【2022年11月19日 パナマシティ/ニューヨーク発】
年初以来、コロンビアとパナマを隔てる危険なダリエン地峡(Darien Gap)を徒歩で横断する移民の子どもたちの数が、過去最多を記録していると、ユニセフ(国連児童基金)は本日警鐘を鳴らしました。
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今年の1月から10月までで、3万2,488人もの子どもが米国に向けてダリエン地峡を渡りました。これは、2021年の年間の人数をすでに10%上回っています。さらに、2022年には過去最多となる推定900人の、おとなの同伴者のいない子どもが同地峡を渡ったとされており、これは前年の4倍の数となります。
一人ひとりが、大きな苦難を伴って渡ってきます。ジャングルの中を終日歩く間、移民の子どもたちとその家族は、性的虐待、人身売買、搾取などの様々な形の暴力にさらされ、安全な水や食料の不足、虫刺され、野生動物の襲撃、川の氾濫などにも見舞われます。子どもたちの約50%を占める5歳未満の子どもは、下痢症や脱水症、またその他の感染症に特にかかりやすいのです。さらに、この危険な旅に伴うストレスや危険から、多くの子どもたちが心に傷を負う危険性があります。
ラハス・ブランカスにある移民受け入れセンターを訪れたユニセフ事務局次長のハンナン・スリーマンは、次のように述べました。「暴力と貧困、そしてより良い生活への渇望に駆り立てられて、人々は子どもを連れて住処を離れ、ダリエン地峡のような過酷な地で脅威に直面するのです。移動する彼らの固有のニーズに応じた、基礎的サービスが必要となっています。しかしパナマでは、他の多くの国々と同様に、移民の子どもたちの数が急増し、そのサービスへの需要が提供能力を大幅に超えてしまっています。ユニセフはすべての政府に対し、出身国にかかわらず、すべての移民の子どもたちを保護するための行動をとるよう求めます。子どもたちは、基本的な安全や福祉が危険にさらされている状況に、決して連れ戻されてはなりません」。
欧州連合(EU)および米国からの支援と、パナマ政府および他のパートナー機関との緊密な連携により、ユニセフはその活動場所を受け入れセンター1カ所から、コロンビアとコスタリカの国境地帯およびパナマシティ内の5カ所へと拡大しました。これらのセンターは、移動中の何千人もの子どもたちや妊婦、そして極度の貧困にあえぐ受け入れコミュニティに、安全な飲料水、衛生用品、心理社会的サービス、保健サービスを提供しています。
2022年1月から10月にかけて、約21万1,355人の移民が目的地に向かってダリエン地峡を横断しています。移動する人々の15%を占める子どもたちは、何カ月も、あるいは何年も教育や保健・栄養サービスを受けることができず、そして身分を証明する書類さえも持てていないのです。
「ダリエン地峡を渡る子どもの増加は、現地の地域社会や組織、人道支援機関にさらなる負担をかけています。ユニセフはドナーやパートナーに対し、この地域の移民の子どもたちの厳しい人道危機的状況に対応するため、柔軟に利用できる追加資金の提供を呼びかけています」と、スリーマン事務局次長は述べています。
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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。 https://www.unicef.or.jp/
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 https://www.unicef.or.jp/