民間企業における生成AIの利活用に関する提言

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近年、chatGPT をはじめ生成 AI は目覚しい技術的発展を遂げており、ビジネスの現場にも急速に普及しつつあります。一方、その高い利便性と表裏一体で多くの課題やリスクも包含しているため、利活用に際しては「知の統治と共有」を意識した十分な考慮が必要です。民間企業においては、最新技術を積極的に利活用していく方針に支障はありませんが、以上の懸念を踏まえデジタル人材育成学会会長 角田仁は次の通り提言を行います。

  • 経営者に対して

経営トップは社内外へ対し、生成AIの利活用に関する「明確な方針」の発信をお願いします。方針策定にあたっては、自社の業務特性やリスクなどについて注意深い検討もお願いします。その際、基本的には積極的な利活用の方針が望まれますが、急激な業務効率化等の過度な施策は避け、着実かつ漸進的な利活用が望まれます。

  • 本社部門に対して

本社部門(デジタル部門、法務部門、コンプライアンス部門、知的財産部門など)では、「社内ルール」の作成と自社内への周知徹底をお願いします。社内ルールには、機密情報・個人情報・著作物の入出力や情報の正確性の確認、技術的・倫理的な利用制限などの内容を含めます。また、様々なリスクを想定して、リスクコントロールの策定もお願いします。一方、組織的には本社内にCoE(組織を横断して人材を1カ所に集約した部署)を設置するなどの対応を推奨します。

  • 高度IT人材・コア人材に対して

高度IT人材・コア人材の皆様には、技術面でのコントロールタワーの役割を担うようお願いします。生成AIをはじめとする人工知能の技術は今後も急速に発展する可能性があり、その内容を適切にキャッチアップしていくことが求められます。その際、 その役割は極力アウトソースせず、自社社員により「自社にとって何が必要なのか」を常に考え、社内へ共有していくことを推奨します。

  • 一般従業員に対して

一般従業員の皆様には、生成AIを「使いこなす能力」や「情報が正確か否か適切に判断する能力」が求められます。具体的には、プロンプトエンジニアリング(AIを効率的に使用するために、プロンプトを開発・最適化するスキル)を熟知したうえで命令・文脈・入力データ・出力形式などを明確に指示することや、情報の正確性を他の情報源から確認する等の作業が望まれます。また、職場にて成功事例を共有する場の設定なども有効です。一方、社内ルールを遵守し、様々なリスクを勘案したうえで、日々の業務で適切に利活用することが必要です。

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