◆本研究の背景
少子高齢化が進行する中、介護業界における労働力不足は深刻な社会課題です。2040年度に必要な介護従事者280万人*1に対し、約69万人が不足すると試算されています。介護領域の離職率は2021年で14.1%*2と過去数年で改善傾向にある一方、従事者の63.0%*2が現場で人材の「不足感」を抱いています。また、全産業の平均勤続年数が12.3年*3である一方、介護を含めた医療福祉全体の平均勤続年数は9.0年*3と、全産業と比較しても定着率の改善が期待されている領域です。
*1出所:厚生労働省「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」
*2出所:公益財団法人 介護労働安定センター「令和3年度介護労働実態調査結果」
*3出所:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」
◆共同研究の概要
介護従事者の現場での就労体験とその影響因子候補を抽出、分析、検証し、介護業界全体の労働体験を定量化します。加えて、どのような時に生産性が向上するのか、何にやりがいを感じるのか、といった従事者の傾向を分類し、定着率改善に向けたタイプ別のソリューション開発を目指します。九工大大学院生命体工学研究科井上創造教授が有するセンサーを活用した行動認識技術や介護領域での業務分析力と、トライトグループが蓄積してきた医療介護福祉従事者のニーズ等の豊富な情報量と知見を組み合わせることで、本研究を迅速に進めていきます。
◆介護業界で働く方の幸せのために
介護業界で働く従事者の方々が何に困っていて、何をやりがいに感じているのかを分析することで、従事者の皆さんの働き甲斐や定着率向上の大きなヒントを発掘したいと願っています。今後も、アカデミアをはじめとする外部の研究機関との協創を通じて、医療福祉業界で働く方々の幸せに向けて貢献してまいります。
◆離職リスクの低減や人材不足の解消への貢献
人材の「定着」には、業務内容、労働環境、個性、人間関係といった様々な因子が関係すると考えられます。それらを明らかにすることで、介護現場の労働環境の解決策や離職リスクの低減に向けた改善手法を導き出せると期待しています。
◆井上創造氏略歴
2002年3月 九州大学システム情報科学研究科博士後期課程修了・博士(工学)
2002年3月 九州大学大学院システム情報科学研究院助手、のち附属図書館助教授
2009年5月 九州工業大学大学院工学研究院准教授
2017年4月 理化学研究所革新知能統合研究センター客員研究員
2020年5月 九州工業大学大学院生命体工学研究科人間知能システム工学専攻教授(現職)
2020年6月 情報処理学会 理事
研究者詳細 – 井上 創造 (kyutech.ac.jp)
https://hyokadb02.jimu.kyutech.ac.jp/html/140_ja.html
本研究での進捗や結果については、随時開示いたします。株式会社トライトでは、医療福祉領域における人材不足といった社会課題解決に向けて今後も人材紹介・派遣業を軸に、一人でも多くの人々がご自身の仕事に誇りが持てること、そしてその先の活力ある社会の実現に貢献してまいります。
以上
【株式会社トライトについて】
株式会社トライトは、株式会社トライトキャリア、株式会社トライトエンジニアリング等の人材紹介・派遣サービス事業各社を統括する企業です。「ひとりの明日を変えることから、社会の未来を変えていく。」というビジョンのもと、主軸サービスである人材紹介・派遣業に加え人材育成・キャリア支援を強化し、医療・介護・保育業界を取り巻く慢性的な人材不足とそれに起因する社会課題の解決へ寄与することを目指しています。
https://tryt-group.co.jp/
【国立大学法人九州工業大学について】
国立大学法人九州工業大学は、1909年の私立明治専門学校の設立に始まり、「技術に堪能なる士君子」(単に技術に精通するだけでなく道義心のある人格者)の養成を基本理念に数多くの技術者を輩出してきました。福岡県内の3キャンパス(2学部、3大学院)で約5600名の学生が学んでおり、近年では宇宙開発(教育機関における人工衛星の運用数が4年連続世界一位)や、ロボティクス(自律型ロボットの世界大会で何度も優勝)、また、介護×IoT(厚労省事業のリビングラボに選定)など幅広い分野で成果を残しています。
https://www.kyutech.ac.jp/