※LIXILフロントコンテスト
https://www.lixil.co.jp/lineup/building_apartment_store/sf_contest/2021/
審査は、加工・施工技術、デザイン性、建物全体との調和等を審査基準としており、本コンテストでは、グランプリをはじめ、「小規模部門」「大規模部門」各部門の金賞(2点)、銀賞(4点)、銅賞(4点)ならびに特別賞(3点)を選出しました。
今回グランプリを受賞した「NEMU RESORT『里山ラウンジ』(三重県志摩市)」は、今後GXを目指した施設建築が重要性を増すなか、当該物件はこうした流れの魁として、グランピング環境の優位性を示唆しており、これを可能にした折れ戸による先進的な開口部のデザインが審査委員から評価されて受賞となりました。
■審査員長総評(要旨):柘植 喜治(つげ きはる)氏
昨今、地球規模で広がる気候変動の対策としてカーボンニュートラル社会への転換が急がれる。各国の政府や民間企業はGXに取り組み始めた。有史以来、人類は自然と対峙して人工環境を作り続けた結果、環境に負荷をかけすぎ、地球温暖化や異常気象など様々な環境問題を引き起こしている。 |
LIXILはフロントコンテストを通じて“いい住まい、いい暮らし”について考え、上質な暮らしや空間を実現する住生活環境の提供を目指していきます。
- 参考資料
■「LIXILフロントコンテスト2021」上位賞受賞作品
●グランプリ受賞作品:
NEMU RESORT「里山ラウンジ」(三重県志摩市)
設計事務所/三井住友建設株式会社 中部支店 様
建設会社/三井住友建設株式会社 様
加工店/有限会社アル建工業 様
<審査員評価ポイント>
GXの移行を背景に、人工と自然が共存するハイブリッド環境が注目されている。建築・デザイン分野では自然と人工を如何に交配させるか試行錯誤が続き、宿泊や飲食用途におけるグランピング施設の台頭が顕著である。近く竣工する札幌のボールパークでは、日光 風、天然芝などと共にグランピング等の要素が脚光を浴びている。こうした新しい潮流のなかで、究極のグラマラス・キャンピングと呼ぶにふさわしい施設がNEMU RESORT 「里山ラウンジ」である。ここでは最小限の要素で成り立つ建築が、素晴らしい自然の中に並置され新鮮な風景を作り出している。昨今の不動産開発や建築設計の原理は、床をつくり専有や共有の権利を付与する。屋根をつくり雨や日光を凌ぐ。壁をつくり風、音、温度をコントロールする。こうした施設は大屋根の基に内外の環境を操作するなど大規模ゆえに多大な環境負荷をかけている。これら建築要素の組み合わせを分解して小規模に再構成したのがこのグランピングだ。当該物件は壁面や開口部の仕組みを最小化することで実に爽快なハイブリッド環境の新たな価値を創造した。重要な点は多様なニーズに柔軟に対応する折れ戸 ラクタスシリーズが開口部の機能を無限に拡張した点だ。開口を巧みに操作することで、価値や用途を変容させ、利用する人々のUX(ユーザーエクスペリエンス)による体験価値を高めた。更に、軽い構造による有期限の運用計画等々ハイブリッド効果を最大化した点が非常に優れている。今後GXを目指した施設建築が重要性を増すなか、当該物件はこうした流れの魁として、グランピング環境の優位性を示唆している。これを可能にした折れ戸による先進的な開口部のデザインは審査委員から高く評価されグランプリ作品に採択した。 |
●「小規模部門」金賞 受賞作品:
MDG美園ビル(北海道札幌市)
設計事務所/アトリエティーズ設計 様
建設会社/株式会社S・D建設 札幌オフィス 様
販売店/メタルシステム株式会社 様
加工店/旭川NKアルミ建材株式会社 様
<審査員評価ポイント>
自然環境と人工環境を融合するハイブリッド環境は、GX促進に向けて好ましいソリューションであるが、寒冷地においては厳しい局面が多々ある。このような状況下では厳しい外部環境に対して、内部環境の暖かさや明るさを演出することが意識的な誘引であり内外の融合を促す。例えば雪国でよく見られるサンルームとかテラス囲いがこれに相当する。ガラスで仕切ることで寒冷地でも日差しの暖かさやぬくもりを享受しながら、外部空間的なアクティビティ、例えば洗濯干しや日向ぼっこなど様々な生活や活動がそこで営まれる。これこそがハイブリッド環境であり、重要な点は内外環境の連続性を訴求する開口部のデザインだ。MDG美園ビルは、札幌という寒冷地の室内外の境界にサンルームのようなハイブリッド空間を設け、寒さが厳しい外部環境に対し、内部の熱気や躍動感を訴求する開口部をデザインした。サッシの開閉のみならず、その収まりや枠取りなど外部への表情作りは有効な情報共有手段である。紫や白色LED照明と、サッシ周りの方立の見附と見込みの繊細な枠取りデザインと相まって、内部空間のアクティビティを魅力的に演出している。寒冷地における施設建築は閉鎖的になりがちだが、人間にとって厳しい環境要素は天候や温度が人体を刺激する温覚や痛覚などの触覚情報に限られ、それ以外の視覚、聴覚、嗅覚ほか快適な感覚要素はもっと共有されるべきである。内外環境のコミュニケーションを促すハイブリッド環境のインターフェイスは重要であり、当該物件のサンルームにおけるディスプレイ・デザインのようなインターフェイスは極めて高く評価できる。 |
●「大規模部門」金賞 受賞作品:
JR西広島駅(広島県広島市)
設計事務所/ジェイアール西日本コンサルタンツ株式会社 様
建設会社/広成建設株式会社 様
販売店/東西工業株式会社 様
加工店/岡山ビルサッシ工業株式会社 様
<審査員評価ポイント>
内と外、公と私、都市と郊外、現在と過去、これら二項対立する境界領域は、双方の環境特性を有する意味でハイブリッド環境と呼ぶことができる。この境界領域では、そこを行き来する人々の流れがぶつかり様々な出来事が起きる。衝突や出会いは科学反応を起こして新たな文化を生む。こうした都市活動が最も活性する刺激的な場所が境界領域の特徴だ。都市デザインで有名なJan Gehlは彼の著書「Life Between Buildings: Using Public Space」の中で次のように書いている。要約すると、子供は本能的に刺激的な場所を知っている。それは玄関先だ。そこでは様々な出来事が起きる。友達が通り過ぎる。家族が帰ってくる。宅配の配達物が届く等々、子供は人やモノとの出会い、出来事が大好きなのである。この原理は駅空間にも共通する。受賞作の「西広島橋上駅」はまさに都市と郊外の境界領域である。鉄道、バス、タクシーから歩行者まで、様々な流れがぶつかり、出来事が起き、都市文化が醸成される。こうした出来事つまり都市活動が展開するこの駅空間では、木材を多用した内部空間が天窓のような開口部を通して周辺地域の町並みから際立ち、そこで起きる様々な出来事を見せる舞台のように機能している。このように「西広島橋上駅」の環境要素は、人、交通、土地、歴史など多様な流れと交わりをレイヤーとして、壁面や屋根の開口部を通して際立つ。それはあたかも子どもが大好きな玄関先の出来事を劇場のように見せ、観せ、魅せる境界領域として至って優れたハイブリッド環境であると審判した。 |
■受賞作品一覧(敬称略)
賞名 |
作品名 |
設計事務所様 |
建設会社様 |
販売店様 |
加工店様 |
|
グランプリ |
NEMU RESORT「里山ラウンジ」 |
三井住友建設株式会社 中部支店 |
三井住友建設株式会社 |
― |
有限会社アル建工業 |
|
小規模 |
金賞 |
MDG美園ビル |
アトリエティーズ設計 |
株式会社S・D建設札幌オフィス |
メタルシステム株式会社 |
旭川NKアルミ建材株式会社 |
銀賞 |
イオンタウン旭 おひさまテラス |
株式会社 ラックランド 設計本部 企画設計部 設計3課 |
株式会社 ラックランド 工事本部 第1工事部 制作1課 |
― |
サンアルミ建材株式会社 |
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銀賞 |
星乃珈琲店 美しが丘店 |
一級建築士事務所 西川拓平田悠 |
東急建設株式会社 都市開発支店 田園都市営業所 |
株式会社LIXILトータル販売 東京営業所 |
FKマテリアル株式会社 東京支店 |
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銅賞 |
知多信用金庫 東ヶ丘支店 |
株式会社伊藤建築設計事務所 |
株式会社マルタケ |
太田商事株式会社 |
トヨハシフロント株式会社 |
|
銅賞 |
政海旅館 |
(株)平島弘之 プラスTEAM28 |
― |
株式会社ファイン |
株式会社リンクス |
|
大規模 |
金賞 |
JR西広島駅 |
ジェイアール西日本コンサルタンツ株式会社 |
広成建設株式会社 |
東西工業株式会社 |
岡山ビルサッシ工業株式会社 |
銀賞 |
徳島電機産業 本社オフィス |
株式会社廣瀬諭志建築設計事務所 |
深川建設株式会社 |
株式会社ファイン |
株式会社リンクス |
|
銀賞 |
シェルターインクルーシブプレイス コル 山形市南部児童遊戯施設 |
一級建築士事務所 大西麻貴+百田有希 / o+h |
高木・シェルター特定建設工事共同企業体 |
株式会社大久保硝子店 |
株式会社北日本ハウジング |
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銅賞 |
ららぽーと福岡 |
株式会社竹中工務店 |
― |
岡山ビルサッシ工業株式会社 |
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銅賞 |
名古屋造形大学 |
山本理顕設計工場 |
株式会社大林組 名古屋支店 |
― |
トヨハシフロント株式会社 |
|
特別賞 |
株式会社 アクアイグニス淡路島 |
OHArchitecture |
三和建設株式会社 |
― |
株式会社ファイン 大阪営業所 |
|
道の駅ふくしま |
有限会社小坂建築設計工房 |
菅野・松崎・梅津特定建設工事共同企業体 |
株式会社誉田 |
福島アルミ工業株式会社 |
||
Campo Realmadrid Foundation Football School Japan by GFM |
株式会社K-Huit |
博興建設株式会社 |
コビキ工業株式会社 |
■開催概要
1.応募資格
LIXILのフロントサッシ(店舗用建材)をお取り扱いの設計事務所さま、建設会社さま、販売店さま、加工店さま、代理店さま。
2.応募対象物件
2021年4月1日から2022年3月31日までに、当社のフロントサッシを使用した施工物件で、建物全体が完成し、お施主さまへの引き渡しが完了しているもの。
3.募集対象部門
部門 |
対象物件例 |
小規模施設 |
クリーニング店、コーヒーショップ、小型飲食店、生花店 等 |
大規模施設 |
デパート、スーパー、パチンコ店、カーディーラー、レストラン、 |
4.審査委員
審査委員長:柘植 喜治(つげ きはる)氏:空間プロデューサー、千葉大学名誉教授
審査委員:高柳 英明(たかやなぎ ひであき)氏:東京都市大学教授
5.審査方法
加工・施工技術、デザイン性、建物全体との調和を中心に総合的に審査します。
6.賞
①グランプリ:「小規模施設部門」「大規模施設部門」より1点
②「小規模施設部門」「大規模施設部門」金賞、銀賞、銅賞:各部門より数点
③「特別賞」応募作品の中から数点
About LIXIL
LIXILは、世界中の誰もが願う豊かで快適な住まいを実現するために、日々の暮らしの課題を解決する先進的なトイレ、お風呂、キッチンなどの水まわり製品と窓、ドア、インテリア、エクステリアなどの建材製品を開発、提供しています。ものづくりの伝統を礎に、INAX、GROHE、American Standard、TOSTEMをはじめとする数々の製品ブランドを通して、世界をリードする技術やイノベーションで、人びとのより良い暮らしに貢献しています。現在約55,000人の従業員を擁し、世界150カ国以上で事業を展開するLIXILは、生活者の視点に立った製品を提供することで、毎日世界で10億人以上の人びとの暮らしを支えています。
株式会社LIXIL(証券コード: 5938)は、2022年3月期に1兆4,286億円の連結売上高を計上しています。
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