新評価手法により胃の中の可視化に成功

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ロート製薬株式会社(本社:大阪市、社長:杉本雅史)は、「胃消化シミュレーター(人間の胃を模して胃の機能をシミュレーションするための機械)」を用いて胃の中を見える化したモデル系において、加齢により胃の消化能力が落ちること、また様々な食材でも高齢者の消化能力が落ちる可能性、そして、消化酵素配合の胃腸薬により消化能力が高まることを確認しました。
今回の「胃消化シミュレーター」は、実際の胃の動きを可視化し、消化状態を定量的に確認できる新評価モデルとして、今後も弊社での胃腸薬の商品開発に活かし、多くの人々の食と健康のウェルビーイングに貢献していきたいと考えています。

■研究の背景
当社の創業者は「万病の元は胃にある」と考え、1899年に胃腸薬「胃活」の発売を開始しました。当社はお客様と向き合いながら、時代のニーズに沿った胃腸薬の提案をしてきました。「パンシロン」ブランドは、今もなお多くのお客様に愛され、発売を続けています。
一般的に、加齢によって胃腸の働きは低下し、消化に時間がかかり、胃もたれが起こるなど、年齢を重ねるにつれ、胃腸の悩みを感じる方が増えていきます。一方で、実際のこうした加齢に伴う胃の悩みについては、具体的にどの程度、胃腸の働きが低下しているか、自分では自覚しづらいことも知られています。当社としては、こうした胃のお悩みに対して貢献するため、胃の不調の際にケアの1つとして、胃腸薬がどのような効果をもたらすかについて、よりわかりやすく啓発していく余地があるのではと考えています。
そこで、胃を模した機械を用いて、実際の胃の消化レベルを様々な条件で可視化し、加齢による胃の消化能力、食材による消化の度合い、胃腸薬の効果を確認し、わかりやすく伝えていきたいと考えました。

■研究成果サマリー
①  成人に比べ、高齢者で胃の消化能力が落ちることが示唆された。
②  高齢者では、様々な食材でも消化能力が落ちる可能性が示唆された。
③  胃腸薬は、高齢者の胃の消化能力を上げることが示唆された。

■結果
①成人に比べ、高齢者で胃の消化能力が落ちることが示唆された。

成人と高齢者の胃の消化能力を比較するため、胃消化シミュレーターを用い、高齢者モデル、および一般成人モデルの系を確立しました。その食材として、玄米を用いて可視化検証を行っています。その結果、消化終了時の胃内残渣量については、高齢者モデルは一般成人モデルに比べて約1.5倍残存していることがわかりました(図1)。これらの条件においては、高齢者は消化能力としては、一般成人に比べ、約2/3に落ちていることが示唆されました。

②高齢者では、様々な食材でも消化能力が落ちる可能性が示唆された。
成人と高齢者で食材により消化のレベルに違いがあるかを評価するため、炭水化物の多い「玄米」、タンパク質の多い「鶏ミンチ」、そして一般的な食事を模した「鶏の唐揚げ定食」の3種類で、一般成人モデルと高齢者モデルで、胃消化シミュレーターを用いて消化能力を検証しました。その結果、玄米、鶏ミンチ、鶏の唐揚げ定食で一般成人モデルと比べて高齢者モデルでは、消化終了時の胃から排出される量が少ないことが分かりました(図2)。この結果、高齢者は成人よりこれら食材の消化能力が落ちていることが示唆されました。また興味深いことに、健康的と考えられ、食物繊維の多い玄米でも、加齢により消化能力が落ちるということが示唆されました。

 

③胃腸薬は、高齢者の胃の消化能力を上げることが示唆された。
消化酵素を含む胃腸薬を用いて、高齢者モデルで玄米の消化能力を確認したところ、高齢者モデルの胃内残渣量は一般成人モデルよりも減少しました(図3)。これらの条件においては、消化酵素を含む胃腸薬が、加齢とともに衰えた高齢者の胃の消化能力をサポートするということが示唆されました。

 

■今後の展望

今回、新たな評価系として、胃の状態を模した胃消化シミュレーターを用いることで、実際に胃の中の動きが可視化され、定量的なデータが得られたことにより、これまで難しかった胃の消化について、様々な検証を実施することに成功しました。これらの結果をもって、当社としては胃腸にお悩みのお客様に啓発していくとともに、さらにお客様の胃に寄り添った新製品の開発に活かし、よりお客さま一人ひとりに適した製品をお届けしたいと考えています。

 

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