熊本市、一般社団法人KIMOIRIDON、熊本大学田中智之研究室、独立行政法人都市再生機構九州支社は、歴史的建造物が点在する景観を活かしつつ、新しい形でまちを持続的に発展させていくため、熊本城の眼下に広がる城下町(古町)に残る「一町一寺」の路地や寺社・町屋跡にある駐車場等(以下、「ロジ」という。)を活用する実証実験を行います。
実験は、熊本城を築いた加藤清正のお膝元である城下町(古町)地区のうち、一町一寺の寺の部分に当たる「不動院」の跡地周辺(延長約150m)で実施し、複数の民間駐車場の地権者様・管理者様・契約者様のご協力により、駐車車両を移動・収容することで、普段は通り抜けできない街区内の私有地を一時的に通り抜け・滞留可能な空間として地域に開放します。
今回は、本年5月に実施した「ロジの通り抜けや滞在等を体験する」実証実験に続く第二弾の実験であり、前回の課題を踏まえ、「ロジを楽しむ・使う」ことを目的として
(1) 子どもの遊び場の創出や、滞在性の向上、歴史的コンテンツの顕彰に資する「アクティビティ」
(2) テーブルや椅子を多数配置し、ロジへの入りやすさ、ロジの使い方、ロジでの過ごし方等を向上する
「空間演出」
などを実験的に提案・実践します。
また、実験を通して、地権者や来訪者等に働きかけることで、今後の定期的・継続的な事業運営や駐車場マネジメント等の可能性についても検証します。
◆実施概要
・日時:令和4年(2022年)11月12日(土) 12:00~17:00
※ 雨天の場合は、11月20日(日)に延期。再度雨天の場合は、11月27日(日)に再延期。
※ 延期のお知らせは、前日の正午ごろ、市のホームページ、五福まちづくり交流センター(熊本市中央区細工
町2丁目25)玄関へ掲示します。
詳しくは⇓
https://www.city.kumamoto.jp/hpkiji/pub/Detail.aspx?c_id=5&id=45178
・場所:不動院跡(熊本市中央区中唐人町、魚屋町2丁目)
・コンテンツ(アクティビティや空間演出)
当地の課題を踏まえ、以下のアクティビティや空間演出を試行します。
【アクティビティ①】子どもの遊び場の創出
民間企業の駐車場を有効利用し、地域課題である子ども遊び場の創出を試みます。コロナ禍で在宅時間が長かった子ども達の屋外活動を支援します。
- ストラックアウト
当地に存する五福小学校と隣接する一新小学校の保護者とが連携して実施し、まちなかでボールを投げる
運動を通して子ども同士の交流も図ります。地域の玩具店等も協力いただいています。
- 古町ミニ文化祭<音楽+モノづくり>
熊本大学教育学部の有志により実施し、音楽を通して楽しい雰囲気づくりを行うとともに、ビーズや折り紙、
メッセージボードを使用して、モノづくりの楽しさを体験できる催しを試みます。
(モノづくりのイメージ)
【アクティビティ②】歴史的コンテンツの顕彰
- 蚤の市
町屋等の利活用で課題となっている家財処分に対して、それらを流通し解決させる手法として、町屋を地域
の力づくりに活かす活動に取り組む新町古町町屋研究会が、これまで不定期で開催しています。今回は民間の
月極駐車場を会場として試行します。
( 令和3年「町屋蚤の市」(左) / 町屋から出る家財のイメージ(右) )
- 動画の発信
過日制作した古町のCMや五福小学校の6年生が地域を題材に制作した動画を放映します。
【アクティビティ③】滞在性の向上
- カフェコーナー
既存のカフェ施設の協力を得て、散歩や自転車で通りかかった人、地域店舗に来られたお客様のほか、子ど
もの遊びを見守りお茶をしながら交流するママ達にくつろいでいただく空間を創出します。
- 井戸端コーナー
我がまちについて語り合ったり、町屋の維持や土地利用の方法等についてアイデアを出し合ったり、あるい
は実験の効果を分析するためのアンケートやヒアリング等のデータ収集に取り組みます。
【空間演出】
150mの延長を活かし、テーブルや椅子を多数配置することで、ロジを浮かび上がらせ、来街者にロジの存在や空間を体感してもらいます。当地の歴史や魅力を紹介するサインや動画放映によりロジへの流入を誘発します。空間の広さや周辺の施設配置や日陰の位置等の特性を踏まえ、人工芝、植栽、日陰テント等の配置により佇みたくなる空間を提供します。
◆実証実験の背景
熊本市では、令和2年に「くまもと歴史まちづくり計画(熊本市)」が認定されたことを機に、熊本城の城下町として発展してきた新町・古町地区を対象に、地域住民、行政、民間企業、大学等の協働体制によって歴史的資源を活用するプロジェクトを展開しています。
なかでも、本取組は、熊本大学田中智之教授が研究の一環で作成した、桜町-熊本駅間の新たな歩行者中心のネットワークの提案“ロジ・リンク・シティ”という手法を参考に、古町らしさ(まちの個性)を維持・再生し、より豊かな暮らしを目指す第一歩として、当地のまちづくりに取り組む「一般社団法人KIMOIRIDON」が発起人となり、その趣旨に賛同した者たちで実施しています。
令和3年3月21日(日)〜4月11日(日)にかけて「感性が刺激され、つい歩いてみたくなるような、小さなデザインが溢れるまち」をコンセプトに「歴史的建造物等を利活用する実証実験」を実施しました。今後も一般社団法人KIMOIRIDONが関連する古町での実証実験を「五感散歩」と呼び、繰り返し実施していく予定です。
◆今後の取組
本実験はいわゆる集客を優先したイベントではなく、将来的な地域コミュニティのあり方を見据えたまちづくりの実験的な取組です。
今回の実験以降も、引き続き公民学協働により実験の回数を重ねながら、また、唐人町通り道路美装化等のその他施策とも連携を図りながら、地域住民をはじめ、多くの方に受け入れられ支持していただける取組を目指してまいります。
◆実施体制
今回の実証実験は、主催者の4者(熊本市、一般社団法人KIMOIRIDON、熊本大学田中智之研究室、独立行政法人都市再生機構九州支社)に加え、地域の地権者や企業、各種団体等、前回よりも更に多くの関係者が協力し合って、地域課題の解決やビジョンの顕在化・共有化に取り組んでいます。今後も、古町の将来的なまちづくりの推進に向けて、新たな推進体制の構築や仕組みづくりにチャレンジしていきます。
(主催)
熊本市、一般社団法人KIMOIRIDON、熊本大学田中智之研究室、独立行政法人都市再生機構九州支社
(協力)※順不同
大生ファミリー株式会社、株式会社コウナン・レクセル、株式会社はかりや、五福小PTA
一新校区保護者有志会、新町古町町屋研究会、株式会社キッシュコーポレーション、熊本大学教育学部有志
熊本大学学生有志、株式会社RAMET、藤丸邸、藤丸ビル、株式会社国府不動産
サンコー・コミュニケーションズ株式会社、熊本市立五福小学校、合名会社早川倉庫、有限会社マルエス商事
有限会社むろや、橋本醤油株式会社、株式会社黒瀬商店、宮本建設株式会社、五福消防団、熊本市西消防署
熊本市立図書館、空き地・空き家研究会