この取り組みは、次世代へ海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。
- 実施概要
・概要:未利用海藻「北海道産天然青のり」を通じた海の未来について考える機会の提供
・日程:2022年10月20日
・開催場所:函館市立昭和小学校、柏野小学校、日吉が丘小学校、北日吉小学校に青のりを提供。うち、昭和小学校では、出前授業を実施。
・参加人数:約1500人の児童
・協力団体:函館市教育委員会
- 未利用資源「北海道産天然青のり」
青のりは、彩りと香りが良い高級食材として、古くから主に九州や四国で採取されてきました。しかし、近年では、海洋環境の変化などにより収穫量が激減しています。一方、北海道の沿岸にも青のりが自生していますが、ほとんど採取されていません。たこ焼きやお好み焼きなどに使われる緑色の海藻の多くは「アオサ」という別の種類の海藻で、価格も青のりの約10分の1程です。このように、資源価値が高いにも関わらず、北海道で青のりが採取・活用されていない背景には、その存在や価値があまり認知されていないこと、漁業者の高齢化や人手不足、また、天然で採取された青のりに混入する砂の処理に手間がかかるなどといった理由が挙げられます。
Blue Commons Japanでは、昨年に引き続き、北海道産天然青のりをとおして海に関する様々な課題について考える機会づくりのため、函館市教育委員会の協力のもと、市内の昭和小、柏野小、日吉が丘小、北日吉小で青のりを使った給食メニュー「青のり香るちくわの磯辺揚げ」を提供。同時に、青のりや海に関する情報をまとめたランチョンマットや、校内放送を通じて、約1500人の児童に海の学びの機会を提供しました。上記4校のうち昭和小では、Blue Commons Japanスタッフによる出前授業も行われ、未利用資源としての北海道産天然青のりについて理解を深めました。
- 青のりを使った給食と出前授業で海の課題を考える機会を提供
出前授業を実施した昭和小学校では、最初に、講師がスライドを使い、北海道産天然青のりについて講話を行いました。青のりは、「アオサ」よりも高値で取引される高級食材であること、そして函館をはじめとする北海道の海岸にも自生しているがほとんど採取・利用されていないことなどを説明。春に撮影された青のりが自生する函館市の海岸の写真が紹介されると、「こんなに近くの海で青のりがとれるのは知らなかった」と驚きの声が。児童たちは配布されたランチョンマットの豆知識も参考にしながら、真剣な表情で初めて知る北海道の青のりの話に聞き入っていました。
講話の後は、お待ちかねの青のり給食。青のりがふんだんに使われたちくわの磯辺揚げを味わいました。児童たちは、青のりを間近で観察したり、香りをかいでゆっくりと味わってみたりと、興味津々。「青のりがカリカリで美味しい」、「ちくわが嫌いだったけれど青のりがおいしくて全部食べられた」と大好評でした。最後に講師は、「海には、青のりの未利用の問題も含め、解決しなくてはいけない多くの課題があります。まずは知ることが大切。皆さんが今日、青のりをとおして海のことを考えてくれたように、これからも海のことを知り、海の未来について考えてみてください」と締めくくりました。
- 子どもたちのの声
出前授業を実施した昭和小の児童からは、以下のような感想が寄せられました。
「こんなにおいしい青のりが北海道で採れることが知られていないことにビックリした」
「今日聞いた青のりの話をもっと多くの人に知ってもらいたいと思った」
「青のりを通じて海のことをもっと知りたいと思った」
「海の香りがして美味しかった。他の料理も食べてみたい」
<団体概要>
団体名称:一般社団法人 Blue Commons Japan(旧はこだて海の教室実行委員会)
URL:https://www.hakodate-umi.com/
活動内容:函館朝市ミニ水族館の運営、海に関連した「子ども向け講座」を実施
日本財団「海と日本プロジェクト」
さまざまなかたちで日本人の暮らしを支え、時に心の安らぎやワクワク、ひらめきを与えてくれる海。そんな海で進行している環境の悪化などの現状を、子どもたちをはじめ全国の人が「自分ごと」としてとらえ、海を未来へ引き継ぐアクションの輪を広げていくため、オールジャパンで推進するプロジェクトです。
https://uminohi.jp/