※「投票マッチング」とは……各選挙で争点となっている設問の賛否を5段階で回答していくと、ユーザーと政党や候補者との「マッチング度」が測定できるウェブ上のシステムです。回答はスマートフォンやPCなどで利用でき、これまで累計520万人にご利用いただきました。収集データは個人情報とは紐づけられない仕組みとなっており、誰でもどこでも利用できます。
オランダ発祥のシステムで、日本では2000年代から国政選挙を中心に広がっており、大手新聞社なども実施しています。イチニは2021年衆院選や2022年参院選、2022年の沖縄県知事選や宮崎県知事選、品川区長選・再選挙、小金井市長選などで行いました。
【共同研究名】
「投票マッチング」に基づく有権者の投票行動分析に関する共同研究
【共同研究の背景】
日本では投票率が年々低下傾向にあり、直近の国政選挙だった2022年参議院議員選挙では約52.1%でした。特に30代以下の若年層の投票率は他世代よりも低水準です。一方で、日本で2013年4月に「ネット選挙」が解禁されて以来、投票先を選ぶための情報源としてインターネットを利用する割合は増加傾向にあります。明るい選挙推進協会の最新調査によると、18~29歳では約42%がネットを活用しており、テレビ、新聞に次ぐ主要な媒体になりつつあります。
出典:総務省 国政選挙における年代別投票率:https://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/news/sonota/nendaibetu/
出典:公益財団法人明るい選挙推進協会 第49回衆議院議員総選挙全国意識調査(2022年3月発行)
【投票マッチングの特徴】
- 回答者の7~8割が「支持政党なし」、いわゆる”無党派層”が大半です
- 18~39歳の利用割合が6割を占めています
【研究の特徴】
- 国政・地方選挙で立候補者が訴えた政策と、若い無党派層を中心とした有権者が関心を寄せている政策の関係性を分析します。支持政党がない、いわゆる「無党派層」の意思決定過程の分析は国内でも先進的な事例となります
- 争点が国政選挙よりも見えにくい地方選挙で、公約が有権者の投票行動にどう影響したかを分析します
■東京大学 鳥海研究室■
主な研究テーマは、計算社会科学に基づく社会システムの設計と人工知能技術の社会応用。社会や集団など人が大勢集まることによって構成されるシステムを対象として、マイニング(ビッグデータから意味のある情報を抽出する技術)、モデリング(社会の状態を仮想空間に再現し、シミュレーションを行うこと)、デザインを研究の柱としています。最近では、炎上やデマ分析と対策、ニュース閲覧行動の分析など情報空間でのリスク低減手法の開発などを題材に、社会とメディアの関係性を探る研究などを進行しています。
研究室公式サイト:http://syrinx.q.t.u-tokyo.ac.jp/
鳥海不二夫教授プロフィール:https://www.sys.t.u-tokyo.ac.jp/memberpage/%E9%B3%A5%E6%B5%B7%E4%B8%8D%E4%BA%8C%E5%A4%AB/
■イチニ株式会社■
年間2200万ユーザー(2021年実績)が利用する選挙情報ポータルサイト「選挙ドットコム」を運営し、国内の選挙情報や立候補者の情報をデータベース化し管理しています。選挙や政治にまつわるプラットフォームを構築し、情報の透明性を保つことで、有権者のみなさまがより政治に参加しやすい環境づくりを支援しています。その他、地方議員向けの勉強会なども実施し、官民学の連携による多様なネットワークを創出し、オープンな場での議論により、イノベーションを促進します。
公式ウェブサイト:https://ichi-ni.jp/
選挙ドットコム公式サイト:https://go2senkyo.com/