【岡山大学】皮膚からの水分蒸発の仕組みを明らかにし、蒸発量の推定モデルを確立!~皮膚疾患の予兆を捉え皮膚病を未然に防ぐ可能性へ~

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2023(令和5)年 2月 5日
国立大学法人岡山大学
https://www.okayama-u.ac.jp/
 

<発表のポイント>

  • 皮膚機能のなかでも重要とされる「皮膚バリア機能」を評価する値「皮膚からの水分蒸発量」は、皮膚表面に当てた経表皮水分蒸散量計で評価しますが、皮膚内の何が影響しているかの仕組みは、これまでの研究で明らかにされていませんでした。
  • 本研究では「皮膚表面に当てた経表皮水分蒸散量計で測定される水分蒸発量は、皮膚の中のどのような水分の動きによるものか」の仕組みの仮説を立て、皮膚からの水分蒸発量を推定できる新たな計算モデルを確立しました。これにより、皮膚からの水分蒸発量が「角層の厚さの変化に影響したもの」か、もしくは「角層の水分量の変化に影響したもの」なのかを推定できる可能性があります。
  • 研究が進むことで、「皮膚バリア機能」を定量的に評価できる可能性が高くなり、皮膚科学、看護学、化粧品開発などの領域で非常に有用であると考えます。また、皮膚疾患になる前の予兆を捉え皮膚病を未然に防げることが期待されます。
  • この研究成果は日本生体医工学会(JSMBE)の英文論文誌「Advanced Biomedical Engineering(ABE)」の2023年12巻に掲載予定です。

◆概 要
 国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:槇野博史)学術研究院保健学域放射線技術科学分野の中村隆夫教授、楠原俊昌助教、アルケア株式会社(本社:東京都墨田区、代表取締役社長:伊藤克己、以下「アルケア」)の価値創造部に在籍する上原治(専門:生体計測技術)の共同研究グループは、皮膚機能のなかでも重要とされる「皮膚バリア機能」に注目し、皮膚バリア機能の定量的な評価の実現を目指して研究を進めております。

 今回、角層の厚さと角層の表面の水分量を計測した結果から、皮膚からの水分蒸発量を推定できる新たな計算モデルを確立しました。皮膚からの水分蒸発量は、皮膚バリア機能の評価をする値として長く用いられてきましたが、水分蒸発量を決定する仕組みは現状解明されていません。

 今回開発した計算モデルを利用すれば、「角層の厚さの変化」「角層の水分量の変化」のどちらが影響した数値かを示せる可能性があります。
 

経表皮水分蒸散量計は、皮膚表面から蒸発する水分量を測定する経表皮水分蒸散量計は、皮膚表面から蒸発する水分量を測定する

 

 

皮膚の中から角層の表面へ蒸発する水分の量は角層の厚さに関係する(角層が厚いと蒸発は少なく、薄いと蒸発は多くなる)皮膚の中から角層の表面へ蒸発する水分の量は角層の厚さに関係する(角層が厚いと蒸発は少なく、薄いと蒸発は多くなる)

 

◆中村隆夫教授からひとこと
 皮膚バリア機能評価に皮膚からの水分蒸発量が用いられており、この蒸発量を決定する要素(角層の厚さ、角層の水分量)と仕組みについて検証し、そのモデルを確立しました。
 今回の研究結果が美容、疾患、加齢などあらゆる皮膚科学領域においてお役に立てればと思います。
 

中村隆夫 教授中村隆夫 教授

◆論文情報
 論 文 名:Transepidermal water loss estimation model for evaluating skin barrier function
 掲 載 紙:Advanced Biomedical Engineering, Vol. 12 (2023) p.1-8
 著  者:Osamu Uehara*, Toshimasa Kusuhara**, Takao Nakamura**
      *Medical Engineering Laboratory, ALCARE CO., Ltd., Tokyo, Japan
      **Department of Radiological Technology, Graduate School of Health Sciences, Okayama University, Okayama, Japan
 D O I:https://doi.org/10.14326/abe.12.1
 U R L:https://www.jstage.jst.go.jp/article/abe/12/0/12_12_1/_article

◆研究資金
 本研究は、アルケア株式会社の支援を受けて実施しました。

◆詳しいプレスリリースについて
 皮膚からの水分蒸発の仕組みを明らかにし、蒸発量の推定モデルを確立!~皮膚疾患の予兆を捉え皮膚病を未然に防ぐ可能性へ~
 https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r4/press20230203-1.pdf

◆参 考
・岡山大学医学部保健学科・大学院保健学研究科
 https://www.fhs.okayama-u.ac.jp/
・岡山大学大学院保健学研究科 放射線技術科学分野 医用生体工学研究室
 https://www.cc.okayama-u.ac.jp/~nakamura/index.html
・アルケア株式会社
 https://www.alcare.co.jp/

◆参考情報
・【岡山大学】皮膚を瞬時に数値化できる計算モデルを確立! ~皮膚疾患の予兆を捉え皮膚病を未然に防ぐ可能性へ~
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000799.000072793.html
 

岡山大学医学部保健学科・大学院保健学研究科が所在する岡山大学鹿田キャンパス(岡山市北区)岡山大学医学部保健学科・大学院保健学研究科が所在する岡山大学鹿田キャンパス(岡山市北区)

◆本件お問い合わせ先
 岡山大学 学術研究院 保健学域 放射線技術科学分野 教授 中村隆夫
 〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1 岡山大学鹿田キャンパス
 TEL:086-235-6874
 FAX:086-222-3717
 https://www.cc.okayama-u.ac.jp/~nakamura/index.html

 アルケア株式会社 総務広報部 広報課(松永、高居)
 E-mail:pr◎alcare.co.jp
     ※ ◎を@に置き換えて下さい
 https://www.alcare.co.jp/

<岡山大学病院との連携等に関する件(製薬・医療機器企業関係者の方)>
 岡山大学病院 新医療研究開発センター
 〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
 下記URLより該当する案件についてお問い合わせください
 http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/ph_company/

<岡山大学病院との連携等に関する件(医療関係者・研究者の方)>
 岡山大学病院 研究推進課 産学官連携推進担当
 〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
 TEL:086-235-7983
 E-mail:ouh-csnw◎adm.okayama-u.ac.jp
 http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/medical/

<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
 岡山大学研究推進機構 産学官連携本部
 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
 TEL:086-251-8463
 E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
 https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/

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 「岡大TV」(YouTube):https://www.youtube.com/channel/UCi4hPHf_jZ1FXqJfsacUqaw
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