【岡山大学】種子中に糖類を高蓄積するオオムギの発見!

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2023(令和5)年 4月 23日
国立大学法人岡山大学
https://www.okayama-u.ac.jp/
 

<発表のポイント>

  • デンプン合成に関わる遺伝子に変異を持つオオムギを2種類単離しました。
  • 2つの変異を組み合わせた二重変異体の種子では、デンプンが少なくなり、ブドウ糖やショ糖などの糖類が多く含まれていました。
  • この二重変異体は従来のオオムギと異なる種子成分を持つことから、新しい用途に利用でき、高付加価値な品種育成が期待されます。

◆概 要
 デンプンはブドウ糖 (グルコース)が鎖のようにつながった物質で、穀物の種子中の70%以上を占めます。種子に貯蔵されたデンプンは植物が発芽する時のエネルギーとして使われますが、人間にとっても種子は主食であり、貯蔵デンプンは大切なエネルギー源となります。

 デンプンの合成に関係する植物の遺伝子(デンプン合成関連遺伝子)は、既に多数発見されています。デンプン合成関連遺伝子の中には、変異によって機能が失われたり弱まったりした場合に合成されるデンプンの特性(構造や性質)が変化することがあります。

 一方、複数のデンプン合成関連遺伝子に同時に変異が入った場合に、合成されるデンプンの特性がどのように変化するのかは、その組み合わせの多さからあまり分かっていません。

 国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)の岡山大学資源植物科学研究所(倉敷市)の松島良准教授らは、このたび秋田県立大学ならびに立命館大学との共同研究により、オオムギのデンプン合成関連遺伝子のうち特定の2つの遺伝子の変異を組み合わせることにより、種子中のデンプンが減少することを見出しました。

 そのオオムギ変異体は、グルコースやショ糖(スクロース)などの単糖類や二糖類を多く蓄積していました。今回用いた2つの変異のうちの1つは、デンプンのグルコース鎖のつながり方を制御する酵素の遺伝子で、トウモロコシではスイートコーンの原因遺伝子として利用されています。もう1つの遺伝子はデンプン関連酵素を補助する機能を持つことが予想されていました。2つの遺伝子変異を同時に持つことで、単独の変異よりも強い性質を示すことが明らかとなりました。

 オオムギは、醸造用、食用、飼料用、飲料用に利用される多用途作物であり、種子のデンプン特性や成分特性は重要です。本研究で発見したオオムギ変異体を利用することで、新しい用途開発や付加価値の高い品種育成につながるかもしれません。

 本研究成果は、日本時間2023年4月3日、国際科学雑誌「Theoretical and Applied Genetics」オンライン版で早期公開されました。

 

◆松島良准教授からひとこと
 自分達の基礎的な研究が社会実装に繋がれば嬉しいです。オオムギの食品資源としての可能性に興味がある企業の方との共同研究を希望しています。

松島良准教授松島良准教授

◆論文情報
 論 文 名:FLOURY ENDOSPERM 6 mutations enhance the sugary phenotype caused by the loss of ISOAMYLASE1 in barley
 掲 載 紙:Theoretical and Applied Genetics
 著  者:Ryo Matsushima, Hiroshi Hisano, Ivan Galis, Satoko Miura, Naoko Crofts, Yuto Takenaka, Naoko F. Oitome, Takeshi Ishimizu, Naoko Fujita, Kazuhiro Sato
 D O I:10.1007/s00122-023-04339-5
 U R L:https://link.springer.com/article/10.1007/s00122-023-04339-5

◆研究資金
 本研究は、日本学術振興会 科学研究費補助金 (研究者: 松島 良、研究期間: 2020年4月 – 2023年3月, No. 20K05970) 、新エネルギー・産業技術開発機構 官民による若手研究者発掘支援事業 (研究者: 久野裕・松島良、研究期間: 2021年1月 – 2023年1月)、東洋食品研究所 (研究者: 松島 良、研究期間: 2017年4月 – 2018年3月)、エリザベス・アーノルド富士財団 (研究者: 松島 良、研究期間: 2019 年4月 – 2020年3 月)、高橋産業経済研究財団 (研究者: 松島 良、研究期間: 2018年4月 – 2019年3月)、前川報恩会 (研究者: 松島 良、研究期間: 2019年4月 – 2020年3月)、G-7奨学財団 (研究者: 松島 良、研究期間: 2023 年 1 – 12 月)、大原奨農会ならびに文部科学省ナショナルバイオリソースプロジェクト (オオムギ) の支援を受けて実施しました。

◆詳しい研究内容について
 種子中に糖類を高蓄積するオオムギの発見!
 https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r5/press20230420-2.pdf

◆参 考
・岡山大学資源植物科学研究所(IPSR)
 https://www.rib.okayama-u.ac.jp/
・岡山大学資源植物科学研究所 光環境適応研究グループ
 https://www.rib.okayama-u.ac.jp/saka/

 

 

◆本件お問い合わせ先
 岡山大学資源植物科学研究所 准教授 松島 良
 〒710-0046 岡山県倉敷市中央2-20-1
 TEL:086-434-1224
 https://www.rib.okayama-u.ac.jp/saka/

<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
 岡山大学研究推進機構 産学官連携本部
 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
 TEL:086-251-8463
 E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
 https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/

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国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています

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