【2023年4月20日 ニューヨーク発】
スーダンで武力衝突が激化し、何百万人もの子どもが危機的状況にあることを受け、ユニセフ(国連児童基金)事務局長のキャサリン・ラッセルは、以下の声明を発表しました。
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5日間にわたる激しい敵対行為および4回の停戦失敗により、スーダンの子どもたちはすでに壊滅的な打撃を受けています。暴力行為を止めなければ、被害は増える一方です。
ハルツーム、ダルフール、北コルドファンで敵対行為が続く中、少なくとも9人の子どもが戦闘で命を落とし、50人以上の子どもが負傷したと報じられています。全土で治安が悪化しているため、情報の収集と事実確認は困難を極めていますが、戦闘が続く限り、子どもたちが犠牲を払い続けることは確かです。
多くの家族が激しい砲火に囲まれ身動きが取れず、電気もほとんど使えないまま、戦闘におびえ、食料や水と医薬品が底をつくことを恐れています。何千もの家族が、安全な場所を求めて避難を余儀なくされています。
周囲で激しい戦闘が起きている中、子どもたちは学校やケアセンターに避難しているとの報告を受けています。また、爆撃が近づくにつれ小児病院の患者や関係者は避難を余儀なくされ、病院や保健センターなどの重要なインフラが被害を受け、命を守る重要な看護や医薬品へのアクセスが制限されていることも報告されています。
推定5万人の深刻な急性栄養不良の子どもに対する、命を守るために欠かせない治療が、戦闘によって中断しています。このような脆弱な立場にいる子どもたちは24時間体制の治療を必要としていますが、戦闘行為の激化は治療が続けられない危険を招いています。
また、戦闘によって電力供給が途絶え、また発電機に燃料を補充できないため、4,000万米ドル相当以上のワクチンやインスリンを含む、スーダンのコールドチェーン(低温物流システム)も危うい状態にあります。
暴力が激化する以前から、スーダンの人道的ニーズはかつてないほど高まっていました。人道支援は非常に重要ですが、ユニセフもそのパートナーたちも、職員の安全が保証されなければ、必要な支援を提供することはできません。死傷した国連世界食糧計画(WFP)の仲間のご家族、ご友人たちに、心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。ユニセフなどの人道支援機関は、武装した人々の略奪に遭っています。このような人道支援関係者や組織への攻撃は、私たちが支援する子どもたちや家族への攻撃でもあるのです。
ユニセフは、敵対行為を直ちに停止するよう求める国連事務総長の呼びかけを繰り返すとともに、すべての当事者に対し国際人道法を遵守し、子どもを危害から守り、人道支援者が安全かつ迅速に助けを必要としている子どもに支援を届けられるようにすることを求めます。またユニセフは、すべての当事者に対し、水・衛生設備、保健施設、学校などの、子どもたちに必要な民間インフラを攻撃しないよう求めます。
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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。 https://www.unicef.or.jp/
※ ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、33の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/