最近では、ロシアの侵攻から日本に逃れてきたウクライナの人々の受け入れが注目を集めました。難民にかかわる問題は、どこか遠い国の問題ではなく、私たちの住むここ日本で起こっている問題です。日本には、ウクライナだけではなく東南アジアやアフリカ、中東など、さまざまな国から難民が逃れてきています。
2021年には2,413人が難民申請をしましたが、同年に難民として認定されたのはわずか74人。日本政府は難民受け入れ、難民の保護に非常に消極的な姿勢を取っています。難民を取り巻く厳しい状況は、難民認定の少なさだけではありません。十分な公的支援もなく、困窮する難民の方々が多くいます。また、入管収容者が収容施設内で適切な治療を受けられずに亡くなったケースも見られます。
「難民アシスタント養成講座」は、日本で今どのようなことが起きているか、さまざまな角度から難民の現状を学ぶ講座です。日本に住む私たちに何ができるか、難民受け入れに前向きな社会をどのように作っていくかを皆さんとともに考えたいと思います。
昨年は、難民問題に関心を持つ約180名の方々にお申込みをいただきました。オンライン講座ですので、日本全国・海外など、どこからでもご参加いただけます。多くの方々のご参加をお待ちしています。
◆プログラム一覧
- イントロダクション(吉山昌/JAR 広報部)
- 難民認定制度の基本(関聡介氏/弁護士)
- 日本の難民保護の実情と課題:法的支援の現場から(駒井知会氏/弁護士)
- 難民の生活上の課題と生活支援の実践 (新島彩子/JAR 支援事業部 マネージャー)
- 難民保護の改善に向けた政策や一般社会へのアプローチ (石川えり/JAR 代表理事)
- 難民の方によるトークセッション (ビルマ出身の難民の方)
- 日本における移民・難民受け入れの歴史と政策 (渡戸一郎氏/研究者)
- 「経済的自立」の課題と就労支援の実践 (可部州彦/JAR 定住支援部マネージャー)
- 移住者コミュニティと難民支援:地域での実践 (近藤花雪氏/社会福祉法人日本国際社会事業団 プロジェクトコーディネーター)
- グループディスカッション
<ノンフィクション作家・高野秀行さん推薦コメント>
~驚くほど完成度の高い講座~
昨年、一支援者としてこの講座を受講したのですが、完成度の高さに驚きました。この手のオンライン講座はときとして眠くなることもあるけれども、この講座にかぎっては二日間、朝から夕方まで、ほとんどかぶりつきで見入ってしまいました。
難民問題という複雑怪奇な巨大山脈を、専門家の方々がありとあらゆる角度から切り分け、本当にわかりやすく、かゆいところに手がとどくように説明してくれます。
もちろん心痛む内容も多いですが、全体的にはなぜか元気が出ます。それは講座が超面白いから。ひいては難民問題が絶望的な壁ではなく、少しずつでも克服できる課題だと思えてくるからです。
1人でも多くの方に、この稀に見るほど完成度の高い講座を体験していただきたいと思います。
本講座には、学生や会社員から、研究者、行政書士、ソーシャルワーカーや医療従事者など、幅広い職業の方々が参加され、参加の動機も様々です。
オンラインでの交流会やディスカッションの機会を通して、同じように難民問題に関心のある方とも知り合い、意見を交わすことができるのも本講座の醍醐味の一つです。
講座の人気の秘密は、難民問題について包括的にじっくり学べ、難民支援の第一線で活動する難民支援協会(JAR)のスタッフ、弁護士、大学教員、難民にかかわる支援に携わる方などの多彩な講師陣から直接話が聞けることにあります。
今年は難民保護の課題を知る講義に加え、日本の難民受け入れにまつわる歴史やコミュニティでの難民支援に焦点を当てた新たな講座を設けました。また、実際にビルマ(ミャンマー)から日本に逃れた難民の方のお話も必見です。この機会にぜひご参加ください。
◆開催概要
日程:11/5(土) ・11/12(土)全2日間
時間:9:30-17:30(予定)
受講料:一般12,000円、学生6,000円
開催方法:オンライン開催
応募締切: 2022年10月10日(月・祝)
主催:認定NPO法人 難民支援協会
◆詳細&お申込み
https://refugees.jp/ashiyou202211
■本件に関するお問い合わせ
認定NPO法人 難民支援協会 広報部 藤代
〒101-0065東京都千代田区西神田2-5-2 TASビル4階
Tel:03-5379-6001|ashiyou@refugee.or.jp
▼認定NPO法人 難民支援協会 https://www.refugee.or.jp/
1999年設立。紛争や迫害により故郷を追われ、日本へ逃れてきた難民が安心して暮らせることを目指して活動する。難民申請の手続きや、来日直後の緊急期を含む医食住の支援、自立に向けた就労支援などの直接支援に加えて、地域社会との橋渡しや、政策提言、認知啓発など多様な関係者への働きかけにも力を入れている。年間の支援対象者の出身国は約50か国にわたり、来訪での相談は約300人から1,300件以上(2020年度実績)。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)駐日事務所のパートナー団体