今回のハンズオン・ワークショップには北米、中南米、ヨーロッパ、アフリカ、アジア、日本など世界各国の脳神経外科医が集まり、世界的に有名な講師陣による講義、ビデオプレゼンテーション、解剖モデルでのライブデモンストレーションなどが行われました。当社が開発製造する3Dプリンターを用いた精密医療模型 「ケズレックス」が、ハンズオンワークショップの講義、また、解剖モデルでのデモンストレーションに利用されました。
また、 当社のケズレックスとミニトマトを用いてハンズオントレーニングを実施頂きました、名古屋大学 脳神経外科の竹内先生がIFNE2023ハンズオンでベストトレイナーアワードを受賞されました。
ケズレックスは、より安全・正確・迅速・低侵襲な手術を支援するツールです。人骨と同様の削り心地、人体の内部構造を再現するために、過去25年にわたり、脳神経外科、耳鼻咽喉科、頭頸部外科等の先生方と共に幾度もの改良の末に開発に至りました。現在では世界各国で利用されており、日本国内の脳神経外科領域では、日本神経内視鏡学会の認定医試験等で採用されております。
【IFNE(国際神経内視鏡連盟)について】
国際レベルでの神経内視鏡検査の進歩に貢献することを目的に、神経内視鏡手術を実践する先駆的な神経外科医によって設立された連盟です。 神経内視鏡外科医のために、高水準のトレーニングの促進や、神経内視鏡手術のガイドラインとグッドプラクティスの適応、開発などに取り組んでいます。
【ハンズオンワークショップで利用された製品】
■第三脳室底開窓術用
等倍サイズの第三脳室底開窓術トレーニング用モデル。
医師監修の元、膜を破る感触をリアルに再現。
頭蓋骨と、軟素材で脳室内を精緻に再現された脳の間に水を注ぐ事で、頭部の穴から内視鏡を入れ、脳室内を通り第三脳室底を開窓すると水が抜ける一連の開窓術トレーニングが可能です。
使用例
・水頭症第三脳室底開窓術のトレーニング
・脳の内部構造理解のための教材
※今回のワークショップでは、脳室内モデルをトマトと組み合わせて利用できるように特別に加工したものを利用しています。
製品ページ:https://www.kezlex.com/products/skull/a38-in/
【日本から参加された先生の声】
■新潟大学医歯学総合病院・新潟医療センター 脳神経外科 西山健一先生
【認定資格・所属学会】
新潟市西区自治協議会委員
日本脳神経外科学会専門医
日本神経内視鏡学会技術認定医
日本小児神経外科学会(評議員)
International Federation of Neuroendoscopy (Executive Board, Secretary) 事務局長
World Neurosurgery (Section editor)
■IFNEの意義
神経内視鏡手術に関わる世界中の医師が集い、その知識や技術を共有することで、この比較的新しい分野の発展に寄与すること。「共同研究の展開」、「途上国への教育・啓蒙」、何よりも「理念を一にする仲間が集う倶楽部」のような楽しさがあります。海外ではIFNE familyと呼んでいる方もいらっしゃいます。
■IFNEハンズオンの意義
世界の高名な教授陣から、face to faceで技術の秘訣や学会では話されないような知識が得られることです。モデルや動物を用いて手術の実際に近い臨場感で学べることも、IFNEハンズオンの利点です。開催地によってはcadaverを用いても行われます。
■千葉県済生会習志野病院 脳神経外科 村井尚之先生
【認定資格・所属学会】
医学博士
日本脳神経外科学会 専門医・指導医
日本神経内視鏡学会 評議員・技術認定
日本正常圧水頭症学会 理事
第23回日本正常圧水頭症学会 会長
■IFNEハンズオンの意義
ナポリのハンズオンは、今持ち寄れる器材はほぼ集合しており世界最高レベルです。ただ、以前に軟性鏡の使い⽅を教わりたいというイスラエルの先⽣がおりましたが、ヨーロッパではオートクレーブ可能なものでないと使えませんので、ここで日本製のビデオスコープが利用できるようになるとハンズオンの幅がより広がると思います。
国際ハンズオンはそれぞれの国の良いもの(⼿術)を、他国にも広める良い機会だと考えていますので、⽇本からも積極的に参加していただければと思います。
■名古屋大学 脳神経外科 竹内和人先生
【認定資格・所属学会】
脳神経外科専門医、指導医
神経内視鏡技術認定医
日本内分泌学会内分泌代謝内科(脳神経外科)専門医
日本脳神経外科学会
日本間脳下垂体腫瘍学会
日本内分泌学会
日本神経内視鏡学会
日本頭蓋底腫瘍学会
日本脳腫瘍の外科学会
脳神経外科手術と機器学会
■トマトモデルの開発の着想、モデルの利点
私は手術トレーニングには2種類が存在していると考えています。一つは解剖学的な知識を得るためのもの、もう一つは技術習得のためのものです。今回は技術習得のためのモデルとして開発を行いました。安価な素材で、世界中どこでも手に入り、多くのタスクが想定できるものが良いと考えました。
トマトは内部に壊死組織を思わせる子室部分、肉腫のような硬い隔壁、内果皮部分、比較的癒着の強い中果皮、外果皮が存在しています。これらは摘出、剥離操作の練習に利用可能で様々なタスクをトレイニーに提供することが可能です。トマトはほとんどの国で利用されており、入手も容易であることから理想的なモデルとなったと考えております。これに、ジャパン・メディカル・カンパニーのシリコンモデルを組み合わせることで臨場感あふれる手術トレーニングモデルが生まれました。さらなる改良の余地はありますが、現時点では世界最高峰の脳腫瘍手術モデルと思われます。
■ミニトマトモデルを用いてベストトレーナーとしてご指導頂いたご感想
大変名誉なことに今回ベストトレーナーとして表彰をいただきました。今回のハンズオンコースは時間ごとにトレーニーが割り振られますが、タスクが少ないブースでは規定時間終了前にトレーニングが終わってしまうことも多く見られました。その中で、今回のモデルはトレーニングタスクが多く設定でき、ブースが非常に盛り上がりました。タスクも難易度が低いものから高いものまで設定可能であったため、多くのトレーニーが再訪しブースが人で溢れたことも評価された点と思います。賞をいただけたことは今後の改良への意欲に繋がりました。今後も改良し、複数のブースが設定できればと考えています。
■IFNEハンズオンの意義
IFNEハンズオンワークショップは毎年1月にナポリで定期開催されます。本ワークショップにはヨーロッパを中心に内視鏡の権威の先生方が指導医として多く参加されます。トレーニーとトレーナーの比がおよそ1:1であり、普段では近づくことも難しい伝説級の先生方から密な指導を受けることが可能です。ラットを用いたモデルもあり、実際の手術に近い嚢胞開窓、止血を学ぶこともできるのも魅力の一つです。
海外のハンズオンワークショップでは、日本では利用できない機器を用いた新規手術、全世界的な手術法の流れを知り体験することができます。技術的学習だけでなく、世界における日本人医師の立ち位置を知り、今後の日本医療のあり方について考えることにもつながります。
【KEZLEX(ケズレックス)とは】
KEZLEXとは、CT/MRI等の3次元データから人骨の内・外部を緻密に再現した、「削れる」「クリップできる」医療用精密複製立体モデルです。国内外のハンズオンセミナーや、術前・術野でのシミュレーションなど、幅広い用途で利用されています。美容整形・歯科で1,000症例以上の導入実績があり、アメリカ、イギリス、ドイツなど海外でも利用されています。
<株式会社ジャパン・メディカル・カンパニーについて>
ジャパン・メディカルカンパニーは、前身の大野興業時代より、過去25年にわたり、医療模型の開発と製造を行っております。現在は、赤ちゃんの“頭のゆがみ“を矯正するヘルメット「Aimet (アイメット)」/「Qurum (クルム)」、精密医療模型「KEZLEX(ケズレックス)」の開発、製造、販売を行っております。
赤ちゃんの“頭のゆがみ“を矯正するヘルメット「Aimet (アイメット)」/「Qurum (クルム)」(※2)の累計症例数は11,000症例(※3)以上の実績があります。
最先端の3Dプリンティング技術を用いて、医療のカタチを革新するものづくりベンチャーです。テクノロジーによって「世界にまだない選択肢」をつくることを目指しています。
■社名:株式会社ジャパン・メディカル・カンパニー
■設立:2018年5月
■代表:大野秀晃
■事業内容:医療機器の開発・製造・販売
■URL:https://japanmedicalcompany.co.jp
※1 JSNE:Japanese Society of Neuroendoscopy (日本神経内視鏡学会)
GLEN:Grupo Latinoamericano de Estudios en Neuroendoscopia(ラテンアメリカ神経内視鏡研究会)
NESI:Neuroendoscopy Society-India(インド神経内視鏡学会)
CSNE:Chinese Society for Neuroendoscopy (中国神経内視鏡学会)
※2 ジャパン・メディカル・カンパニーが製造している乳幼児の頭部頭蓋骨矯正ヘルメット
「Aimet(アイメット)」 医療機器承認番号:30100BZX00022000
「Qurum(クルム)」 医療機器承認番号:30300BZX00028000
※3 2023年1月、ジャパン・メディカル・カンパニー調べ