で1泊2日のキャンプに招待する機会がありました。 大事なお子様をお預かりし、結果、無事に1泊2日を乗り越えましたが、最終日そのお子様が微笑んでくれたのが僕の胸に突き刺さりました。 ほとんど感情を表情に出せないほどの障がいがある子供が笑みを浮かべてくれたのです。 その瞬間残り僕の人生は身体にハンディキャップのある人、ご家族、子供の為に僕ができる事を行っていくと強く思いました。 ハンディキャップがある方々も安心安全にキャンプができるキャンプフィールド作りや、サーポートできる体制のあるキャンプ場を作ることが僕の人生の最終点だと思っています。 人は平等に幸せに生きる権利があると思っています。 その幸せの一つに野遊びやキャンプがあるなら、ハンディキャップのある方々も沢山体験して欲しく思います。その為に僕は全力でサーポートいたします。
■クラウドファウンディングについて
2023年6月1日よりクラウドファンディングをCampfireにてスタートします。
プロジェクト名:
医療的ケア児もキャンプに行ける!最初の一歩を踏み出すためのガイドブックを作りたい
※6月1日9時以降から閲覧ができます。
■参照
※1 ユニセフ報告書『Every Child ALIVE』(https://www.unicef.or.jp/news/2018/0023.html)
※2 医療的ケア児について(https://www.mhlw.go.jp/content/000981371.pdf)