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トレンド
・中国では、海外旅行需要の急増に加え、日本が旅行先のトップにランクインしています。
・中国人観光客は大きく変化しており、Z世代の最新の消費パターンを把握することが重要です。
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背景
2019年以降、多くの観光業や観光関連業界が未曾有の苦境に陥りました。その結果のひとつとして、中国からの観光客が大幅に減少し、国際的な観光経済が制限されていましたが、中国政府は旅客の出入国管理を徐々に緩和すると発表しました。これは間違いなく中国の海外旅行ブームに大きく貢献すると見込まれています。多くの世界市場予測機関や一般の人々は、2023年第2四半期、早ければ2023年第1四半期
に中国人観光客が再び戻ると予測しています。では、中国人観光客の訪日再開に先立ち、日本市場にはどのような見解や備えが必要でしょうか。
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[訪日観光再開:依然として続く中国人観光客の日本への高い関心]
過去数年間、日本ではインバウンド観光客のうち中国人観光客が占める割合が最大でした。2019年には、訪日中国人観光客が延べ857万5,500人に達しました。2020年1~3月期、中国人全体のインバウンド消費額は2,416億円となり、訪日外国人旅行消費額の34.2%を占めました。中国人観光客を失った2年の間に、日本の観光業は最も消費額の多い観光客を奪われる事態に陥りました。
出典:観光庁/訪日外国人消費動向調査 2020年1-3月期の全国調査結果(2次速報)の概要
中国では“旅行欲”がリアルに強まっています。水際対策の緩和が発表され、2023年春節の旅行予約件数が爆発的に増加し、平均予約額(消費額)は32%増、海外旅行の予約件数は前年同期比540%増となりました。※1 約3年間閉ざされていた海外旅行の扉が開き、中国人観光客は海外の旅行先への旅行を切望しているのです。
中国人観光客の旅行先として日本が上位にランクインしていることは明るい兆しだと言えます。グローバル経営コンサルティング会社のオリバー・ワイマン(Oliver Wayman)の調査によると、日本は1位(59%)にランクインしており、中国人観光客が安全のために旅行先を慎重に選ぶ傾向が認められています。※2 また、GMOリサーチが実施したアンケートでは、中国人観光客の65%以上が訪日旅行の時期に関して「2023年内」と回答しています。※3
期待される訪日旅行ブームから利益を得るため、日本の観光業界のマーケティング担当者には、現在の中国人訪日客合わせた備えをすることが求められます。
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[新たに主流となる消費者:Z世代とZ世代の旅行への関心]
観光のため日本に戻る中国人観光客の増加に伴い、訪日観光ブームによる成長機会を最大限に利用するには、現在中国人の好みを把握することが極めて重要となります。
中国市場で幅広い実績を持ち専門スタッフで構成されるチームを擁するデジタルマーケティング会社Nativexは、「2022年、中国における旅行マーケティング」に関する調査を実施しました。※4 この調査の結果、いくつかの明るいきざしと、観光客のトレンドの変化が明らかになりました。興味深い点のひとつは、個人旅行のニーズが235%増と驚異的に増加した一方、団体旅行のニーズはわずか66%増であった点です。さらに、中国人観光客はショッピングよりも文化的な体験や唯一無二の体験をより重視すると見込まれています。加えて、訪日中国人観光客の主流として期待されるのが、Z世代です。78%以上が中国国外への旅行意欲があると回答していることから、Z世代の海外旅行意欲が一層高まっていることが示唆されています。また、オリバー・ワイマンの調査では、中国のZ世代の消費者は他のどの年齢層よりもずば抜けてぜいたくな旅行への消費意欲が最も高いことが明らかとなりました。※5
旅行の計画を立てる際にデジタルプラットフォームで情報を集める傾向があるZ世代にアプローチする手段として、これまで以上にデジタルマーケティングが観光業界にとって効果的なツールとなっています。抖音(Douyin)によれば、Z世代の総スクリーンタイムの3分の1を占めているのはショートムービープラットフォームの利用時間です。すべての人気カテゴリーのうち、旅行は5位にランクインしており、旅行関連のコンテンツの総再生回数は227万回を上回っています。※6 Z世代はショートムービープラットフォームでインスピレーションを探し、旅行の計画を立て、同じ趣味や好みを持つ旅行者とつながり、UGCコンテンツを作成することに意欲的であると考えられます。
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[訪日外国人観光客の急増に備えるためのお役立ち情報&ヒント]
近い将来、訪日外国人観光客数の過去最多更新が期待される今、Nativexは中国人観光客の訪日に備えるための推奨事項を公開しております。
ショートムービープラットフォームでマーケティングを展開する:
オンラインプラットフォームの成長により、広告主は簡単かつ正確に自社製品のマーケティングを展開できるようになっています。観光業界のマーケティング担当者には、ターゲット層にリーチするため、オムニチャネルのアプローチをとることが求められます。例えば中国で最も人気のショートムービープラットフォーム抖音(Douyin)は、2022年にDAUが6億人を超え、月間平均利用時間は36時間を超えています。※7 2022年抖音(Douyin)でハッシュタグ“#Japan”をもとに再生された動画の動画再生回数は212億9,000万回でした。この数字は、日本のマーケティング担当者が抖音(Douyin)を有効活用すれば、中国の大規模な潜在市場をつかめることを示唆しています。
KOL/インフルエンサーマーケティング:
動画プラットフォームの台頭だけでなく、コンテンツクリエイターの増加にも伴い、ユーザーはよりリアルで偽りのない情報に引かれる傾向が強くなっています。したがって、インフルエンサーマーケティングは外国人消費者を魅了する極めて重要な手段となっています。中国では“インフルエンサー”よりも“キーオピニオンリーダー”(多くの場合“KOL”と略されます)という呼称の方が広く一般に使われています。広告主はKOLと提携すれば、KOLによる口コミやKOLのファンを活用し、より正確にターゲットにリーチできるようになります。また、観光地にKOLを招待し、体験動画の撮影やライブ配信を行ったり、KOL発信で限定キャンペーンを実施し消費者を引き付けたりすることで、より多くの中国人観光客を魅了することもできます。これもまた最も高いROIをもたらすマーケティング手法のひとつとみなされています。
商機をつかみため先手を打つ:
外国人観光客が増加する傾向が見られている今、消費者の心を掴むチャンスを得るには、市場に速やかに反応し、先手を打ってマーケティング戦略を最適化する必要があります。中国市場に関する最新情報を考慮しNativexは、中国人観光客が日本に到着してから観光客の関心を引くのではなく、日本に到着する前に訪日観光客の関心を引き付けることをマーケット担当者に推奨いたします。ショートムービープラットフォームで情報にアクセスし、旅行の計画を立てるZ世代の傾向で明らかになっている通り、広告主は露出を高めるため、中国人観光客が普段利用しているプラットフォームにアプローチすることで、競合企業よりも有利なスタートを切ることができます。
出典:抖音(Douyin)
データ引用先:
※1 Trip.comからのデータ
※2 HOW THE CHINESE TRAVELER IS EVOLVING
※3 GMOが海外旅行に関する意識調査をアジア10カ国・地域で実施
※4 Nativex eBook『次の旅行ブームを巻き起こす』
※5 What To Expect From Chinese Consumers In 2023 And Beyond
※6 抖音(Douyin)の社内データ(2022年)
※7 中国版TikTokの「抖音」、アクティブユーザーが6億人突破
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Nativexについて
Nativexは、世界トップクラスのデジタルマーケティングエージェンシーです。自動化されたユーザー獲得ツール、インフルエンサーマーケティングサービス、またクリエイティブカスタマイズ機能のスイートを通じて、Nativexは世界60以上の国や地域の3,000社以上のクライアントの成功を後押ししています。(公式サイト:https://www.nativex.com/jp)