近年、航空機や自動車部品など高い安全性を求められる金属部品には、ピーニング工法を用いて耐久面における信頼性を向上させるのが一般的となっています。ピーニングには主に鉄系もしくは非鉄系の小さな球を金属表面に打ち付けるショットピーニング(SP)とレーザーを照射するLPがあり、それぞれ異なる特性を持っています。例えば、SPでは耐久性向上といった効果の付与が難しいチタンのような材料に対してはLPが効果的であり、LPでは照射が難しい形状に対してSPは適用可能など、材料・目的によって最適な工法は異なります。またLPでは投射材を使わないため廃棄物を出さない利点もあります。
レーザーピーニング(LP)について:https://www.sinto.co.jp/product/surface/function_purpose/tsuyoku04/
従前より、表面処理のリーディングカンパニーである当社はSPをコア技術のひとつとし、そのアプリケーションや評価の知見を蓄積してきましたが、LPは世界的にも扱うメーカーが少ないのが実状でした。また、先述の通りSPとLPの特性の違いは明らかであることから、両技術の特性と対象材料・使用目的に応じた最適な加工条件の提案・加工、その効果の測定・検証が求められます。
そこで、LP装置のトップメーカーであるLSPT社から国内初となる「The Procudo Laser Peening System(プロクド レーザーピーニング システム)」を導入し、当社が元来保有するSPに必要不可欠な投射材および投射条件に関する知見・ノウハウ、金属の特性評価をはじめとする測定技術にLSPT社のノウハウを融合した、LPの受託加工・測定専門会社を設立することとしました。
これまで両社で蓄積してきたノウハウをベースに、今後は新東グループとして技術を一層進化させ、ピーニングの可能性のさらなる拡大に向けて躍進してまいります。
【資料】
1. 合弁会社の設立背景と目的
既存の表面処理事業における事業拡大を目的に、SPとは異なるアプリケーションを有するLP加工のノウハウの蓄積と受託加工サービスの拡充をめざす。
2. 新東LSPTレーザーピーニング株式会社概要
会社名:新東LSPTレーザーピーニング株式会社(英名:SINTO-LSPT, Inc.)
本社:愛知県豊川市大木町小牧180番地の1 新東工業(株) 一宮事業所内
設立:2023年4月3日
代表者:取締役社長 加賀 秀明
資本金:90百万円
事業内容:LPプロセスによる受託加工
出資比率:新東工業 80% LSPT 20%
3. SLP社および技術の特徴
・ユーザの要求に対し、必要な効果が得られるLPおよびSP加工条件の提案
・実用製品に対し、LPによる受託加工および加工テストの実施
・ピーニング加工結果の評価・測定まで一貫して対応可能
・LPにより、局所的かつ高強度な加工を実現
4. 各社紹介
◆新東工業株式会社
本社 :名古屋市中村区名駅3丁目28番12号 大名古屋ビル24階
設立 :1934年10月2日
代表者 :代表取締役社長 永井 淳
資本金 :57億5222万円
事業概要:創業の鋳造事業を核に、魅力ある表面づくりを提供する表面処理事業や、働く人の安全と健康を守る環境事業、様々なものづくりの基盤となるメカトロ事業を展開。
近年ではこれらの事業に加え、ロボット用センサや介護機器、IoTサービスなどの新分野にも参入。
Webサイト:https://www.sinto.co.jp
◆LSP Technologies, INC.(エルエスピー テクノロジーズ社)
本社 :米国 オハイオ州ダブリン
設立 :1995年
代表者 :CEO Jeff Dulaney (ジェフ・ドゥレイニー)
事業概要 :LP設備の製造・販売、LPの受託加工、技術サポート・メンテナンス。世界の大手航空機メーカー等を主要顧客とする
Webサイト:https://www.lsptechnologies.com/
5. LP加工に関するお問い合わせ
新東LSPTレーザーピーニング株式会社 (新東工業(株) 一宮事業所内)
電話番号: 0533-93-3251
E‐mail: info-slp@sinto.co.jp