最近はあらゆるメディアが、毎日のように値上げのニュースを報じています。情報を受けて、消費者の意識や行動には、具体的にどのような変化が表れているのか、調査を行いました。前編では、消費者の意識の変化について考察しています。後日公表予定の後編では、具体的な行動の変化について考察します。
「物価高に関する調査(前編)」の主な結果
■もともとの物価意識が強い層ほど物価高に強い不安を感じ、現在の物価高を強く実感している
物価高と聞いて不安を「とても感じる」割合は全体では47.8%、「やや感じる」を合わせると84.3%と8割以上となりました。これを物価高に対する意識別でみると、■以前から物価を気にしている層は60.7%、■最近になって気になり始めた層は37.7%、■以前も今も気にしていない層は6.4%、と顕著な差が表れました。
現在の物価高を実感している割合でも同様の傾向がみられました。物価高に対する不安や実感は、消費者のもともとの物価意識によって醸成される一面があることがわかりました。
■物価高を実感している人の6割以上に悪影響あり
現在の物価高を実感している人の63.0%が「悪い影響がある」と回答しました。これを世帯年収別でみると、400万円未満の層では70.8%、400~700万円未満の層では64.3%、700~1000万円未満の層では63.2%、1000万円以上の層では53.3%となっており、年収が低い層ほど割合が高くなっています。悪い影響の具体的な内容は主に経済的な影響(欲しいモノが買えない、家計圧迫)と身体への影響(精神的ダメージ、健康を損なう)に分かれました。
■世帯年収が低い層は高い層に比べて、物価高への対策を講じられていない
現在の物価高を実感している人の44.9%が対策を「講じている」と回答しました。これは上記の「悪い影響があった」の割合に比べて低く、特に世帯年収が低い層で差が大きい傾向がみられました。世帯年収が低い層は物価高による悪影響を受けやすい上に、対策を講じるのも難しい状況であることがわかりました。
■今回の調査を通じて
物価高への感覚はもともとの物価意識の強さに影響を受ける一面があり、世帯年収が低い層ほど悪影響や未対策の状況に陥ってしまいます。物価高で誰にどのような影響が生じるのか見極めた上で、適切なマーケティング戦略を構築することが必要です。
調査の詳細
「物価高に関する調査(前編)」 最近の物価高の環境における消費者の意識や行動の変化を調査する。
■調査期間:2022年8月29日(月)~ 8月30日(火)
■調査方法:朝日大学マーケティング研究所のパネル利用によるインターネット調査
■対象者:居住地 首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)
年 代 20代・30代・40代・50代・60代
性 別 男女
■回収サンプル数:400
調査データはこちら: http://marketing.asahi-u.ac.jp/wp-content/uploads/2022/08/202208.pdf
朝日大学マーティング研究所「公開リサーチデータ」
マーケティング研究所では、話題のサービス、消費トレンド、世の中の新しい動きを先取りした事象について、自主的に「トピックス・リサーチ」を実施し、調査データ集積のポータルサイトとして広くデータを公表しています。また、企業様などからの市場調査のご要望にスムースにお応えするために首都圏、東海圏など全国規模のモニターにアクセスできる仕組みを保有しています。
■名称:公開リサーチデータ
■調査レポート: 200本以上
■詳細:http://marketing.asahi-u.ac.jp/data/
朝日大学マーティング研究所について
【会社概要】
本社所在地:岐阜県瑞穂市穂積1851
所長:中畑 千弘 (経営学部教授)
事業内容: 消費行動の分析および研究、経営コンサルティン、マーケティングリサーチ、商品開発支援、
講演会・社会人セミナーの実施等
設立: 2002年4月
HP:http://marketing.asahi-u.ac.jp/