<最新号目次>
- 台湾専用機械設備製造業の産業概況と2022年第4四半期の展望
- 2025年末までに再エネ蓄電施設1.5GW目標 台湾主要メーカーの最新動向
- 計測機器大手メーカー 致茂電子(CHROMA)
- 経済部が台湾EV産業育成 新たな1兆元産業へ
<経済部が台湾EV産業育成 新たな1兆元産業へ>
電気自動車(EV)産業はスマートフォン産業に続く新たな主要産業になるとの見方が近年強まっている。台湾の経済部は▽域内生産支援、▽重要部品の開発支援、▽域内EV市場の拡大を柱とする産業政策を推進しており、台湾EV産業の生産額は早ければ2025年に6000億台湾元まで拡大する見通しだ。
25年以降に生産額1兆元へ
台湾政府は21年4月、2050年までの温室効果ガス実質排出ゼロ(ネットゼロ)を目指すと表明した。
ネットゼロ実現に向けた取り組みの一環として、経済部は40年までに、新規販売する自動車を全面電動化する目標を掲げており、目標達成に向けて▽EVの域内生産支援、▽重要部品の開発支援、▽域内EV市場の拡大、▽企業の国際サプライチェーン(供給網)入り支援などを柱とする産業政策を推進している。
経済部は、台湾EV産業の生産額は、▽完成車、▽部品、▽車載用電子製品など関連製品全てを含めれば、25年以降に1兆元(約4.6兆円)まで拡大し、台湾の新たな1兆元産業になると予想している。
海外展開で成果、台湾生産EVバスのタイ輸出など
経済部が主導する産官連携機関の台湾車輌移動研発聯盟(mTARC)が22年9月にタイ・バンコクで開催したフォーラム「2022台湾車輌国際論壇(TAIFE)」では、タイの自動車関連企業100社以上の参加があった。mTARCは▽台湾生産EVバスの量産、タイ向け輸出、▽タイにおける東南アジア最大のEV用リチウムイオン電池工場稼働という成果も挙げている。
台湾メーカーの自動運転・EV開発力アピール
台湾車輌国際論壇は年に一度開催されるアジア自動車産業にとっての重要なフォーラムだ。今年は台湾メーカーなどによる自動運転車、EVの開発経験の共有など、台湾企業とタイ企業などとの交流が行われた。
タイ向けEVバス、工研院と創奕能源科技が共同開発
タイ向けには今年、工業技術研究院(工研院、ITRI)と創奕能源科技(トロン・エナジー・テクノロジー)が共同開発したEVバスの輸出が開始された。工研院の車両制御装置、車線維持支援システム(LKAS)や台湾企業が開発した動力システム、ブレーキ、シャシーなどが搭載されている。創奕能源科技の黄振声・董事長は、工研院とはタイでの自動運転プロジェクトでも連携すると表明した。台湾製の重要部品を採用し、タイの各地域に合わせたスマート交通ソリューションを提供する方針だ。
台湾・タイ連携のEV用リチウム電池工場が稼働
工研院とリチウムイオンポリマー電池の有量科技(アミタ・テクノロジーズ)がタイの再生可能エネルギー大手、エナジー・アブソルート(EA)と共同開発した、EV向けリチウムイオン電池の工場がタイで稼働した。東南アジア最大のリチウムイオン電池工場だ。現在の年産能力は1ギガワット時(GWh)で、2年以内に4GWhまで拡大する。22年末までにEAの社長が台湾に来台し、台湾のEVサプライヤー各社と提携に向けた協議を行うことも決まっている。
鴻海のMIH、ICTと自動車部品の統合推進
情報通信技術(ICT)と自動車部品の高度な統合が求められるEVの開発を台湾で最も積極的に進めている企業は鴻海精密工業だ。鴻海は▽従来型自動車部品メーカーへの電子関連システムのオープン化、▽企業の参入障壁引き下げ、▽リソース共有などを重点目標として、自動車大手、裕隆集団とEVのオープンプラットフォーム、MIH聯盟(MIHコンソーシアム)を推進している。
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